第27話 レノリアという男

 木陰から覗く陽光が道に斑模様を作る。先程まで通っていた草原と大きく変わって、森の中に細々とある、しかしながらも丁寧に均された道を進んでいた。湿った地面と日陰によって冷やされた風が火照った体には気持ちがいい。だがそれでも危機感は今もユウキの心内に燻っている。荷台で眠るシスターに大事がないか心配で堪らない。


「ユウキさん、今は焦ったっていいことはありませんよ。言ったでしょ、冷静になることが大事だって」


 ユウキと共に御者台に座るレニィがどこか諭すように口にする。どこまでも冷静なレニィもおそらくはシスターへの心配が渦巻いていることだろう。それでも道案内と称して御者台に同席したのは、ユウキ自身の心情を良く理解してのことだろうと今ならわかる。レニィには師として、どこまでも感謝が絶えない。

 不安を取り除くように、鼻から深く息を吸い込み口から吐き出す。


「うん、そうだよな。ありがとうレニィ」


「いいえ!ほら見て!向こうに門が見えるでしょ?あの門を抜けた先にある村がアステノになります。更に少し走らせたところにレノリア先生のお住まいがありますのでそちらを目指しましょう!」


 レニィが指さした先を目で追うと、木で作られた手製の門があった。門の上部には「アステノ」と丁寧に彫られた看板があり、全体的に艶のある門は馬車が難なく通ることのできる高さと幅が確保されていた。ここに来るまでに通った道と同じく、定期的に整備されているのだろう。


 目を細めるほどの眩しさとともに門を抜けると、下り坂となった一本道を左右から挟む形でいくつもの棚田があった。傾斜になぞるように整地された棚田は時期的な問題なのか何も植えられておらず、日光が水面に反射して宝石のように爛々と輝いている。

 しかしそれよりも先にユウキの目を盗んだのは、道の先、おそらく村の中心であろう場所に聳え立つ巨樹だった。かなり高い位置から見下ろしているユウキ達をもゆうに越える程に高く、民家の数々がミニチュアに見えるくらいには大きい。外周だけで言えばベルダンシアの半分はあるだろう。


「『サラグドの花』を見るのは初めてですか?」


 舗装された坂道を下りながらも巨樹を一点に見つめるユウキにレニィが尋ねる。


「花?あれは木じゃないのか?」


「一見巨大な樹木のように見えますが、あれは花なんですよ。今はまだ蕾なんだけどね。大昔に龍が現れて、種を植えていったと言い伝えられているの」


「龍!?でも龍って、空想上の生き物の筈だろ?」


「まぁそうなんだけど、案外これが馬鹿にできなくてね。アステノには大きな滝があるんだけど、そこはかつて水の龍が祀られていた痕跡があるんだよ。学会でも日夜、論争が行われてるの」


「論争って、祀られていただけならいるかどうかわからなくないか?こう言ったら怒られそうだけど、崇めるだけなら誰でもできるしさ」


「それがあったみたいなんだよ。嘘か本当か、龍のものと思われる鱗と爪がね」


 レニィは猫の手を作ってニヤリと不敵に笑った。それにユウキは固唾を呑み込み、喉を鳴らす。


「ま、どれも言い伝えとか噂話だから、真実かどうかはわからないけれど。そろそろ村に着きますよ」


 気づけば周囲に棚田はなく、船を五隻は浮かべられそうな程の大きな川にかかる、石造りの橋の上を進んでいた。橋を渡り切った先に開閉式の門があるところ、どうやらユウキ達を乗せた馬車は村の入り口まで辿り着いたようだった。


「おかしいな」


 レニィがぽつりと呟いた。


「何がだ?」


「いえ、普段であれば門は開いている筈なのですが……」


 橋を渡り切り、サグラドの花が見下ろすなか門前に到着したその時、


「何者だ」


 不意に門の向こう側から男の声が聞こえた。低く強張った声色から察するに、かなり警戒されているようだ。


「すみませーん。ユウキ・アルバーンって言うんすけどステラからお宅のレノリアさん宛てに手紙を貰ってて、開けてもらえませんか?」


「ユウキ・アルバーン?それに手紙だと?そんな報告は受けていないが」


「5日前に決まって3日前にベルダンシアを出たんだから当たり前じゃないですか。ほら見て、手紙に名前が書いてありますよ」


「何者かも、ましてや手紙が本物かもわからないのに門を開けるわけにはいかない。第一手紙を届けにくるなんて報告は一切聞いていないんだ。それになにより、声に覇気を感じない。どうせ少しばかり力をつけて図に乗っているのだろう?悪戯なら他所でやるんだな、ガキ」


「……別に悪戯とかそういうんじゃねぇし。図になってるとか、そういうんじゃねぇし。もう怒った。あれだわ、後悔しても知らねぇからな。こっち来いよ力の差を思い知らせてやるぜ」


「ダメだよユウキさん。僕はそういうことのために剣を教えたんじゃないんだから」


「でもあいつがさぁ!こっちの事情も知らねぇで好き勝手言ってやがるんですよ!」


「そういうところガキなんだ。わかったらさっさと帰ってママのお手伝いでもしてな」


「くっ......このバカ!バーーーカ!!」


「負けてる、負けてるよユウキさん。暴言が小さい子のそれだよ」


 別に!負けてないけどね!

 手紙ももちろん大事だが、それよりも今はシスターを一早く休ませないといけないのだ。自分の信用の無さに反吐が出そうになるがそれは後だ。ステラから貰った「虚章」を見せれば通れるのかもしれないが、この様子だとまともに取り合ってはくれないだろう。事態は一刻を争うかもしれないのに。どうすれば。

 思考が行き詰まり頭を悩ませていると、それまで黙り込んでいたレニィが顔を上げた。


「ユウキさん、ここは僕に任せて。あのー!」


 突然御者台を降りたかと思えば、レニィは門の前まで歩き出し声をかけた。


「次は女か?悪いが門を開けるつもりは…」


「カテナ・ムウさんですよね?」


 男の声を遮りレニィがそう口にすると、男は虚を突かれたように口を噤んだ。男にとって予想だにしない一言だったのだろう。門を挟んだままでも、男の様子が変わったのがわかる。


「……なぜ俺の名を知っている?名を名乗れ」


「僕ですよ。シャルル騎士団第6席のレニィ・ヴェリオロスです」


「ッ!ヴェリオロス第6席……?いやしかし、第6席は任務によりベルダンシアに向かって…」


「その任務が終わったから僕はここにいるんですよ。先ほどの彼が言っていたように、僕たちはステラ様よりレノリア様宛の手紙を頂いています。だから、早くここを開けてください」


 片時も笑顔を崩さないながらも、どことなく圧を感じる話し方にユウキが冷や汗を出してしまう。話術というか、抑揚の付け方が人より抜きん出ているのだろう。メリアとはまた違ったふわふわとした雰囲気のなかで、突如として垣間見える技術の高さに彼の凄さを思い知る。

 少しの沈黙のあと返答するように門はゆっくりと開門すると、そこにはおそらくカテナ本人と思われる男が頭を下げて待ち構えていた。


「ヴェリオロス第6席が来られるとは思いもよらず、無礼を弁えたことお詫び申し上げます」


「いえいえ、門番として当然の役割を果たしているだけなんですから気にしないでください。ただ、誰が来たのかわからないと今のようになるので、声だけでなくきちんと見て判断しましょう」


「承知いたしました。ご教示いただき感謝いたします。どうぞ中へ」


 カテナが脇に移動するや、レニィは振り返り笑顔を見せた。馬車に近づき、御者台の上に上るのを確認したユウキは馬車を再発進させる。


「ありがとうございますレニィさん。レニィさんのおかげで助かりました」


「ちょっとユウキさん?なんで敬語なの?」


「いやなんつーか、レニィってもしかして強い上に偉かったりする?」


「あ、聞いてました?そうなんです、結構偉いんですよ僕。実はシャルル騎士団の上から6番目なんです。まあまあ偉いんです」


「……今から敬語でも間に合いますか?」


「いや大丈夫だから!最初に言ったけど僕の方が年下だし、ユウキさんと一緒で堅苦しいのとか嫌なんですよ。感謝だけしといて!門を抜けたらこっちの道ですよ!」


 レニィの案内とともに門をくぐると、カテナと目が合った。筋骨隆々な出で立ちは鎧に身を包んでいようとも一目瞭然で、彼が門番を任されているのも頷ける。互いに軽い会釈を交わし横を通り抜けると、門は再びミシミシと音を鳴らして閉ざした。


 村の中は閑散としていて、馬車の車輪が砂利を踏みしめる音がよく聴こえた。ただ、それでも人の気配を感じられたのは植えられた街路樹や民家の軒下に、色鮮やかな龍の装飾が施されたランプが吊るされていたのと、遠くから聴こえる歌声からだろう。


「初めて聞く歌だな」


「この歌はこの村に古くから伝わる民謡ですね。きっと数日後に行われるお祭りの練習をしているんでしょう」


「お祭り?」


「えぇ。この時期はさっき話したサラグドの花の種を龍が植えていったのと近いこともあって、年に一度お祭りをしているんです」


 そう聞いて周囲を見渡してみると、確かにランプの他にもブーケや龍の木像が村の至るところに置いてある。おそらく、村中を飾り付けたり歌の練習をするほどアステノにとって一大行事なのだろう。

 不意にレニィが指を指した。


「ユウキさん見て、そこの建物だよ」


 レニィの指した指先を追って、一棟の教会を見やる。教会はその場所によって外見が変わってくるのだが、良くも悪くもなんの特徴のない教会だった。

 教会の前に馬車を止め、体を投げるように御者台を降り直ぐ様荷台へと駆け寄る。


「メリア!ついたぞッ!」


「ユウキくん!しーちゃんをおんぶして!」


 数時間ぶりに見たシスターは今だ苦しそうな表情を浮かべていた。それでもここまで持ったのは大部分がメリアのおかげといったところだろう。シスターを背負うと、体温の高さが直に伝わってくるのがわかった。レニィの後を急いで追って、教会の中へ足を踏み入れる。


「レノリア先生!いますか!レノリア先生!」


 レニィの声が教会内に響き渡った。しかし何かが返ってくる様子もなく、残響だけが遠くなっていった。

 シスターの息遣いが荒くなっていく。


「レノリア先生!体調不良のシスターがいるんです!休ませてあげたいので、いたら返事をください!先生!」


「おい!レノリアさん!いねぇのか!」


 痺れを切らし、レニィに続いて叫ぶように名前を呼ぶ。すると、


「うるせェなァ!!!」


 ドスの効いた声がかき消すように響いた。並べられた長椅子の中から男は起き上がるとこちらをキッと睨み付け、気だるそうに立ち上がる。


「人が眠ってりゃあ勝手に上がり込んで騒ぎ立てやがってよォ?ご挨拶じゃねェか?あァ?」


 肩先まで伸ばした桜色の髪を鬱陶しそうにかき上げながら、足音を立ててこちらに歩きだした。眉間に皺を寄せ、露草色の三拍眼が敵意をこれでもかと剥き出しにしている。


「おいガキども、一体何の用だァ?眠りを妨げたんならそれ相応の言い分ってもんがあるよなァおい」


「先生…!体調不良者が一名いるんです!ここで休ませてあげてください!」


「あァ?なんだってそんなもん俺がしないといけねェんだ。医者がいるだろ。そっちに行け」


「頼むって、なぁ!先生なんだろ!!!」


「ゴチャゴチャうるせェなァ、しつけェんだよ」


 瞬間、前方から突風が吹きつけ後ろによろめいた。レノリアから吐き出されるような威圧感に足がすくむ。完全に敵とみなしているようだった。気圧されそうになるが、今はそうも言ってられない。後ろに抱えたシスターを落とさないように全身に力を入れ、深く呼吸をする。


「失せろ」


 言葉を置いて視界からレノリアが消える。目が、耳が、認識するよりも早くレノリアを感知する。音もなくユウキの真横に立ち手刀を振り上げていた。頭で考えるよりも速くそうするように効力が発揮しているかのような、言わば反射とも取れる驚異の反応速度で迎撃を構える。弾くように振り上げた腕と手刀が衝突し、破裂音が響き渡った。レノリアが僅かに目を細め、より深い皺を眉間に刻み込む。


「ガキィ……てめェ何者だァ?」


「話を……聞いてくれ……!!」


 肩で呼吸をし、荒くなった息を乱雑に入れ換える。

 危なかった。剥き出しの敵意と迷いのない殺意のような感情をぶつけてくれていたおかげで、防ぐことができたと言ったも遜色ない。急かすように溢れだした危機感でどうにかできたが、それも今回ばかりだろう。おそらく二度はない。

 二人の視線が交わるなか、割って入るようにレニィが飛び上がる。


「ユウキさん、ナイス!」


 遮るように前に立つレニィは、レノリアの目元に向けてなにかを投げた。それはレノリアの耳にかかり、レンズ越しに映った露草色の三拍眼は突如として柔くなる。


「お前、レニィじゃねェか」


「先生、いつもこうなるんだから起きたらすぐに眼鏡を掛けてと言っていますよね?」


 張っていた糸が緩んでいくのを感じる。この場を支配していた緊張感が溶け、安堵とともに冷や汗が流れ出る。


「それよりも先生!体調不良者がいるので休ませてあげてください!早く!」


「わーったわーった。その体調不良者っつーのは…背中のシスターかァ?」


 レノリアがユウキの後ろ、背中に背負ったシスターに視線を向ける。レノリアはシスターの額に手を置いたかと思えば、すぐに離しユウキ達に背を向けた。


「ついて来い。医務室に案内する」


 歩きだしたレノリアの後に続き教壇の横にある医務室へと向かう。医務室の中は花や果実の甘い香りが漂っていた。作業机の上には磨り潰した植物の葉や調合途中と思われる粉末があり、難しそうな計算式が書かれた紙と一緒に置かれていた。

