第186話 娼婦の真実
「突然の来訪、無礼とは思いますが、古谷さんに縋るしかなく、岩城さんから紹介していただきまして……」
「はぁ……(岩城理事長でも、彼女のフェロモンに対抗できないのか……)」
岩城理事長から、ある冒険者の悩みを解決してほしいと頼まれたのだが、まさかやって来たのが彼女だとは思わなかった。
それにしても、やはりレベリングの影響で余計に娼婦としての能力が劇的に上がってるな。
剛は俺たちとレベリングしているから大丈夫だけど、ちょっと強さに自信がある程度の冒険者だと、簡単には誘惑されてしまうと思う。
「あのぅ、お悩みとはなんなのでしょうか?」
俺と彼女が対面しているだけで、なぜか同席しているイザベラたちがえらく警戒していた。
もし俺に手を出そうとしたら、容赦しないといった感じの殺気を向けているのだから。
「(イザベラたちが脅威に思うくらい、彼女のスキルは凄いのか)」
そんな彼女の悩みってなんだろう?
仕事は順調なはずだ。
冒険者としても一流で、夜のお仕事も一晩で一億円も貰えるのだから。
「私の悩みは、娼婦スキルをコントロールできるようになりたいんです!」
「コントロール?」
「はいっ! 多くの男性が、私が冒険者特性と娼婦のスキルを得てからおかしくなってしまいまして……」
「そういうスキルなので仕方がないのでは?」
すでに彼女は、娼婦スキルを存分に生かして荒稼ぎしている。
スキルをコントロールできなければ、稼げないと思うのだが……。
「どういうことなのか、詳しく教えてください」
「はい。私は……」
雛川明日香が、俺に事情を説明し始める。
「私、十五歳の時に冒険者特性が見つかって、これでダンジョンに潜って稼げるって喜んだんです」
ただし、スキルは『娼婦』だった。
「スカウターを手にした役人さんが、とても言いにくそうに、私にスキルを伝えてくれました」
他の測定者たち、それも高校に上がる前の少年少女ばかりがいる前で、彼女にあなたのスキルは『娼婦』ですと告げる。
確かに言いにくいなんてもんじゃないし、言ったら言ったで空気が悪くなりそうだ。
「それでも冒険者になれる喜びの方が勝って、私は装備を整え、冒険者高校に入学して頑張りました」
彼女は地方の冒険者高校の出で、上野公園ダンジョン特区の学校に通っていた俺たちとは面識がなかったそうだ。
冒険者としては優秀な方で、地方ながらAクラスになり、早速同級生たちとパーティを組んでダンジョンに挑み始めた。
「ところが、私のレベルが上がると、段々と問題が発生しました」
レベルが上がると強くなるが、同時に娼婦としての特技というか特製というか。
パッシブスキルのようなものが出てきてしまい、その影響で彼女に告白したり、デートに誘う男性たちが増えてきたという。
「私、高校生になるまで男性にモテた経験なんて一度もなかったんですが、レベルが上がる度に、同校、他校を問わず、多くの男性生徒、先生、よく知らない若い男性や、サラリーマン、おじさん、お爺さんまで……」
娼婦である彼女が出すフェロモンというか、色気に魅かれて、中にはストーカー化する者まで現われたらしい。
「レベルアップしたばかりだと、自分の力をコントロールできない人は多いから、それが原因かも」
駆け出しの冒険者がレベルアップした直後、力の加減を間違えて家族、恋人、友人を怪我させてしまうことがある。
自分の力が大幅に上がったのに、 これまでと同じ感覚で軽く友人の肩を叩いたら骨折してしまった。
