くたれ神エンパイアＸＯ

　中国のくたれ天女【孛星女身（はいせいにょしん）】は、その日──雲の上から、河原の土手に寝そべっている鳥越九郎を見下ろしていた。

　孛星女身は、雲の上ではいつもスッポンポンの全裸少女だった。　

　雲の隙間から地上の九郎を眺めている、露出魔の孛星女身が呟く。

「歪世野姉比売（ひずみよのあねひめ）は、神々の集まりとかで小旅行に出掛けていて、今はダーリンの近くにいない……これは大チャンス」

　孛星女身が神格を高める方法は、雲の上で九郎と裸で新婚生活を送るコトだった……そのために、孛星女身は、じっと姉比売が九郎から遠く離れる機会を狙っていた。

（ダーリンを雲の上に連れてきて、裸にしちゃえば他の〝くたれ神〟も、そう簡単に手出しはできないよね）

　九郎を見下ろしていた孛星女身は、後方の雲の中から女性の声で「次元流！」と叫ぶ声が聞こえ。

　振り返った瞬間、孛星女身はピースサインのような金属の塊が楕円形の空間から突き出され。

　向かい側にあった同じ楕円形の別空間に入ってから、すぐに引き抜かれ元の雲の中に消えたのを見た。

（なに今の？　楕円形の変な空間もすぐに消えた？）

　気を取り直した、ツインテール髪の孛星女身が、地上に降りようと雲の端に足を掛けてから、少し考える。

「スッ裸で地上に降りたら、すぐに通報されてダーリンには近づけなくなるね……危ない危ない、ここは面倒でも地上のルールに従わないと」

　どうせ、九郎を捕まえたら、すぐに脱いで裸になって空に浮かべばいいと考えた孛星女身は、胸と腰に布を巻いて隠す。

　下着は着用していない。

「いざ、ダーリンの元へ！」

　孛星女身こと【ハイちゃん】が座っていた雲から立ち上がろうとした、次の瞬間──男性の声で「覚悟しろ！　小娘！」の声が聞こえ。

　孛星女身の視界の隅に、後方に開いた銀牙系の惑星空間から、チェーンが繋がったドクロ鉄球が飛んでくるのが見えた。

　孛星女身の後頭部に激突するドクロ金属球。

「げぼっ!?」

　ゴンッという鈍い激突音が聞こえ、意識を失った孛星女身は、そのまま地上へと落下していった。　

　孛星女身の姿が雲の上から消えると、ロヴンが振り向いて読者に言った。

「怖いですねぇ、恐ろしいですねぇ……みなさんも次元を越えた突発的な不慮の事故には、注意してくださいよ」

中国天女のくたれ神【孛星女身】地上落下の真相～おわり～

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