第9話

 昼休みの屋上。


 「カーミア」


 「はい?」


 「何するか聞いた」


 「いえ、何も」 


 明日華とカーミアはスマホを操作するカーマと見つめていた。


 「よしできた」


 カーマはスマホのカメラを、明日華に向ける。


 「彼女は明日華。 ワタシの大事な人の一人。 奇抜な趣味が取りえの生女子高生」


 「生!?」


 「姉さん。 何をしてるんですか」


 「せっかく仲良くなったんだから記念にしようかと思って、明日華。 自己紹介よろしく」


 カーマの呼びかけに明日華が反応する。


 「はい。 家族関係は今も元気な父と母。 カーマと知り合えて、よりいろいろのことが体験出来て毎日が楽しいです」


 「あなた。 結構ノリがいいんですよね」


 明日華の対応に唖然とするカーミア。


 「そんじゃカーミア。 いってみよう」


 スマホのカメラをカーミアに向けるカーマ。


 「えっ!? いきなりそんなこと言われても」


 「大丈夫ですよ。 カーマの好きなところを上げていけばいいですから」


 「姉さんの好きなところ。 何でも解決しちゃうところ。 頼ろうとした時に先回りしてくれるところ。 関わってきた人にできる限り優しいところ。 わたしのお姉ちゃんだってところって何言わせるの!?」


 「カーミア。 そんなに私のこと好きだったんだ」


 「ふった私もびっくりだよ」


 「あー! もう! 明日華さんもお姉ちゃんも忘れて!」


 慌てるカーミアにニヤニヤとした表情を浮かべる明日華とカーマ。


 「すきあり!」


 「!? 取られた」


 カーマが油断している隙にカーミアは向けられていたスマホを奪うことに成功した。


 「さあ、今度はお姉ちゃんの番だよ!」


 「わかってるよ。 ワタシの名前はカーマ。 向かうところ敵なしで全能の美少女」


 「自分で美少女って……」


 「実の姉にドン引き……」


 「はい、そこ。 静かに」


 茶化す明日華とカーミアにくぎを刺すカーマ。


 「全く……。 ごほん、ワタシは自由を求めて妹もほっぽり出して飛び出したしょうもない姉だけど、明日華に会ってカーミアとも遊べて幸せ。 えっとー……だから……ちょっとこっち来て」


 明日華とカーミアの腕を引っ張り、二人の首にそれぞれ腕を回すカーマ。


 カーミアの持っているスマホにはカーマと明日華、カーミアの顔が映っていた。


 「今! 調子幸せ! 明日がすんごく楽しみなんだ!  もし、こんな毎日お奪うやつがいるんなら、ワタシが絶対守ってみせる!」


 スマホに映る三人の少女には心から感じられる笑顔が映っていた。

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The girl's omnipotence. チョウノ・ケンジン @KENNZAKI

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