喧嘩をしたら大怪我させてしまった。
ニュースでたまに流れるほど珍しくない話だ。
彼女の場合、娼婦スキルのせいで男性に好かれすぎてしまうのだ。
「そのうち、パーティの男性メンバーたちが迫ってくるようになって……」
「ああ、パーティがダメになる原因でよくあるやつきた!」
同じパーティメンバーの女性を巡って、男性たちが争う。
逆もまた然りで、パーティが解散に追い込まれる事例は珍しくなかった。
向こうの世界でも、それで揉めてパーティが解散するなんて日常茶飯事だった。
彼女も、初めて作ったパーティが崩壊したそうだ。
「男性メンバー二人が私を取り合って喧嘩になった結果、解散となってしまったので、それ以降、私とパーティを組んでくれる人がいなくなりました……」
正確には、彼女といい仲になりたいと願う男性冒険者及び、男性パーティからしか声がかからなくなってしまった。
「下心が見え見え過ぎますし、私は真面目に冒険者として身を立てたかったので断りました。ですが……」
まともで実力がある冒険者ほど、パーティに加えるとリスクがある彼女を入れたがらない。
せっかくパーティが上手くいっているのに、彼女の加入で男性メンバーがおかしくなってしまうからだ。
「それでしたら、女性のみのパーティに入ればよろしかったのでは?」
「イザベラは意外と女性がわかってないね。アスカのような女性を嫌う女性って多いんだよ。スキル娼婦でしょう? 余計に嫌う人はいるよ」
イザベラの意見に対しホンファが反論したが、確かにそんな気はするな。
「はい。私はこのスキルのせいで、女性冒険者にもの凄く嫌われていますので……。仕方なく、ソロで頑張り続けました」
以後、彼女は一人でダンジョンに潜ってモンスターを倒し続けた。
だが、それはさらなる悲劇を生む。
「余計に娼婦の特性が表に出てしまいまして……」
「だよねぇ」
レベルが上がれば上がるほど、彼女は凄腕の娼婦になっていく。
彼女を誘う男性が増えすぎて、ダンジョン攻略どころか私生活にも支障をきたすようになり、その色香に迷った挙句、彼女を誘拐することを目論む人間まで現れ、ダンジョンに潜れなくなってしまった。
「ここで、岩城理事長が手を貸してくれました。理事長は私のスキルに惑わされないので」
「岩城理事長はレベル高いからね」
会社経営にもレベルが必要だと、定期的にレベリングの依頼を受けており、彼も手の平にはレベル1しか表示されないが、こちらの世界でレベルを5000は上げたそうだから。
最近、世界中で起業家、資本家、政治家などに転身する高レベル冒険者が増えており、俺は彼らのレベリングを手伝うことも多かった。
レベルが高ければ高いほど、今の驚異的な速度で変わる世の中についていけるし、 新しい知識や技術の習得も容易になるからだ。
俺に支払うレベリングの代金は、自己投資のカテゴリーに入るだろう。
レベルアップした彼らに冒険者特性がない経営者が対抗するのは非常に難しく、極一部の天才たちのみであった。
そんな彼らが頑張れば頑張るほど、好景気なのに潰れる会社が増えて世界は大変なことになっているけど。
「岩城理事長は、『完全に男性を拒絶し続けるのはかなり難しい。ならば娼婦として、男性を受け入れるべきだ』と」
「あまり感心できる解決策でありませんね」
綾乃が岩城理事長に対し、露骨に嫌悪感を感じていた。
確かに、教え子に対し娼婦を仕事にしろってアドバイスするのはどうなんだろう?
