第134話 結末(後編)
「……なあ、なにをジっと俺を見つめているんだ? 俺にそんな趣味はないぞ」
「あれ?」
「あれ? じゃない。俺は男に熱い視線で見つめられて喜ぶ趣味はないんだが……」
詐欺で荒稼ぎしている田丸がいるビルに入り、そこを警備するいかにも反社組織に所属していそうな連中の目をかい潜って最上階にある社長室らしき部屋へと入ると、そこには痩せ型で陰気そうな男が豪華なソファーに座っていた。
俺が声をかけると、すぐに目を合わせてきて……さっきは冗談を言ったが、俺は田丸勉が催眠術に類するものをかけたのに気がついていた。
俺とのレベル差を覆せる方法が、特殊スキルを用いるしかないと知っていたからだ。
実際、向こうの世界でもそれを用いる敵と戦ったことがある。
魔王の手先に、人間と。
数は少ないが、こういうスキルを使う奴は厄介なので苦戦したのを思い出す。
確かに特殊なアイテムやスキルを用いれば、レベルが圧倒的に上の相手を倒したり、スキルの効果を発揮させることができる。
だが、俺には通用しない。
なぜなら、俺と田丸勉ではレベルの差が隔絶していたからだ。
「自分のスキルを最大出力で発揮できる、自分を中心とした小さな円形に俺が入ったから、俺を自由に操れるようになる。そう思ったのか?」
「……」
「どうやらそうらしいが、俺には通用しないぞ」
レベルの差もあるが、俺だって催眠系のスキルは使える。
だから事前に、俺は鏡を使って自分に催眠をかけていたんだ。
自分の催眠にかかることで、他人の催眠を無効にする。
いくら俺だって、無防備に田丸ブランドのペンダントをつけ、至近距離まで近づいたら完全に操られてしまう。
「お前のスキルは催眠系……『空気師』? 催眠術師の上位ジョブ、スキルの類か?」
だから日本に住んでいる人たちは、田丸が販売するペンダントをつけていないと非国民という空気を産み出せたのか。
そしてこの力を俺に集中すれば、俺を操ることも容易かったはず。
だが俺は、田丸のジョブ、スキルの正体に気がついていたから事前に対策できた。
「(もし知らなかったら危なかったな)で、まだビックリ玉手箱はあるのか?」
「どうして僕のスキルが……」
「どうしてって……お前の実力が、俺よりも圧倒的に低いからだろうな」
俺が罠にかからなければ、あとはレベル差がネックとなって、田丸に操られることなんてないのだから。
「きっ、貴様ぁーーー! 年上で愛国者たる僕に生意気な!」
「生意気? 意味がわからんし、そのスキルだけど俺にばかりリソースを使って大丈夫か?」
「えっ? それはどういう?」
「お前、ちゃんと自分のジョブとスキルの特性を理解しているか?」
日本に住んでいる人たちが、自分が販売するペンダントをつけていないと非国民扱いされるようにスキルを発動させたのに、今は俺を支配下に置こうと、懸命にすべての力を使ってしまっている。
つまり、俺を奴隷にすることに集中するあまり、最初の催眠が解けてしまっているのだ。
「お前の催眠がなければ、ボッタクリ価格のクソみたいなペンダントなんて誰もつけないさ。今頃、大騒ぎ……」
「なんで俺は、こんなクソダサいペンダントなんてつけているんだ?」
「こんな安物いらねえよ!」
「これに、俺が五十万も払ったのか? なんで? 詐欺?」
「オレオレ詐欺をしている半グレの俺たちが、こんな詐欺に引っかかってどうするんだよ?」
田丸の護衛をしていた反社な人たちの催眠が解け、激高しながら首にかかったペンダントを引き千切って地面に叩きつけていた。
そして、自分たち相手に詐欺を働いた人物……田丸のことだが、彼への怒りを増幅させている最中だ。
「今頃日本中の人たちが、ボッタクリペンダントを販売したお前に怒っているだろうな。詐欺だと」
原価数百円のペンダントを、最高数億円で販売しているからな。
田丸の所業を詐欺とするのは法的には難しいかもしれないが、一つだけわかっていることがある。
「日本国内の空気は、お前がとんでもない詐欺師だという評価で定まったということだ。『田丸君はペンダントを売っていただけで、詐欺だと問うのは難しい』という意見の人も一定数いるだろうけど、それを口にすると彼らが叩かれてしまう。みんなが世間の空気を読んで、お前を詐欺師として糾弾するだろうな」
空気師のスキルが解けると、彼らはどうして高額で田丸ブランドの安物ペンダントを購入したのかよくわからなくなってしまう。
