「おやすみ」に添えられた言葉

「おやすみ」に添えられた言葉

作者 @kinoko489

https://kakuyomu.jp/works/16816700426324730761/episodes/16816700426331532832


 ネットで出会って別れた彼女をいまでも愛している作者の実体験。


 問いかけられたタイトルの答えは、読めばわかるという作りになっている。

 どのようにネットで出会ったのかが言及されていない。なにかしらのSNSで巡り合ったのは、「私にとって運命の出会いだった。なぜだかわからないけど、こう、この人だ! ってなった。不思議だね」という形で語られる思い出話。


 LINEのやり取りをしていたとき、向こうが「大好きです」と送られ、嬉しくなって急いで「私もです」と返事をしようとすると、「嘘です」とつづけて送られてきた。

 瞬間、「目の前が真っ暗になった。世界が足元から瓦解したように感じた」と表現している。漫画でショックを受けたときに、ガラガラっと音を立てて足場が崩れていく描写があるけれども、それを表現したような書き方はうまい。

 その後、「呆然としている私の手の中でスマートフォンが震え」て届いたメッセージに「愛してます」の文字。

 上げて、下げて、また上げる。

 心の揺さぶりがうまい。

 相手の人は年上かしらん。

 しかも、このときのやり取りの気持ちを、「ずっと忘れることができないでいる」のだ。ハートを鷲掴みされてしまった。


 文字だけのやり取りは、視覚や聴覚などの他から入ってくるより多くの情報がないので、文字だけのやり取りで相手を判断するのは非常に困難だし、互いに嘘をつかないという性善説にたってやり取りされている。相手が嘘をついていても見抜けないのだ。


「その後、彼女とはこちらの世界で一度も出会わぬまま向こうの親御さんの反対で別れることに」なったという。

 こちらの世界とは、リアルの世界のことか。

 袖すり合うも他生の縁という言葉がありますが、まさにネットですれ違うように出会って別れ、いまも「愛している」気持ちは残ったままだという。


 わたしもこれまでたくさんの人とネットを介して出会い、やり取りしてはリアルで会うこともなく別れてきた。恋愛ではなく、友達として仲良くなったひとたち。その人達はゲームのモブキャラでもなければ、小説の架空の人物でもない。同じ時代、同じ空の下、この星のどこかで生活している実在の人物なのだ。

 その関係は、リアルで出会って仲良くなって別れ、いまは会わなくなったひとたちと何ら変わりがない。

 新たな出会いがあることを切に願います。

 

 恋愛ものの構図は「出会い→深め合い→不安→トラブル→ライバル→別れ→結末」でできており、結末には「ハッピー」「アンハッピー」「死別」の三パターンが用意される。

 書かれている内容はこれに準じているし、もう少し肉付けをしてみるのもいいかもしれない。

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