第196話 冒険者移住ブーム
「いったいどうなっているんだ? 冒険者たちが、モンスターの素材、資源、魔石を買取所に持ち込まなくなってしまったぞ!」
「所長、こんなことはおかしいです! 早急に冒険者たちに告知しましょう。買取所は空いていると」
「そうだな。冒険者など、暴力だけの脳筋どもだ。我々エリートがしっかりと指導しなければ」
「……」
上野公園ダンジョンの買取所において、所長と副所長がわけのわからないことを言っているが、なにもおかしいことはない。
このところ日本国内の買取所に、冒険者たちがダンジョンで得た成果を持ち込まなくなったので、初の赤字決算となってしまった。
天下りの所長と、獅童総理の知り合いだからという理由だけでコネ入社した副所長が不思議だ、不思議だ、と話しているが、そうなって当たり前の状態が続いていた。
彼らが本当にその理由に気がついていないはずはなく……いくら無能でもそこまでバカだと信じたくない……その理由を口にすると、親分である獅童総理批判になるからであろう。
だから冒険者のせいにしているのだ。
下手に獅童総理を批判すると、彼の手下が聞き耳を立てているかもしれないのだから。
だとしても、この二人がなにか具体的な解決策を実行するわけではないから、別に救いがあるわけてばないけど。
獅童政権になってから、日本は再び国家予算が赤字になってしまった。
これまでの黒字分を切り崩し、日本は赤字国債の発行が禁止されたので歳費を大幅に減らし、そのおかげで日本の不景気はますます酷くなった。
世の中にお金が回らなくなったのだから当然だ。
会社や店舗がバタバタと倒れ、焦った獅童総理は補助金名目で金をバラ巻いた。
そのおかげでどうにか獅童政権を続けることができているが、彼が総理大臣であることを喜んでいる日本人は少ないだろう。
あれだけ大言を吐いておいて、支持率のために知り合いにお金を配る、旧来の政治家と同じことをしているからだ。
『私の目が黒いうちは、絶対に増税はしません!』
と、記者会見などでは威勢よく言うが、国債が発行できない以上増税しなければやっていけないのだが、獅童総理は支持率を気にして増税できなかった。
しかし、なにかしらの財源が必要だ。
そこで、買取所の買い取り金額を大幅に下げたのだ。
買取所の利益は国庫に入るので、冒険者からは安く買って、客には高く売ることで稼ごうとした。
実質冒険者への増税になるのだが、このやり方には欠点があった。
冒険者はダンジョンで得た成果を、必ず買取所に売却しなければならない法などなかったのだ。
当然だが、命がけで得た成果を買い叩かれるのはたまらないと思った冒険者たちは、他に売るようになった。
自然と買取所に冒険者は近寄らなくなり、どうやっても赤字になるわけがないと言われていた買取所が、大赤字になって国の財政にダメージを与えるという奇妙な事象が発生する。
現在、買取所の幹部や職員に給料が異常に高い天下りが多いことや、経費を好き勝手使っていた件などが週刊誌などでスクープされて大きな批判に晒されているが、所長と副所長にそれを解決できる能力などない。
獅童総理への批判もタブーなので、二人はのんびりお茶を飲みながら、冒険者への愚痴をこぼすのみだ。
いくら大赤字になっても、獅童総理がなんとかしてくれると考えているのだろう。
民間企業なら潰れてしまうが、ここが親方日の丸の強みであった。
赤字分を負担させられる国民は堪ったものではないけど、これも獅童総理を選んだ結果なので次の選挙までは諦めてもらうしかない。
「だいたい冒険者たちはけしからん!」
獅童総理の知り合い……腰巾着なだけはあって、彼らの批判の矛先はおかしなことを決めた獅童総理ではなく、買取所を利用しなくなった冒険者たちに向かう。
彼ら無能はプライドだけは一人前なので、買取所が大赤字なのは冒険者が悪いと本気で思っている……わけがなく、獅童総理のせいだとわかっていても彼を批判できないから、冒険者に当たるしかないのか。
彼らが無能たる所以だな。