もしかしたら、警察は世間の空気、世論を読んで田丸を詐欺罪で逮捕するかもしれない。
「空気師が、世間の空気で逮捕されてしまう。こんな皮肉な話はないな」
「貴様ぁーーー!」
突然田丸が俺に襲いかかってきたが、レベル300なうえに、空気師を得る前は『盗賊』だった彼が俺に勝てるわけがない。
盗賊は素早いが、数多のジョブを会得した俺に勝てるわけがなく、『麻痺』を食らってその場に倒れ伏した。
「よっ、よくもこの僕を……まさか、僕を殺すのか?」
「まさか」
もしそんなことをして世間に露見したら……もし田丸を殺しても証拠は絶対に掴ませないが、変に疑われてもイメージダウンで視聴回数が減るから困る。
だが、こいつの空気師のジョブは世間に悪影響が大きすぎるので、どうにかしなければならない。
「(すでにレベル300もあるから、奪い取るのは不可能なんだよなぁ……。だが、方法がないわけではない)。『テイムモンスター召喚!』」
実は、催眠系のスキルとジョブと同じか、それ以上に希少なスキルとジョブに『テイマー』、『召喚師』がある。
召喚は、俺がホワイトミュフのみゅうを召喚してペットにしているのと、最近やっとサブジョブというか、追加の上級職として覚えた人が世界で三人出たと聞いた。
ただ、その三人のレベルは500を超えた程度。
そんな彼らが召喚できる召喚獣の強さはイマイチで、それなら自分が戦った方がレベルも上がりやすいし稼げるというジレンマがあった。
安全に楽にスライム、ゴブリン狩りをするのなら便利なんだけど、もっと下層のモンスターを狩って荒稼ぎするには、なるべく強い召喚獣を服従させ、効率よく安全に雑魚モンスター狩りをさせるために訓練の必要だ。
それにかかる時間を考えると、召喚師ってのは案外使いにくかった。
そしてテイマーだが、これも使い方が難しい。
まずは使役するモンスターをテイムする必要があるのだが、それには死なない程度に痛めつけてから捕らえないといけない。
これがかなり難しいし、苦労して弱らせても、モンスターがテイマーに従わないケースも多かった。
『お前に服従するくらいなら死んだ方がマシ!』と思うモンスターが多いのだ。
弱いモンスターをテイムしてもその使いは道は非常に限られるし、テイムしたモンスターは専用の魔法の袋か筒に入れて持ち歩かないといけない。
ペットのように自分に従わせてもいいが、モンスターはテイマーにしか慣れていないので、町中を歩かせると興奮して他人を攻撃しようとする。
もしそのせいで死人や怪我人が出たらテイマーの責任になるので、モンスターを収納しておく特殊なアイテムは必須だった。
しかもモンスターは、召喚獣とはまったくの別物だ。
生きているので食事を必要とし、エサを与えなければ餓死してしまう。
種類によってエサが違うので、エサの種類を把握し、それを定期的に手に入れないとモンスターをテイムし続けられない。
魔法の袋と筒に入れてたのを忘れて、せっかくテイムしたモンスターを飢え死にさせてしまうテイマーの話は、向こうの世界でよく聞いた。
「(俺は普段モンスターなんて使役しないけど、こいつは特殊な攻撃手段を持っているから養い始めたんだ)頼むぞ、チュパラカス」
「ふも?」
俺は自家製の魔法の筒から、この前テイムした一匹のモンスターを出現させた。
モンスターの名はチュパラカスといい、かなりのレアモンスターだ。
大型犬くらいの大きさで、中国から日本へ伝わった伝説の生物、幻獣である獏によく似ている。
それほど強くはないが、決まったダンジョンや階層に生息せず、ランダムシャッフルタイムの時にしか出現しないレアモンスターであった。
「チュパラカス、やれ」
「ふも」
「まっ、まさか! 僕をモンスターに食い殺させるつもりか?」
「殺しはしないさ」
麻痺したままなので体は動かせないが、田丸は慌てふためいた声と表情を俺に見せた。
チュパラカスに殺させると思ったようだが、こいつは攻撃力はそんなにないし、素早いので倒す前に逃げてしまうことが多いモンスターなので、攻撃には向かない。
その代わり、他のモンスターにはできない特殊な攻撃をする。
「ふも」
チュパラカスが象に似た長い鼻を動かし、田丸の近くまで伸ばした。
そして同時に、その鼻でなにかを吸い始める。
田丸の体から虹色の光の玉が飛び出し、それをチュパラカスが鼻で吸っていく。
