外宇宙から異世界への侵略者〔ロヴンが洞窟調査に参加するよ♪〕
異界大陸国【レザリムス】西方地域──星が煌めく夜、洞窟から多数の銀色に輝く飛行物体が飛び出してきた。
円盤の中に乗っている者たちの会話が、聞こえてきた。
《ガニィ・フェンリルの円盤の消息が途絶えた座標にあった洞窟に入ったら、妙な場所に出てしまったぞ? ここは、どこだ?》
《空間座標、計測不能です。別の次元空間ではないかと》
《そうか、見たところそれほど文明レベルは高くなさそうだ……ついでに、この世界を侵略してみるか、ちょうど丘の上にこの世界の下等生物らしき生き物が立っているから、あの生物を吸引ビームで円盤内に連れてきて、いろいろと調べてみよう》
丘の上で、円盤群を見上げていた少女──西方地域の大魔導師『ナックラ・ビィビィ』に円盤の下部から吸引ビームが照射されて、ナックラ・ビィビィ丘から浮かび上がったナックラ・ビィビィの体は、円盤の中へと引き込まれた。
円盤の中で、内部に歯車が見える三日月が付いた、魔導杖を持って立つナックラ・ビィビィを、どこからか見ている異星人が言った。
《言語チップを埋め込んで、会話可能な状態にして、生物の思考解析処置をしよう》
床から伸びてきた先端に針が付いた、チューブがナックラ・ビィビィの首筋に近づく。
ナックラ・ビィビィの首筋に針が刺さる前に、
キノコのように生えてきた、土色をした等身のハニワか土偶のようなモノが現れ。
針がその土色の喉に刺さる。
「ダ、ダジィィ!」
断末の声を発して、泥人形は針と一緒に崩れて消えた。
《なんだぁ? 今のは?》
姿を現さない相手に向かって、西方地域の大魔導師が言った。
「身代わり泥人形の『ダジィ』じゃ、妙な処置なぞしなくとも言語は通じておる……お主らナニ者じゃ?」
《わ、我々は、宇宙人だ!》
「ウチュウジン? そのウチュウジンがナニをしに、このレザリムスに来た?」
《文明レベルが低いこの世界を侵略する》
「そうか、やはり感じていた、邪悪な気配は正しかったか」
ナックラ・ビィビィの手の甲には、いつの間にか一つ眼の魔導生物が出現していて、一枚のカードが刺さっていた。
ナックラ・ビィビィがカードを、押し込んで言った。
「お主らの船の部品を利用させてもらう」
円盤の内壁が剥がれ、露出した部品が磁石に引き寄せられるように、次々とナックラ・ビィビィの近くに集合して……金属のドラゴンになった。
《!?!?》
ナックラ・ビィビィが部品ドラゴンに命じる。
「暴れろ」
円盤内で暴れ、内部を破壊する部品ドラゴン。
傾いた円盤内で、姿を現さない宇宙人の悲鳴が響く。
《うわぁぁぁ、そいつらを円盤外に排出しろ!》
円盤の床に穴が開いて、ナックラ・ビィビィと部品ドラゴンが夜空に放り出される。
部品ドラゴンに乗ったナックラ・ビィビィは、無事に丘に着地すると、部品ドラゴンは崩れて金属のガラクタとなった。
《撤退だ! この世界から撤退だぁ!》
銀色の円盤群が、大慌てで出てきた洞窟へと入っていくのを眺めながら、西方地域の大魔導は。
「一体、なんだったんじゃ?」
そう呟いた。
半年後──レザリムスへ繋がる洞窟の途中が崩落で塞がった洞窟の、アチの世界〔現実世界〕側で、墜落したような状態の円盤群が発見され、内部を調べていた調査団は。
円盤の床に首をかしげる物質を発見した。
「ウ●コだ! 人型になった、乾燥したウ●コが床に散乱している! いったいコレは?」
調査団に加わっていた、第四の壁越え女神ロヴンは、第四の壁を越えて読者の方に振り返ると。
「あぽぽっ」と、言った。
外宇宙から異世界への侵略者〔ロヴンが洞窟調査に参加するよ♪〕~おわり~
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