潰れない限りは、組織人としては賢い生き方なのだけど 。
「彼らは国のことを考えず、自分のことしか考えていない!」
「もう金持ちなんだから、国に貢献すべきだ!」
獅童総理の支持者は左翼が多いのだが、自分の都合が悪くなると、右翼のように冒険者は非国民だと騒ぎ立てる。
矛盾しているが、元々人間は矛盾した存在だ。
おかしな話ではない。
「(それよりも、これからどうするんだろう? もう買取所に冒険者が戻ってくることはないだろうからな)」
ここ数ヶ月で、多くの優れた冒険者たちがトレント王国の国籍を取り、元々持っていた国籍との二重国籍状態となっていた。
日本において二重国籍は禁止なのだが、実は昔から二重国籍状態なのに放置されている人も少なくなく、ここで白黒ハッキリさせると高額納税者である冒険者がトレント王国に流れてしまう。
日本はトレント王国を承認していなかったこともあり、日本政府は知らんぷりをしていた。
そして冒険者の方も、買取所の件も含めて、今後冒険者が嫌いな獅童総理がなにをやらかすか心配なので、レベルを上げて富士の樹海ダンジョン2000階層クリアを達成し、トレント王国があるアナザーテラにも拠点を構えるようになっている。
幸いというか、古谷良二が彼らのレベリングを手伝っているので、トレント王国にも生活拠点を持つ冒険者が増えていた。
トレント王国……もう一つの地球、アナザーテラ、そして月。
ここにあるダンジョンの成果は高く売れるものばかりなので、高レベル冒険者ほどトレント王国に生活と仕事の比重を移しているイメージだ。
その結果、日本のダンジョンに潜る冒険者は減った。
ダンジョン大国であった日本で生活する外国人冒険者は多かったが、優れた外国人冒険者たちは、より稼げるトレント王国に引っ越してしまったからだ。
そして、空いた冒険者特区内の住居が非冒険者に高額で売却されるようになった。
冒険者特区は高度なインフラが整っていて、治安がよく、ゴーレムが使えるので統治コストが低く税金が安い。
希望者が殺到し、冒険者特区が認めた非冒険者の金持ちが移住するようになっていた。
高レベル冒険者は冒険者特区内のマンションを一室維持して活動拠点を確保し、本宅はトレント王国内というパターンが増えている。
その結果、日本の一部冒険者特区は不動産物件の取引が活発になり、冒険者と非冒険者の富裕層が住む場所へと変貌していった。
現在、獅童政権と対立している冒険者特区は国税の納税を拒否しており、独力状態……いや、実質トレント王国の影響下に入ったのも大きいのか。
それは、買取所が大赤字になるわけだ。
これまで冒険者から得た税金で上手くやってたのに、獅童総理のせいで滅茶滅茶になったら、冒険者のせいにする。
獅童総理に従順だから優遇されている二人に相応しい処世術といえよう。
将来も彼らの地位と生活が安泰だという保証はないけど。
「こうなったら、日本で活動している冒険者はダンジョンで得た物をすべて買取所で売らなければならない、という法律を作ってもらうしかない!」
「それはいいアイデアです、所長。すぐに獅童総理にお願いしましょう」
「(どうしてそういう結論に至る?)」
まさかそんな法律を通さないだろうと高を括っていたら、獅童総理と日本再生党は強引に採決してしまった。
その結果、階層が少ない地方のダンジョンから冒険者が消えてしまった。
命がけでダンジョンから手に入れた物を買取所に安く買い叩かれ、さらに財政難を理由に、冒険者に対し冒険者税までかけたからだ。
それなら海外のダンジョンで稼いだ方がマシという結論に至るまで時間はかからず、冒険者が潜らなくなった主に地方のダンジョンが三年で十五個も消滅。
だが、いくら支持率が下がっても獅童総理は辞職せず、ますます日本は不景気の波に襲われるのであった。
「なんか、このところ犯罪が増えてないか? 窃盗事件や暴力的な人が増えたよね?」
