16.エピローグ

なんかめっちゃ百合ってるーーーー!!


 キャットファイトでも始まっていたら怖いなと思って部屋にかけられた魔法が解けたと同時に少しだけ扉をあけてこっそりと覗くとジャンヌとモナが抱き合っていた。

 いや、それはいいんだけどさ……俺の鑑定スキルが訴えているのだ。



 モナ   状態:安堵 喜び

 ジャンヌ 状態;安堵 悦び 発情 興奮



 モナはともかくジャンヌがやばいんだけど!! なんで発情してんだよ!!



「よかった……二人は仲直りをできたようですね……流石はアルトさんです。うふふ、友情って素敵ですね」



 サティさんが無茶苦茶嬉しそうな顔をしてほめてくれるので、ジャンヌのやつは友情だけではなく違うものにも目覚めてしまったんですとは言いにくい……



『ふん、これで我もあの女に付きまとわれなくなるな』

「まったく、素直じゃないですね。だいたいデスリッチが余計なことをしなければもっとスムーズに終わったんですよ」

「お前もツンデレってる場合んじゃないんだけどな……」

『うん、どういう意味だ?』



 まさかお前の聖女がモナにNTRされそうになっているぞとは言えずに俺は顔をそらす。まあ、ジャンヌのやつも久々に人の肌に触れているから興奮してしまっているだけだとは思うが……

 まあ、これならば問題はないだろう。



 そして、俺たちはあとは二人に任せて大丈夫だという事で部屋から離れることにする。



「それで……デスリッチ。今回の騒動はどう落とし前をつけるつもりでしょうか? まさか、魔物や人々を混乱させてそのままで済むとは終わってませんよね?」



 それまでの柔らかい表情から、一転してサティさんが冷たい視線でデスリッチを攻める。俺には見せない魔王としての顔だ。

 いつもとちがってクールなサティさんも素敵である。



『わかっているわ。我とてこれだけ騒ぎになったのだ。ちゃんと責任はとるわ!! ウィンディーネの旅館の手伝いでも、エルダースライムの補佐でもなんでもやってやる。目的は達せたしな……』


 そういってジャンヌとモナがいる部屋を見る二人を見つめるデスリッチの目はどこか優しい感じがした。喧嘩していた恋人? と子孫が仲直りしたのだ。内心は喜んでいるのだろう。





 結局あのあとはデスリッチをジャンヌとモナが捕えて、サイン会に巻き込まれた人や魔物を救ったということになった。

 また、魔王であるサティさんもおり、現場を落ち着かせるのが目撃されていたことも大きかったであろう。その結果、これは魔物たち全体の考えでなくデスリッチの独断という事になったのだ。エルダースライムの仕事を手伝わされていると言っていたが何をしているんだろうな?



「本当に俺がいなくても大丈夫なのか? これから王都へアリシアと話に行くんだろう?」



 ローグタウンに戻った俺は旅支度を終えたモナとジャンヌと対峙していた。二人ともどこか緊張しているのは気のせいではないだろう。



「ええ、これは勇者パーティーがもっと早く話し合うべき問題だったんですもの。あんたのちからを借りるわけにはいかないわ」

「でも、本当に困った時はアルトさんは助けてくれるって信じてますよ。私が危険な目にあったときのように……」

「ああ、その時は遠慮なく言ってくれ。説得なら付き合うぞ」



 モナとジャンヌが大丈夫だとばかりにうなづいた。ひょっとしたら口げんかになったりもするかもしれない。だけど、アリシアなら……ちゃんと向かいあっているジャンヌの意思を無視したりはしないだろう。



「こういうのって青春でいいですよね……私は友達があまりいなかったのでちょっとあこがれちゃいます」



 二人を見送るとサティさんが彼女たちの後姿を見ながらそんなことをつぶやく。確かにサティさんは魔王という立場から対等な存在があまりいなかったのだ。仕方ないだろう。



「俺はサティさんの友達になれません。だけど、青春のお手伝いならできますよ。友人としてはなく、その恋人としてですが……」

「もう、こんなところでそんなことを言わないでください……でも、嬉しいです」

「ひゅーーひゅーーー!! 熱いぞ。アルトーー!!」

「くそが、リア獣が死ね!!」

「いや、でも、この前ブラッディクロスもあのほっぺたがぷにぷにの娘と一緒に飯をくってたじゃねえか、お前が死ねよ!! ああ、思い出したらむかついてきた!! リア充死すべし!!」

「そうだぞ、ブラッディクロス!! お前は俺たちを裏切った!! ここで死ね!!」

「モナはただの幼馴染だといっているだろうが!! まあいい、喧嘩ならば買ってやろう!!」



 冒険者ギルドの前だというのについサティさんが可愛くて口説いてしまった。案の定冒険者仲間がからかってきやがる。

 そして、サティさんはというと……顔を真っ赤にしながら俺を見つめていこう行った。



「じゃあ、たくさんデートをしてくださいね。それと……もう敬語はやめませんか? アルトさん……いえ、アルト……」

「え? あ、はい……わかりました。サティさん……?」



 突然の提案にてんぱっているとサティさんが顔を真っ赤にする。



「ああ、もう!! エルダーから敬語をなくした方が距離感がなくなるって聞いたのに失敗した気がします。すいません、アルトさん、今のは無しで!!」



 驚いた俺をどう誤解したのか、サティさんが顔をまっかにしてあたふたとする。



「いえ……いいと思うよ。サティ。だけど、できれば俺からそういうことは言いたかったなって思ってさ……」



 ジャンヌに勇気を出せと言いつつ肝心な俺はサティさんと付き合えたことで浮かれていて何もわかっていなかったようだ。サティさんは俺との距離を気にしていたなんて……

 俺は自分のヘタレっぷりを悔いながら彼女に微笑む。



「アルトさん……?」

「今度のお休み、せっかくだから王都でも行こうか。デートを使用」

「はい……もちろんです!!」



 俺とサティさん……いや、サティが見つめ合っていると、煽ってきた冒険者を倒したブラッディクロスさんがジト目でいった。



「なんで貴公らは冒険者ギルドでいちゃついているのだ……?」


 そんなこんなで俺たちの日常は続くのだった。



-----------


これにていったん完結です。


思ったよりも長くなってしまった!!


他にも王都でアリシアと話し合ったり、ジャンヌの古巣の教会の話などを考えているのでまた投稿させてもらうとおもいます。


よろしくお願いいたします。



モナがメインのはずがジャンヌのが目立ちすぎた……

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スキル『鑑定』に目覚めたので、いつも優しい巨乳な受付嬢を鑑定したら、戦闘力99999の魔王な上にパットだった件について~気づかなかったことにしようとしてももう遅い……ですかね? 高野 ケイ @zerosaki1011

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