第4話 美への追求
エントリーシートを数分後には書き終わり、全力疾走で戻ってきたカマーは、ノボルを裸にし、縛り上げ、宙吊りで楽屋の鏡の前に固定した…
ノボル「あの…カマーさん?俺は何をされているんでしょうか」
恐る恐るノボルは聞く
カマー「何って、プロ試験受けるんでしょ?私の見立てでは今のままでも優勝間違いなしだけど、私の推薦で人前に出す訳だし、メイクくらいはしておかないとね」
カマーは吊るしたノボルを見て考える
カマー(素材は悪くない、身長も高過ぎず低過ぎず、肉体も締まってる…バランスも悪くない…顔立ちは芋臭い感じ…でも逆を言えば、それがノボルの良さ!その良さを伸ばして変身させる…!)
吊るされたノボルには不安しか考えられない
ノボル(えぇ~…俺が思ってたメイクの仕方と全然違うんだけど…プロはプロでも亀甲縛りのプロになっちゃうよ…)
ノボルの不安が表情に出る
カマー「大丈夫!私に任せなさい!今まで美しくしてきた男子の数(犠牲者)は星の数!ビューティーメーカーのカマー、日本No.1美容家の名は伊達じゃない!必ずノボルを私好みの男に変身させてみせる!」
ノボル(若干、目的変わってるー!!)ガーン
その後は流石の手際の良さであった、日本一の美容家を自負するだけの腕前は確かにあるようだ
ノボルのメイクをしながらカマーが話かける
カマー「ノボル、私の夢はね、この世の気になる男子を全て美しくする事なの」
ノボル「は、はぁ…そうですか」
カマー「この世界では理不尽な差別が蔓延っている…その差別を無くそうなんて、言えた立場ではないけれど、せめて私に救える人は、自分らしく、人間らしく幸せに過ごしてもらいたいのよ」
珍しくカマーの声のトーンが真面目だった気がするとノボルは思ったが自分の吊るされたままの状況を見て、今の自分は人間らしい幸せを享受できているとはとても思う事は出来なかった
ノボル「そう言えば俺のオシャレ力って3万くらいなんですよね?それって高いんですか?いまいち分からなくて…」
たまらず話題を替えるノボル
カマー「正直ダメダメね、あれだけのヴィンテージアイテムがあれば、本来30万くらいのオシャレ力は発揮できるはずよ、簡単に言うなら服に着られている状態、もっと言うならあの服はノボルに似合っていない」
ノボルのセンスを一刀両断するカマー
カマー(おそらくあのアイテム達はノボルが自ら選んではいない、誰かに着させられた物…オシャレとは究極の自己表現、自ら身に付けたいと思える本当のアイテムでなければ本来の力を発揮する事はない)
ノボル「そうですか…」
ノボルの声のトーンが落ちる
カマー「でも安心して!その為に私がいる!必ずノボルを最高の状態で試験に送り出す!」
力強い言葉だった
鏡越しにどんどんと自分の変身していく姿を見ながらノボルは感動すら覚えていく
ノボル「うそ…これが私…?ボーボーだった眉は整えられ、お肌は白粉をまぶしたみたいに真っ白…嫌いだった、一重瞼はぱっちりおめめの二重に…更に付け睫を鬼盛している!鼻筋は原型のわからない程に高く、唇は自分で見とれるほどセクシー…顔の輪郭はメイクでシャープにみせている、そうこれは…まるでデーモン閣下!極めつけは全身脱毛!ケツ毛まで抜かれてしまった」
ノボル「誰だよ!!原型が無いよ!そして結局ケツ毛抜かれてんじゃん!!!」
カマーの事を一瞬でも信じた自分が馬鹿だった、ノボルは泣きながら後悔した
カマー(やべー、やり過ぎた…て言うか、きしょく悪いな、若干引くわ…つるんつるんじゃん)
カマー「ノボル!これが2222年最新のオシャレなの!時代が変われば美意識も当然変化する!」
ノボル「カマーさん…」
亀甲縛りを解かれ泣きながら床に着地するノボル
立ち上がり鏡を見て更に驚く
ノボル「背ぇ~高けぇーー!!!」
170センチあるかないか位だったノボルの身長は亀甲縛りによる猫背矯正とストレッチ効果により185センチにまで伸びていた
ノボル「こ、これが2222年…か…」
カマーは静かに頷いた
ノボル「カマーさん…すいません…俺はあなたの実力を見誤っていたようです」
カマーは腕を組み壁に背中を預ける
ノボル「これからは師匠と呼ばせて下さい!!」
人生初めての裸の土下座だった
カマー「私の美容は厳しいわよ…ついてこれるならついて来なさい、あとパンツ履きなさい…」ボソッ
そう言うとカマーは控え室を後にした
カマー(あぶねーなんとか誤魔化せた、ノボルが馬鹿で良かった~)
そして遂にプロ試験が開催される
ノボルは野球場を彷彿とさせるスタジアムの中心にいた
周りには同じ試験参加者が約300人
スタジアムにアナウンスの声が響く
アナウンサー「オシャレファイタープロ試験にお集まりの方~オシャレになりたいかー!!」
参加者「うぉー!!!」
アナウンサー「オシャレマスターになりたいかー!!」
参加者「うぉー!!!!」
アナウンサー「賞金1000万が欲しいか!!!」
参加者「うぇーい!!!!!」
ノボル(完全にノリがクイズ番組だー!!!)ガーン
アナウンサー「最初の試験はコレだ!!どきどき!オシャレ体力測定~!!!」
ノボル(なんか、イメージしてたのと違う!!!!)
次回 遂に始まったオシャレファイタープロ試験、いろいろと不安だがなんとかなるのか?ならないのか?そしてこの予告はあてになるのか?ならないのか?
まぁ、なんとかしようと思います
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます