第19話 今、幸せです

「だからさぁ」


そう言って、フルメイクをした真奈美ちゃんが呟く。


今、私達は24歳になります。


「何度も思うんだけど…ありえない!!」


そう言っていると


「まーなーみー、あそべぇ」


そう言って真奈美ちゃんとじゃれようとしている5歳児。


「こらこら、聖二、真奈美お姉ちゃんは…」


「将来、俺が養ってやる」


と、宣言しているのは…私の息子です。


真奈美ちゃんは、一目ぼれ?されてしまい、我が子に翻弄されています。


「だから、19も離れている子供は圏外の圏外だから!!」


真奈美ちゃんは、そう言いながらも聖二の相手をしている。


「だいたい、すぐに子供出来るってどゆこと?」


それは…どうしてでしょう…


私にも分りません。


「この子は、聖二兄さんの生まれ変わりだから」


そう言って、聖二の頭をくしゃりと撫でる。


「ママ、まなみが俺のいうこときかない」


そう言ってから私に縋りつく。


「真奈美ちゃん、どうなってる訳?例の彼氏とは?」


真奈美ちゃんには、立派な彼氏がいます。


出会いの場は、あのパーティ。


あそこで出会った健一さんの親友と、いい感じになってます。


「まなみ!!うわきはゆるさないぞ!!」


聖二の言葉に


「はいはい、おこちゃまは黙ってらっしゃい」


と不機嫌に答える。


そして、私を見て


「まぁぼちぼちよ」


そう言って、アイスコーヒーを飲み干す。


「だから、うわきは…!」


抗議の声を上げる聖二を制して


「そろそろ、私も、考えてはいるんだよね?あっちはもう30過ぎているし」


真奈美ちゃんが溜息をつく。


「じゃあ、逆プロポーズは?」


私の言葉に


「…それいいわね」


と、考えだす真奈美ちゃん。


「だーかーらーまなみは、俺とけっこんするんだって」


5歳の猛烈な求愛です。


「はいはい」


真奈美ちゃんは、相手にしない。


「いい事聞いたわ。今度、実践してみる」


そう言ってから、何かに気付く。


「旦那、来たみたいだだし」


そう言ってから、立ち上がり手を振って去っていく。


「まなみー、俺のはなしをきけー」


聖二が訴えているが、聞いてはいない。


「ごめん、あゆみ、遅くなって」


健一さんは、定期的に病院に通っている。


心臓の手術の経過を見る為だ。


「無理はなさらないで」


私の心配そうな顔を見て


「大丈夫、経過は順調だよ」


健一さんは笑って答えてくれる。


「パパ、まなみが俺のプロポーズうけてくれない」


5歳の息子の言い分に


「はは、フラレたな聖二」


そう言って笑っている。


「ひとごとだとおもっているーひどいよパパー」


聖二には、ふてくされている。


「はは、ふてくされるな。好きな女には、ゆっくりとじっくりと時間をかけて落としていくんだよ」


健一さんは、ポンポンと頭を叩く。


「ぶーーー!!」


聖二は、ふてくされたまま、そっぽを向いている。


私は、その様子を微笑ましく見ている。




聖二兄さん




私…幸せになったよ…




聖二兄さんの分まで、聖二には生きてもらうから




私も、聖二兄さんに負けないように…




生きていくから…




どうか…




見守っていて…




くださいね

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