「あの、岩城理事長は悪くないんです。おかげで私は、冒険者としても活躍できていますから!」
「でもさぁ、そんな理由で男性に体を許してしまうのはどうかしら? 私は嫌よ」
「私も嫌ですよ!」
「えっ、でも。アスカは娼婦なんでしょう?」
「あの……ここからは秘密にして欲しいんですけど……」
「岩城理事長からの依頼なので、秘密は守ります」
「娼婦はある程度レベルが上がると、『幻惑』が使えるようになるんです」
「『幻惑』ね」
『幻術』の一種だが、幻で相手を惑わせる、非常に強力な魔法というかスキルになる。
その場にないものを幻として見せるだけでなく、実際に経験していないことを経験したと脳に認識させることも。
強力な『幻惑』だと、実際に剣で斬られていないのに体が剣で斬られたように脳に認識させ、魔法を食らっていないのに体に魔法のダメージを受けたかのように認識させ、相手を殺してしまう人もいるとか。
「っ!」
『幻惑』の危険性を認識している綾乃が、俺と彼女の間に割って入って杖を構えた。
そのくらい強力な魔法なのだ。
「綾乃さん、私はそういう攻撃的な『幻惑』は使えないんです。娼婦なので、その……」
警戒された彼女は、懸命に綾乃に自分の能力を説明し始めた。
「私は娼婦なので、その……。お相手の男性に『幻術』をかけると朝までぐっすり眠ってしまって、目が覚めると、私と情熱的な一夜を過ごしたという記憶だけが……」
「……それってつまり?」
「私が直接お相手しているわけではないんです!」
衝撃の事実だった。
一晩一億円という世界最高の娼婦が、実はまったく男性とそういうことをしていなかったのだから。
「悲しいな、それ」
「そうかな?」
「だってさ、良二。男性たちは、世界最高の娼婦と、情熱的な一夜を過ごしたと思い込んでいるんだろう?」
「彼女の『幻惑』があまりに強力だから、それが幻や夢だなんて微塵も思っていないはず。もしバレていたら、一晩一億円だぞ。絶対に問題になる。今まで彼女と一晩を過ごした男性たちは、本当に最高の一夜を過ごしたと思っているんだ。考えようによっては、それはもう現実なんじゃないかな?」
「かもしれんが、ちょっと複雑な心情だな」
「それは俺も思う」
俺と剛は、彼女の娼婦としての仕事に対する評価に迷っていた。
彼女は客と実際にチョメチョメしていないけど、客は世界最高の娼婦と、最高の一夜を過ごしたと思っているんだ。
でも本人がそう思っているのなら、外野が我々がどうこう言う話でもないような気がする。
「実は彼女には好きな人がいて、だから娼婦の仕事をしていても、他の男性と性的な関係になるのを避けていたのかもしれない」
「操を立てるってやつだな」
「あの……。私は今まで生きてきて、そういう男性がいた試しが……。娼婦をしているのは、迫り来る男性たちから身を守るためなので」
彼女と一晩を過ごせる男性は大金持ちばかりなので、そんな彼女に下手な男性がちょっかいを出したらとんでもないことになる。
だから彼女は、岩城理事長のアドバイスで一晩一億円の娼婦をしているのか。
「あれ? ってことは、この人は処……」
「それは言わないでください! わっ、私が処女だったとして、それになんの不都合があるって言うんですか?」
「「「「「「……ないです」」」」」」
世界で一番高い娼婦なのに、男性経験がゼロ……。
娼婦スキルの恐ろしさだな、これは。
「とにかくだ! 彼女の悩みに全然関係ない話はこれで終わりだ!」
彼女の悩みは、娼婦スキルのせいで、普段も大量に寄ってくる男性をどうにかしたいということだ。
改めて彼女の顔を見ると、可愛くはあるが、彼女くらいの美少女なら世界中を探せば山ほどいるだろう。
ならどうして、彼女に大勢の男性が群がってしまうのか。
それは、娼婦スキルを持つ人間が無意識に放つ、フェロモンのようなものが存在しているからだと思う。
『鑑定』、『測定』はできないものだけど。
「変装しても、集まってくる男性の数は変わらないんですよね?」
「はい。どんなに不細工に変装しても駄目でした」
「やはりそうか」
顔やスタイルの良さなどは一切関係なく、ただ娼婦スキルを持つ人が放つフェロモンで男性が寄ってくるから、男性に変装しようが、モンスターに変装しようがダメだと思う。
