オタクだって恋愛したい

ミキタコ

1話

目覚めるとそこは知らない部屋だった。なぜ知らない部屋で寝ていたのかと思ったのだが、それよりも今は気になることがある。今は僕はベッドで寝ているのだが隣に誰か居るのだ。布団で隠れていて姿は見えないが。もしかして僕は未だはじめてだったのだがこれはやってしまったのでは?などと考えたがとりあえず顔を見ようと思い布団を捲るとそこに居たのは生まれたままの姿の男だった。そう、男だったのだ。だが待ってほしい。僕はノーマルなはずなのだ。確かにオタクではあるしそういう物に対して偏見などは持っていないつもりではあるがもう一度言うが僕はノーマルなはずなのだ。ただこれは誰に弁解しているんだかわからないが。話を戻して今の状況を整理してみると目が覚めたら知らない部屋のベッドで生まれたままの姿の男と二人で寝ていたということになる。うん、これはやっぱりやってしまったんだろうか。などと考えていたら男の目が覚めたようで寝ぼけながら僕に話しかけてきた。

「おはよう。昨日の疲れはとれたか?」

なんて聞いてきたから男に思い出すから少し待ってくれと言って昨日のことを思い出してみることにした。

確か昨日はそう、新しく入った会社の新入社員歓迎会だった。それで僕は今までオタクであることを隠すために同期との交流は最初の自己紹介だけして後は一切なくしていったため名前すら覚えていないと言うなかなかに酷いやつだったが、歓迎会という名の飲み会という場だったのでお酒が入り少しテンションがハイになっていた影響で関わらなかった同期達の交流を深めることにしたのだった。ただオタクなのは隠してだが。一応こんな時の為にドラマや映画や音楽など人気な物は一通りチェックしておいたからある程度はついていけたし、相槌を打っていればその場のノリについていけた。その場限りでも輪の中に入れたのだ。ほとんど相槌打っていた気がするがそこはオタクなのに頑張れた方だと思う。普段チェックしない物の話題についていくのは難しいのだ。アニメとかゲームならついていけるんだが今はそんなことは置いておいてとにかく一次会は盛り上がった。二次会のカラオケに行こうっていう話も普段なら絶対に断っていただろうが、お酒の力でハイになって話したりするのが楽しくなっていた僕はついつい了承していた。

場所が変わり二次会のカラオケ人気曲など聞いて少しは歌えるようにしたりしてたのでそれを歌ったりメジャーなアーティストが歌っているアニソンを歌っていたら来ていた男性陣の一人の小鳥遊 廉という同期が某人気ロボットシリーズの主題歌を何曲か入れだしたのでそれでお酒の入った影響かオタクを隠していることを忘れ特撮作品やアニメの主題歌などを何曲も歌ってしまっていた。それに小鳥遊が歌うアニソンにコールなども入れたりしていた。二次会参加者は同期だけではなかったので一部の上司には昔の特撮作品の主題歌はウケてたが、酔いが覚めてきたころには周りは無反応だった。これはやらかしたと思い、やけくその様に大量にお酒を飲んでいた。そこで記憶がなくなっている。それで最初のほうの場面に戻るのだがこれやらかしたの目の前の男が原因の一つなのでは?などと考えながら目の前の男もとい、小鳥遊に「思い出した。小鳥遊のせいでオタバレしたじゃないか。ただ運んでくれてありがとう。ここは小鳥遊の家か?やけにベッドが広いが。」八つ当たりを混ぜた感謝と気になったことを一気に話したら「オタバレは自業自得だろ。少しはそんな展開もあるかもとは思ってたけど。あそこまで酷くなるとは思ってなかったしな。そこは誤算だった。それと運んだのは俺と二次会に来てた同期の石田 大和って言えばわかるか?そいつが一緒に運んでくれたんだよ。それと途中までだが女子同期の神楽坂さんと篠崎さんと渡辺さんも来てたぞ。モテモテだな。明日の出勤でどうせ会うんだし一応礼を言っておけよ。ここは俺の部屋で合ってる。ちなみにわかってると思うが俺もオタクだ。これからよろしくな。」

「改めて僕も名乗っておくよ。八尾拓人だ。小鳥遊には昨日のオタバレしたことに対して個人的に仕返ししてやるから覚えとけよ。」

なんて冗談まじりに自己紹介してから世間話をして明日は仕事だということで帰ることにした。

廉の家から出てすぐに家に帰った。そしてダラダラとすごして夜に明日の準備をして出勤して会うことを考えるとすこし億劫になるのだった。


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