4
「おかえりなさい、肉三郎! で、どっ……どうなったんだい!? 犯人はわかったの!?」
おれが車内に入るや否や、興奮状態のサイモンがことの成り行きを
「ああ、万事解決だ。犯人は人間の女の子だったよ」
「ええっ!? もう解決したの!? さっすが肉三郎! キミは猫の名探偵だね!」
「名探偵? いや、おれはなにも──」
おれが続きを話すまえによろこび勇んだサイモンは、スウェット生地のシートの上を先程よりもピョンピョン高く上機嫌に飛び跳ねてみせた。もう雨水は出てこない。
「ありがとう肉三郎! 今度来るときは、クロマグロのお刺身を持って来るよ!」
「ああ、頼む。……ん? 刺身って……おい、おまえ!」
意味深に髭袋を上げたサイモンは、銀灰色のつややかな毛を真昼の強い陽射しにきらめかせ、軽やかに専用出入口から飛び出ていった。どうやら、鰹節は盗らなくても刺身は盗んでいるようだ。
「……やれやれ、今度はノックも忘れんなよ」
おれは助手席のシートのてっぺんに飛び乗ると、
そして、暖かな光が射し込む車内で深い眠りについた。
猫の名探偵 ~消えた鰹節~ 黒巻雷鳴 @Raimei_lalala
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。