「なんでも、財政難で刑務所から多くの受刑者が釈放されたそうな。ゴーレムの導入で刑務所と少年院の収容コストが下がったから、これまで犯罪者は厳格に刑務所に収容されていたんだけど、今は予算減でそんな余裕ないから、軽い窃盗や暴力、交通犯罪くらいだと刑務所に収容されなくなったからな」
「……獅童政権になってから、ろくなことがねえな」
「獅童総理を支持している弁護士たちは、喜んでいるみたいだけど。簡単に犯罪者の不起訴や、執行猶予判決が勝ち取れるから、自分たちの成績が上がるんだと」
「救いがねぇ世の中だな。安心して街中も歩けない」
ベーシックインカムが廃止され、職がなく、生活保護が取れなかった人たちが悪事に走るなんて、エリートで金持ちな獅童総理は想像できないんだろうな。
治安が悪くなったので、富裕層はトレント王国に本拠地を移した冒険者が冒険者特区内に持っていた家やマンション、不動産を購入して引っ越した。
冒険者特区は税金が安いというのも、引っ越す理由だろう。
学校も私立しかないが、冒険者特区では学費の補助があるから、ほとんど負担がない。
その代わり、一定以上の資産と収入がないと冒険者特区で暮らせないし、問題を起こせば即座に追放されるけど。
以前からアメリカにも富裕層しか住めない町があったし、日本でも住民の平均所得が高く、実質富裕層向けの町があるのが現実だ。
冒険者特区のせいでそれが表面化し、一部マスコミでは日本人の分断だと大騒ぎしているが、誰だって便利で税金が安く、犯罪が少ないところに住みたい。
これまではそれが日本全国で実現されていたのに、獅童総理がそれを駄目にした。
彼に投票した日本人が悪いんだが、人間は自分の失敗を認めない生き物だ。
獅童政権による世論に誘導もあり、日本に冒険者を憎む人たちが増えていく。
「冒険者はズルい!」
「たまたま冒険者特性を得ただけで贅沢に暮らしている!」
「奴らから税金を取り立てろ!」
「冒険者特区は国税の納税を拒否しているんだろう? とんでもない連中だ!」
「自衛隊を派遣して占領しろ!」
獅童総理は支持率を回復させるため、日本国民に敵を作り出す戦術に出た。
内政で失敗した国の指導者が、他国を強く批判して国民の不満を反らすのと同じ手法だ。
自分が嫌っている冒険者たちが冒険者特区に籠り、国税の納税まで拒否している事実をマスコミに流し、国民が冒険者を嫌うように誘導していく。
冒険者が力をなくせば、自分が実用化した常温核融合炉の普及が早まると思っているからだ。
獅童総理の策は当たり、多くの日本人が冒険者を批判し、獅童総理の支持率は少し回復している。
少しなのは、獅童総理のやり方が無茶苦茶なことに変わりはないからだ。
しかし冒険者を批判すれば、自分たちが恵まれていないのは冒険者のせいだと思っている層の支持を得られる。
獅童総理は、 冒険者批判をやめなかった。
「これでは、優秀な冒険者たちほどトレント王国に逃げて当然だろうな」
せっかく上手くいっていたのに、それが簡単に駄目になっていく。
政治とは難しいものだ。
「こちらのマンションなどいかがでしょうか? 手頃な価格ですよ」
「(手頃で五億かよ!)購入します」
「ありがとうございます」
官僚など、政治家の暴走の前には無力だ。
まさか、彼らの指示を無視するわけにいかないからな。
幸い、私は妻にやらせていた投資が順調で資産が増えているから、獅童政権の嵐が終わるまで上野公園ダンジョン特区内にある高級マンションに避難するとしよう。
高い買い物だったが、上野公園ダンジョン特区内のマンションの価値が下がる可能性は少ないどころか、富裕層の冒険者特区への避難はまだ終わっていない。
今後さらなる値上げが予想されるし、上野公園ダンジョン特区なら霞ヶ関に通勤するのも楽だからな。
結局、誰であろうと政治家による悪政で被害を被らないよう、 自分で動くしかないということだ。
その究極系が、古谷良二をはじめとする冒険者なんだろう。
「獅童総理の暴走で、ますますアナザーテラに逃げ出す高レベル冒険者が増えそうだよ。アナザーテラのダンジョンは難易度が高いけど、実入りがいいってのもあるけど」
「あの人、ますます暴走してるよね」
