「おやすみ」に添えられた言葉

kinoko489

「おやすみ」に添えられた言葉

 私と彼女はネットというもう一つの世界で出会った。ネットの出会いと聞くとあまりいいイメージはないかもしれないが、それは私にとって運命の出会いだった。なぜだかわからないけど、こう、この人だ!ってなった。不思議だね。

 一番ドキッとしたのはいつものようにLINEでおやすみを言い合っていたとき。   

 ふと向こうが「大好きです」と送ってきてくれた。それがとても嬉しくて、大急ぎで「私もです」と入れようとしたら新しいメッセージが。


「嘘です」


 目の前が真っ暗になった。世界が足元から瓦解したように感じた。その時、呆然としている私の手の中でスマートフォンが震えた。

「愛してます」

 その時の気持ちを、ずっと忘れることができないでいる。

 こんなにも人を好きになれるんだって感動したし、純粋にうれしかった。

 その後、彼女とはこちらの世界で一度も出会わぬまま向こうの親御さんの反対で別れることに。

 でも私はその子が好き。ずっとずっと大好き。


 嘘だ。


 愛してる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

「おやすみ」に添えられた言葉 kinoko489 @kinoko489

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