「いったいなにを?」
「こいつには、他のどのモンスターも使えない特殊攻撃が使えるんだ。『レベルドレイン』というな」
「まさか僕のレベルが……」
「正解」
田丸のジョブは危険なので、チュパラカスに『レベルドレイン』攻撃をさせてレベルを下げさせた。
レベル300を切ると、せっかく獲得した『空気師』のジョブがなくなってしまう。
これで日本に住む人たちが、ダサいペンダントをつけるのが義務だとは思わなくなった。
そしてさらに、チュパラカスが田丸のレベルを吸い上げていく。
「こらっ! やめろ! 僕のレベルがぁーーー!」
「うるさいなぁ」
『静寂』で彼の声が外に漏れるのを防ぎつつ、チュパラカスにすべてのレベルを吸わせる。
ついに田丸は盗賊レベル1になってしまった。
「わけのわからないことをするからだ。天罰を食らえ!」
最後に、俺が『レベルドレイン』を使って田丸の冒険者特性を取り上げた。
「あれ? 僕の手の平のレベルとジョブの表示が消えた? どうして?」
「天罰だろう」
愛国者を気取り、詐欺紛いの方法で多くの人たちからお金を奪い取るからだ。
自分が作ったペンダントをつけるのが、日本に住む者の義務だと思わせる。
そんなジョブ、スキルがあることが政治家にでも知られたら、利用しようとするバカが現れかねない。
「(悪いが、お前は一般人に戻ってもらう)冒険者じゃなくなったのか。じゃあ、これまでダサいペンダントをボッタクリ価格で売って荒稼ぎした報いを受けるしかないな。まあ自業自得だ」
「お前! 僕のジョブを奪ったな?」
「俺にそんなことはできないから、単に働いた悪事の天罰を受けただけだろう。せっかくレベル300を超えて上級職になったのに、おかしな野心を抱くからこうなる……。おっと、俺はもう帰るから。あとは、下の階にいる反社の方々が相手してくれるだろう」
俺にそんな力はないなんて勿論嘘だが、わざわざ田丸ごときに教えたくないからな。
そして彼は忘れていたようだ。
自分が護衛として利用していた反社な人たちの怒りを。
「っ!」
護衛たちは田丸が『空気師』だから、高額のボッタクリペンダントを購入し、彼の警備まで担当していた。
だが空気師のスキルが切れれば、彼らは田丸に騙されたことに気がつく。
安物のペンダントを大金で購入させられ、護衛として使われていたのだ。
彼らの怒りは、当然田丸に向かう。
「アラスカでカニ漁か、たんまり保険金を掛けられてダンジョンか……。短期間だったけどいい思いをしたんだ。その思い出を胸に頑張ってくれ。じゃあ、俺はこれで」
俺が魔法で体を消すと、そこに元田丸の護衛で反社の方々が駆け込んできた。
空気師のスキルが切れたせいで、彼らにとっての田丸は、自分たちを舐め腐って大金を騙し取り、護衛として扱き使ってくれた憎しみの対象でしかない。
さらにに田丸は冒険者特性を失ってしまった。
残念ながら、腕力で彼らに勝つことは難しいだろう。
「(お前が多くの人たちから騙し取った金は、なるべく返還してもらうように手配するよ。お前は……彼らが許してくれたらいいね)」
「ゴラァーーー! 田丸!」
「半グレ組織『黒蜘蛛』を舐め腐りやがって! 俺たちにこんな安物のペンダントを大金で売りつけた恨みは十倍にして返してもらうからな!」
「逃げられると思うなよ!」
「ひぃーーー! 古谷良二ぃーーー!」
「はあ? なにを言っているんだ? こいつは」
「古谷良二が、こんなところにいるわけがないだろうが!」
俺が記憶を奪っていたせいで、半グレ組織の構成員たちは俺がこのビルに強引に入り込んだ事実を忘れていた。
それを知っていたからこそ俺は姿を消したのだし、そうなると彼らの興味は田丸にしか向かない。
田丸への天罰は、この反社の方々に任せて俺は仕事に戻るとするかな。
ああ、その前にチュパラカスにエサをちゃんとやらないと。
こいつはレベルと経験値を食べるけど、残念ながらそれだけでは腹が膨らまないんだよな。
「『謎の詐欺師、田丸勉。どうして我々はなんら疑いもせず、彼に言われるがまま安物のペンダントを高額で購入してしまったのか? その謎に迫る!』。ワイドショーも週刊誌も、稀代の詐欺師の話題ばかりですわね」
「順次ペンダントの代金は返金されているが、残念ながら数十億円ほどは戻ってこないんだって。どうやら大金が入って気が大きくなったみたいで、派手に無駄遣いしたんだろうね。詐欺師あるあるだよ」
