2話

朝が来てしまった。仕事に行かないと。

会社は小さい営業所だし同期たちにほぼ会うことになってしまう。なので出勤するのが億劫だったが社会人として出勤しない訳には行かないので朝食をとり、家を出てすぐのの交差点で後ろから声をかけられた。

「おはようございます。もう体調の方は大丈夫ですか?」

誰かと思い振り返るとまさかの神楽坂さんだった。オタクなのを引かれたのでは?とか、なんでここで会うんだ?とか少しテンパってるとそれを見て笑われたので普通にあいさつされて体調まで気づかってくれてることを思い出し返事をすることにした。

「おはようございます。一昨日はご迷惑をおかけしたみたいで申し訳なかったです。それと心配してくださりありがとうございます。」

そう言うと彼女はまた少し笑い少し困ったような照れくさいような顔をしながら

「いえいえ。そんなお礼を言われるようなことはしてませんから大丈夫ですよ!それに私達は同期で歳も同じなんですからもっと気楽に話してもらってかまいませんから。」

そんな風に言って彼女は笑いかけてくれた。オタクなのがバレたらもう終わりだと思っていた。でも彼女は偏見などなくて普通に接してくれているようだ。僕は少し気にしすぎていたのだろうか。いや、彼女だけが特別な可能性もあるしまだわからないな。気をつけることに越したことはないしやはり極力オタクなのは隠していこうと思った。

それから他愛のない世間話をしていい感じの雰囲気で少しドキドキしながら通勤しているとまた後ろから声をかけてきた。これは誰かわかってる。最近仲良くなってこういう感じの状態を見たら絶対面倒な同期の男子の小鳥遊以外ありえない。なんせ声でわかった。ニヤニヤしているところまでわかるというオマケつきだ。わかりたくはないけど。

「おはよう。お二人さん。なんだかいい感じだけどもしかして元から知り合いだったの? あっなるほど!だから神楽坂さんは一昨日付き添ってのか!」

なんて言うもんだから僕は顔が熱くなり赤くなるのがわかったが神楽坂さんも困ってるだろうと思い横目で覗き込むと同じ感じだったので僕がフォローに入ることにした。

「おはよう。小鳥遊はデリカシーのないやつだな。神楽坂さんが困ってるじゃないか。それに僕らは元々知り合いだったとかではないよ。」

そう言うと小鳥遊は相変わらずニヤニヤして「お二人さんが元々知り合いとかは別に気にしないんだけど急がないと遅刻するぜ?

という訳で俺は先に行くわ。遅刻しないようになー。」

小鳥遊はそう言って走って行った。そして時計を見ると本当に急がないとヤバい時間だったので必死に走って二人ともギリギリ間に合いなんとか遅刻はしなかったが必死に走って来たため二人で出勤したら変な感じで疑われるとか目立つとかそういうことを忘れてしまっていて、小鳥遊がこっちを見ながらニヤニヤしていたり、一昨日神楽坂さんと一緒に居た篠崎さんと渡辺さんがめっちゃこっちを見ていたりしてやっちまったやつだなと思い今から仕事なのにいきなり気が重くなるのだった。

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オタクだって恋愛したい ミキタコ @ranka25

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