この物語の主人公は、一人の小説家だ。彼は家族や友人たちに影響されながら、それでも雄大であたたかな自然の中で、作品を紡ぎ出していく。 主人公の小説家の内面は屈折しているけれど、心の底は澄んでいて、何かノスタルジーを感じるような独白が多い。 また、読点が少ないことで、自然の絶えることのない流れがよく表現されている。
書き手は自分の生涯の集大成を本に詰め込みます。それが世界を善くもし悪くもし、どちらに転ぶとも判らなくともです。叔父さんの生き様を否定など誰も出来ない。それが叔父さんの聖道だからです。
物語を書く人間は、苦しい事が分かっているのに、書かないという選択肢以外にないから書いている。ある人は呪いだと言った。私もそうで、書く苦しみは果てしなく孤独で辛いのだけれど、書かないという空っぽの苦しみに比べたらましだと思うから書いている。主人公の執筆中の経験も、きっとおじさんの感覚も私たちはシンクロ出来る。
小説を書いたことがある人には共感できることが多い作品です。まだ序盤だと思うので書けることは多くはありませんが、オススメポイントをいくつか箇条書きにしてみます。・メッセージ性がある・あの夏を感じたい人にオススメ気になるところで終わっているので、続きが気になります。
とてつもなく立体感のある作品。ここまで五感を感じられる作品はあまりお目にかけたことがありません。とくに種々の香りが生々しい。 線香、タバコ、コーヒーの三種。 目の前になくとも自然と漂ってくるかのようでした。