「となると、正確には違うけど、便宜上体から湧き出るフェロモンとでも例えておこうか。この流れを自在にコントロールできるようになれば、普通の生活ができるようになると思う」
娼婦として戦ったり、夜の活動する時だけフェロモンを放出すれば、冒険者として活動できるってわけさ。
普段はフェロモンを止めれば、彼女に大勢の男性が集まることも避けられそうだ。
「戦う時も、フェロモンは必要なのですか?」
「正確にはフェロモンじゃないんだよ。冒険者として戦うのに必要な気の一種でもあるというか……。フェロモンの放出を抑えてモンスターと戦うと、多分彼女はもの凄く弱くなると思う」
スキルが娼婦だから、男性を誘惑するスキルは戦闘能力にも大きな影響を及ぼすはずだ。
だから戦闘中にその流れを止めるのは感心できなかった。
「モンスターによっては、『幻惑』で動きを封じることも可能なはず」
彼女と一晩を過ごした男性たちと同じく無防備になるから、これがパーティを組まなくてもモンスター討伐を続けられる理由でもあるはず。
『幻惑』で無防備になってしまうモンスターばかりを専門に狩れば、安全に稼げるのだから。
「古谷さんは、どんなスキルやジョブの情報にも詳しいんですね。どうにか普段は普通の状態にできないものかと……」
「それは力のコントロールに属する類のものだから、 解決策はただ一つだね」
「解決策があるんですか?」
「ある。それは、今よりもレベルを上げることだ」
「ですが、 これまで私はレベルが上がると……」
「中途半端なレベルだと、中途半端に威力を増したフェロモンのせいで、男性が余計に寄ってくるだけだ。今のあなたは、レベル897か。1000を超えると、もっとフェロモンをコントロールできるようになるかもしれない」
レベル2000かもしれないけど。
とにかくレベルが高ければ高いほど、力のコントロールがしやすくなる。
高レベル冒険者ほど知力が上がるのもあって、世間の人たちが考えるほど一般人相手に問題を起こしていないのだから。
勿論ゼロではないけど、普通の人間よりも犯罪率が低いのは事実だ。
「レベルを上げることで、 私も力をコントロールしやすくなるということですか?」
「レベルはすべてを解決する! とまでは言い切れないけど、大半の問題を解決するから」
「またレベリングをお願いします! お金ならお支払いしますので」
つい先日五十億円を支払ったばかりなのに、まだ出せるという彼女。
さすがは、一晩一億円なだけのことはある。
「とりあえず、レベル1000で様子を見よう」
「よろしくお願いします」
というわけで、俺たちは富士の樹海ダンジョンへと向かう。
今日はイザベラたちと富士の樹海ダンジョンに潜る予定だったので、ついでに彼女のレベリングもしてしまう予定だ。
「あの……ここは……」
「少しでも気を抜いたり、 無駄な動きをしたら一瞬で殺されてしまうから、大人しくレベルが上がるのを待っているように」
「はい」
富士の樹海ダンジョン6000階層で、レベル897の冒険者なんて、モンスターに殺してくれと言っているようなものだ。
イザベラたちと剛、俺で守りながら戦うので、まず彼女が死ぬことはないけど、桁違いの巨大さ、 スピード、パワーを見せるロックドラゴンの姿が……彼女のレベルでは目視できないから、怖がることはないのか。
「 いくぞ!」
「「「「「おおっ!」」」」」
みんな、レベル30000を超えているので、6000階層で不覚を取ることはないはずだ。
実際、次々とロックドラゴンを倒していく。
そして彼女のレベルが爆発的に上がっていき、ついに……。
「レベル1000を超えました」
「どう?」
「ええと、特に変化は……」
「レベル2000なのかな?」
彼女がフェロモンをコントロールできるまでレベルを上げないといけない。
頑張って戦い続けたが一日では終わらず、翌日も俺たちは頑張って彼女をレベル2000にしてみた。
「どうですか?」
「外にあふれ出る力をコントロールできている気がしません」
「良二、レベル3000かもしれないぞ」
「かもしれないが……」
「お金はお支払いしますので」
「(さすが、一晩一億円だな)」
とにかく、彼女が自分で力の出し入れをコントロールできるようになるまで、俺たちは彼女から一回五十億円を貰ってレベリングを続けた。
「レベル3000! どうだ?」