「彼は、冒険者さえいなくなれば、人々は平等に暮らせると本気で思ってるからね」
「……そういう人が、将来独裁者になるんだよねぇ」
「ウー君の言うとおりだ。『地獄への道は善意で舗装されている』を地でいく人物だからね。獅童総理は危ういし、その支持率は危険水域にあるけど、岩盤支持者層は思った以上に強固だ。冒険者憎しで纏まってるから、彼らの間では獅童総理は人気がある」
「冒険者がいなくなれば、格差がなくなる。この世界にダンジョンが出現する前から格差はあったけどね」
「リンダ君、彼らに事実を教えても無駄だよ。なぜなら、自分たちが生き辛いのは冒険者のせいだと思いたい人たちなんだから。多分彼らは、ダンジョンや冒険者がいなかったら、他のなにかに責任にしているんじゃないかな」
「アメリカにもそういう人たちっているけど、本当に困った人たちね」
「そんな人たちの話を続けても仕方がない。仕事をしないと」
「それもそうですね、良二様」
獅童政権下の日本は色々と大変らしいけど、自分たちで選んだ政治家だから仕方がない。
俺たち冒険者は、アナザーテラを領地とするトレント王国を冒険者の国にすべく働いていた。
ダンジョンに潜り、農業、畜産、漁業、養殖をゴーレムにやらせ、その成果で食料を自給、備蓄して、余った分を各国に輸出して稼いでいる。
富士の樹海ダンジョン近くに王都を作り、国民の住居を確保した。
貴族に任じられた女王親衛隊の隊員たちは、全員が世界中や月にあるダンジョンの管理をデナーリスから任され、ダンジョン近くにも屋敷を建てて、普段はそこに住んでいる。
王都の屋敷は、江戸の大名屋敷のような扱いだ。
参勤交代はないけど。
彼女たちのパートナーというか婿として、俺の後輩である石井君もいた。
彼のというか、奥さんである子爵の結婚式に呼ばれたけど、最初強引にさらわれたにしては仲が良さそうで、石井君も元気そうだったな。
デナーリスの親衛隊286名は、全員無事に婿を迎え入れられてよかった。
もし婿が見つからなかったら、俺が彼女たちと結婚しなければいけない事態もあり得たからだ。
他にも、富士の樹海ダンジョン2000階層を突破した高レベル冒険者の移住者が増え、トレント王国の人口は2000名を突破した。
まだ人が少ないけど、ゴーレムがその数万倍いるから問題ないはず。
それに、日本のみならず世界中の国で冒険者を迫害する国が増えており、まずは日本の冒険者特区に移住。
その後、トレント王国移住を目指す冒険者が増えていた。
なので、これからも順調に人口は増えるはずだ。
冒険者が今の文明社会を維持するのに必要なエネルギーと資源を確保しているのに、格差を広げているという理由で虐げる。
『なんだかなぁ……』と思いつつも、仕方がないので距離を取る選択ができる冒険者は、全員が人格者だとは言わないが、かなり理性的だと思うのだけど。
そのトレント王国だが、『国民になるには修羅の国のように大変だけど、なれたら楽園』。
ネットでは、そう言われるようになっていた。
『トレント王国は優れた冒険者しか国民になれず、不公平だと思います、か。これは間違ってますね』
最近、動画で視聴者の質問に答える企画をやるようになった。
だいたいはダンジョンやモンスターに関する質問だったが、徐々に俺がトレント王国に生活拠点を移しつつあることが知られると、冒険者だけがトレント王国で楽に贅沢に暮らしていてズルい、的な意見が多くなった。
冒険者特性を持つ人しか移住できないのは不公平であり、一般人も受け入れるべきである、と言ってくるのだ。
『冒険者特性がなくても、富士の樹海ダンジョン2000階層をクリアできれば。アナザーテラの富士の樹海ダンジョン2000階層から地上に上がれれば、冒険者特性がなくてもトレント王国の国民になれます』
残念ながら、これまでにそんな人は一人もいなかったけど。
