生きること 

える

第1話

「ほんとにきもい。気持ち悪い。」


 そう言ったのは私の所属している女子バスケ部(女バス)の顧問、太田先生だ。

 太田先生はスパルタなことで有名で、よく部員に暴言を吐いては平手打ちをかますような先生だった。ただ、女子バスケ部が毎年大きな大会で好成績を収めるために、周りの人間も目を瞑るしかないのだった。

 そんな中で私は太田先生に人一倍嫌われていた。理由は私の鈍臭さだろう。運動ができるわけでもなく、かと言って気が利く訳でもない。先生にとっては私の存在自体が鬱陶しいのだろう。かくいう私も「自分に厳しく、他人に厳しく」の代名詞とも言える太田先生のことは苦手だった。要するに、私と先生は根本的に「合わない」のだ。



「やる気がないのなら帰れ」


 顧問にそう言われ体育館を追い出された私は梅雨の明けた空に呆れ、目を伏せ体育館のそばの水道にあるベンチに座りこんだ

「なんでこんな部活に入ったんだろう」

 なんて仕方の無いことを考える。

 きっかけは、そう。

 小学生バスケからの友達、カナの一言だった。


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生きること  える @Eru_Anemone

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