 レノリアからカーテンで仕切られたベッドへ案内されると、ユウキはシスターの負担にならないようにゆっくりとベッドに横たわらせる。


「少し離れろ」


 レノリアの言う通りにベッドから離れると、レノリアは作業台の上に置かれた数ある瓶の中から『解』と書かれた瓶と『癒』と書かれた瓶を取り、中の液体を少量飲み込むとシスターの顔の前で指を鳴らした。パチンッと軽やかに響く。すると途端にシスターを白い光の膜が包み、次いで泡のように弾けた。


「終わりだ、しばらくァ安静にしてろ。おめェらァ、そこに座れ」


 そう言うとレノリアは作業台に座り、背もたれにもたれ掛かりながら足を組んだ。レノリアと向かい合う形でユウキとレニィは並んで座ると、レノリアが口を開いた


「まずだがなァ、シスターに掛けられていた呪術は解呪した。発熱の原因はおそらく呪術の影響だ。しばらくァ体がクソだりィと思うが命の心配はねェ」


 やや言葉遣いは荒いが淡々とシスターの現状についてレノリアが説明をしていく。命に関わらないと聞いて安心するも、新たな疑問点にユウキは困惑していた。


「レノリアさん、呪術っていうのは一体どういうことなんだ?」


「オレが知るかよ。だがひとつ言えるのはなァ呪術ってのは自然発生するもんじゃァねェ。必ず呪術を掛けた張本人がいるってことだァ」


「呪術って……」


 シスターに異変が訪れたのは魔獣と戦闘した時からだ。メリアが奪って燃やした紙切れは何か良くないものと言っていたが、もしや呪術の類いだったのだろうか?逆に言えばそれしか思い当たる節がない。しかしそれならユウキ自身にはなにも起きていないのは不自然だ。一体なにが原因なのだろうか。


「まァ、一先ずは大丈夫だから安心しろ。それで?」


「それでって?」


「お前らはオレになにか用があって来たんじゃねェのか?」


「そういえばそうだった!」


 ここまで自分が本題を忘れていたことを思い出した。ユウキはステラから預かった手紙をレノリアに差し出す。レノリアは怪訝な表情を浮かべながら、蝋で留められた手紙の封を剥がした。

 中から取り出した三枚の手紙をレノリアはあっという間に読み切り、鋭い視線をユウキに向ける。


「ガキ、お前ェがユウキ・アルバーンか?」


「え?うん、そうだけど」


「お前ェみてェなガキがね……。にわかには信じがたい話だなァ。冴えねェツラしてやがる」


「はぁ…またかよ…。もうどこ行ってもこれじゃん」


「だが農家出身なのは良い!オレたち人間は野菜や穀物、そしてそれを作る農家には敬意を示すべきだァ!ガキィ!お前は誇りに思えェ!」


「なに?この人。怖いんだけど」


 先に貶してきたのはお前だ。眼鏡越しに見つめる双眸がユウキを蔑んでいるのは見るも明らかだった。それにも関わらず考えが180度も変わっているじゃないか。怒りを通り越して恐怖ですらある。

 そんなユウキの思案を解決するかのように、レノリアはひとりでに説明しだした。


「この世の全てのものにはメリットとデメリットがある。そう、それはコインの表と裏のようなものだァ。オレはその相対性に惹かれたんだ。善と悪、光と闇。その先に見えた己を見つめ直すことができたなら、更に高みへ目指せるだろうよ。だからオレは、貶した後にァ褒めるようにしているし、褒めた後にァ貶すようにしている」


「イカれてんのか?」


 説明を聞いてもなお、よくわからない。おそらく関わらないことが正解なんだろうけれど、そうもいかないだろう。凄い人なのは間違いないんだろうが、どうにもやりづらい。


「まァそんなことァどうでもいい。立てお前ェら、仕事だぞ」


「仕事?待ってくれどういうことだ?俺らは手紙を届けに来ただけだけど」


「はァ?オレの言うことはなんでもするんだろ?」


「そんなこといつ言ったんだよ!」


「ここにそう書いてあんぞ。手紙を渡し終えた後は君の好きなように動いてくれるから、なんでも気軽に言ってね。ちなみに拒否権は無いよ、ユウキ。って。ほら来い」


 やられた。しかも名指しで呼ばれた。さっきの確認にも答えてしまったからもう逃げられない。

 レノリアは席を立ち、入ってきた扉とは真逆の位置にある扉を引いて手招きをする。逃避の方法がないことを静かに悟ったユウキは、頭を項垂れ静かに立ち上がった。







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聖剣を抜けなかった俺が勇者になる話 椎名霙 @shina_mizore

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