『なにより、トレント王国はみんなが思ってるほどインフラが整っていません。ほとんど 交通インフラが整備されていないので、 車や飛行機が役に立たないのです。竜騎兵が購入できない人は移動すら困難ですし、医者がおらず、怪我や病気になると治癒魔法と魔法薬で回復させるからお金がかかります。トレント王国には健康保険もないので、 怪我や病気の治療はすべて実費負担です。現時点では学校もないので、子供はホームスクーリングか、リモートで勉強するしかありません。将来、王都に私立の学校が建設される予定ではありますけど、通学が難しい子供がいるはずなのでリモート学習が主に成るでしょう』
と説明はするのだけど、定期的に俺たちがアナザーテラで楽しく生活している様子を 動画であげているので、移住したいと思っている人は多いようだ。
だが、 大半の人はそれが叶わない。
中には、自分がトレント王国に移住できないのはおかしいと考える人たちもいるのだろう。
『( そういう人たちの要望を優しく受け入れた結果が今の日本だ。トレント王国は、これから迫害されることが多くなる冒険者の国にする。今日わぁーーー! お正月に備えて、 日本海にカニを獲りにきました!』
冬の日本海…… 地球と同じ名前にしているのは、別の名前をつけるのが面倒くさかったからだ……で、俺たちは漁船を出して松葉ガニを獲っていた。
他に獲る人がいないので、すぐに大量の松葉ガニが獲れる。
獲り過ぎても無駄になるので、すぐに切り上げて屋敷に戻り、松葉カニを食べることにした。
『松葉ガニのしゃぶしゃぶ、焼きガニ、茹でガニ、カニクリームコロッケ、カニ炒飯、カニ尽くしです。他にも、アナザーテラのダンジョンにいた『ブラックキャンサー』を調理した物もあります」
『殻も身も黒いカニですか……』
『リョウジ君、それ美味しいの?』
『実際に食べてみればわかります』
『食材の色って大切なのね。リョウジ、あまり美味しく感じないわ』
イザベラたちは松葉ガニ料理を絶賛しながら食べていたが、身まで黒いブラックキャンサーはお気に召さなかったようだ。
『こっちの黒いカニ方が美味しくないかしら?』
ダーシャはカニが黒ずくめでも気にしないらしい。
純粋に食べ比べて、ブラックキャンサーの身の方が美味しいと断言した。
『俺も、身質自体はブラックキャンサーの方が上だと思うけど、色がなぁ……。松葉ガニ美味しいです』
ただダーシャのように、カニの身が黒いことが気にならない層には、『殻が透明なクリスタルキャンサーよりも美味しい』と評判になり、世界中の高級店でブラックキャンサー料理が大人気となった。
『今日は、巨大な動くキノコの『フリーダムマッシュルーム』を調理してみようと思います』
アナザーテラのダンジョンで手に入る特殊なモンスターの調理方法は、俺の動画チャンネルで定期的に公開され、それが宣伝となって世界中に輸出されるようになり、トレント王国に多くの富をもたらすことになった。
「獅童総理は間違っている! 自分が気に入らないからといって、日本国内で活躍している冒険者をトレント王国に追いやり、日本はどれだけの富を失ったか! 私は獅童総理の責任を……うっ……うーーー!」
「大変だ! 志村候補者が倒れたぞ! 心筋梗塞か?」
都内で獅童総理を批判し続け、多くの支持者を得ていたようだが、目立ちすぎたな。
お前を殺すくらい、『上級呪術師』を持つ私にかかれば……。
「冒険者特性がない政治家など、簡単に呪い殺せる」
冒険者嫌いで有名な獅童総理だが、金払いはいいので、なるべく顔を合わせる時間を減らせば俺は耐えられる。
「古谷良二の呪殺で十兆円とは凄いな。よほど嫌いなんだろうな」
同じ冒険者でも、戦闘力が低く、モンスターよりも人間を呪い殺す方が得意な私は、同業者に避けられている。
それなら、獅童総理の仕事をこなして大金を稼ぎ、第二の人生に備えた方がマシってものだ。
「どうにかして、古谷良二の髪の毛、皮膚、爪を手に入れたいところだが……」
古谷良二は常に警戒しているのでなかなか手に入らず、それなら他の仕事をこなして稼ぐとしよう。
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