「まだです」
「レベル4000だ! どうかな?」
「まだです」
『よくそんな手間がかかることをするよな』と思われるかもしれないが、岩城理事長の依頼だし、一回五十億円を彼女は必ず支払うし、死んでも文句は言わないという条件も受け入れたので、俺たちの富士の樹海ダンジョン攻略に同行しているだけで楽だったのもあった。
彼女のレベリングには、あまり手間がかかっていないのだ。
なにより、俺たちはこのところ富士の樹海ダンジョン攻略をサボっていたのもある。
他の仕事が忙しくて後回しにしていたので、都合がよかったというのもあった。
そしてついに……。
「レベル5000を超えたら、『隠蔽』を覚えました」
「うーーーん、以前は感じていた『フェロモン』のような気配が消えたな。確かに」
彼女を見ても、以前のような色気は……ああ、俺は元から感じないんだった。
試しに町中を歩かせてみるが、確かに男性が集まってくることもなくなった。
彼女は普通の一定数いる美少女にしか見えない。
『隠蔽』で、上手くフェロモンを隠しているようだ。
「ふう……。これで解決だな」
「古谷さん、拳さん、イザベラさん、ホンファさん、綾乃さん、リンダさん。大変お世話になりました。 このご恩は忘れません」
彼女は俺たちにお礼を言うと、町中に消えていった。
これから普通の休日を楽しむのだ そうだ。
久々に普通の女性として街に出ることができ、嬉しくて堪らなかったのだと思う。
「凄い人でしたわね。職業が娼婦なのに処女って……」
イザベラの気持ちはわかるけど、そこは黙っていてあげようよ。
「彼女はなにもしていないのに、『幻惑』で最高の一夜を過ごしたと思い込んでいる男性、それも、世界のセレブたちが……」
ホンファは、彼女と一晩を過ごした世界のセレブたちを知っているようだ。
「良二様、高レベル冒険者に彼女の『幻惑』はバレなかったのでしょうか?」
「アスカは冒険者を見分けることができるから、断ってたんじゃないの?」
「リンダの言うとおりだと思うな」
あくまでも非冒険者専用か、レベルの高い冒険者の客は排除していたんじゃないかな。
詳しく聞いていないから、それが真実かどうかはわからないけど 。
「ねえ、リョウジ。一つ聞いていい?」
最後に、リンダに質問された。
「なんだ?」
「リョウジって、 絶対に彼女の名前を呼ばなかったじゃない。 それって意味があるの?」
「あるよ。あくまでも念のためだけど、 彼女の名前を呼ばないことも『幻術』にかからない効果があるのさ」
彼女ほどの『幻惑』持ちの名前を呼ぶことにはリスクがある。
事実、彼女にメロメロになった冒険者たちは、、みんな『明日香さん』って名前を呼んでいたのだから。
だから俺は、たとえレベル差が圧倒的でも彼女を名前で呼ばなかった。
「慎重なのねぇ。でも、アスカにまったく靡かなかったリョウジは凄い! さすがは私たちの旦那様ね」
「浮気の心配はなさそうですね」
「リョウジ君はいい旦那様だよ」
「良二様、 大変な仕事も終わりましたので、 私たちの家に戻りましょう」
「俺も、彼女の誘惑には引っかからなかった……。別にいいんだけどさ」
こうして、スキルが娼婦の冒険者からの依頼は無事に終わったのだけど……。
「ええっーーー! 一晩十億円に値上がりしている!」
「なにが凄いって、払う奴がいるってことだ」
数日後、岩城理事長から教えてもらった彼女の予約アプリ……俺も剛もいらないけど、面白い情報があるからって……を見てみたら、なんと彼女との一晩の料金が十倍に上がっていた。
しかも来月には、また倍額に値上げするそうだ。
どうして値上げをするのかといえば、自分は冒険者を本業にしたいので、それでも 相手をしてもらいたければ、それだけの金額を払え。
客が増え過ぎたので、値上げをして客数を減らす。
海外の飲食店やサービスだと、よくある商売方法だって聞いたことがあった。
「二十億円払って、実際にはヤレてない現実」
「言うな、剛。しかし、二十億円にしても予約殺到か……」
それだけ彼女の『幻惑』が凄い証拠だろうが、ネタがわかってしまうと興味が湧かないものだな。
それにしても、彼女に恋人や配偶者が現れる日が来るのだろうか?
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