「つき合いのあった反社組織に流れた金額も大きいとされ、警察が調べているそうですが……」
「でも、肝心のツトム・タマルは行方不明。謎が多い事件……リョウジ、どうして彼の身柄を反社組織の構成員たちに渡してしまったの?」
「俺が正義の味方じゃないからさ。田丸が警察に逮捕されて空気師のジョブのことをペラペラと喋ったら、冒険者に対する世間の警戒感が大きく上がってしまうだろう。彼らはあいつに騙されて、大金でペンダントを買わされた挙句、用心棒までやらされたんだ。暴力団も半グレも舐められたら終わりだ。だから俺は、彼らに譲ってあげたのさ」
「冒険者特性もないただの人間一人が、半グレ組織に捕まったら終わりか……。良二もエグイことを……と思わんでもないが、冒険者が世界征服を目論んだなんて事実が世間に知られると、俺たちも困るな」
「田丸勉。普通に冒険者をしていればよかったのに、余計なことをするからこうなる。確かに俺たちは常人を超える力や財力があるが、世界中の人間を敵に回せば夜もオチオチ眠れなくなってしまう。そこのところを考えてほしかったんだが……」
「レアなジョブが手に入って浮かれたんだろうな。実際日本は、奴の支配下に入りつつあったんだから」
俺が田丸勉の冒険者特性を奪った翌日以降、世間は日本人の大半をペテンにかけ、安物のペンダントをボッタクリ価格で販売し、荒稼ぎした彼の話題で持ちきりだった。
空気師のスキルのせいで、俺たち以外の日本人は田丸が販売するペンダントをつけないと非国民扱いされると思い込み、こぞってダサい安物のペンダントをボッタクリ価格で購入したが、俺が奴の冒険者特性を奪ったせいで、どうして自分たちがそんな風に考えたのか理解できないどころか、その部分だけすっかり記憶が抜け落ちた状態だ。
タレントや知識人、インフルエンサーが、テレビ番組や動画で『ペンダントをつけない人は非国民!』などと強く発言したものは残っていたが、彼らには自分がそんな発言をした記憶すら残っていなかった。
だが田丸のペンダントをその首にかけながら、ペンダントをつけていない人たちを強く批判、迫害した証拠がバッチリ残っており、田丸の共犯扱いされ、世間から叩かれ、社会的地位や仕事を失ってしまった人も多い。
有名な動画配信者たちも、それが原因でチャンネル登録者と視聴回数がガタ落ちし、大打撃を被っていた。
そのせいかは知らないが、普段どおりダンジョン関連の動画をあげ続けている俺のチャンネル登録者と視聴回数が爆増したのは、ペンダントの話なんて一言もしなかったからだろう。
ペンダントの話をした日本の動画配信者たちが没落し、代わりに新しい動画配信者たちが有名になっていく。
残酷なまでに弱肉強食な世界だが、ここはそういう業界なので仕方がない。
彼らも田丸の被害者ではあるのだが、ペンダントをつけていない人たちを動画で激しく批判し、それで視聴回数を稼いでいたのは事実だからだ。
「タマルという方は、どうなったのでしょうか?」
「ダンジョン送りかな?」
このところ、多重債務者に多額の保険をかけてダンジョンに送り込むことが難しくなっている。
冒険者は危険な仕事なので、保険会社が保険に入れてくれなかったり、ダンジョンで死んだ場合、保険金を支払わないケースが増えていたからだ。
だが俺は、田丸は反社の連中にダンジョンに送り込まれたと思っている。
「それなのに、タマルはダンジョン行きなの?」
「あいつは優れた冒険者ってことになっているからな。反社組織の連中は、自分たちを騙した分は体で返せと、田丸をダンジョンに叩き込んだはずだ。だが奴は、もう冒険者特性を持っていない」
ホンファの疑問に答える。
田丸の行方は警察も探しているはずだ。
なぜなら、彼をちゃんと取り調べないと、彼を詐欺で捕らえられないからだ。
「だが、田丸が捕まると困るんでね」
もし田丸が、空気師なるジョブについて話してしまうと、国家権力がますます冒険者を疑うようになってしまう。
彼らは、自分たちの地位を脅かす存在が嫌いだからだ。
「悪いが、だから死んでいただいた。イザベラ、ホンファ、綾乃、リンダ、剛。俺を酷い男だと思うか?」
もしそう思われたとしても、それで距離を置かれてしまったとしても、それは仕方がないことだ。
俺は別に愛国者でもなんでもなく、自分を含めた冒険者が不利益を被らないように動いているだけなのだから。
「いえ、もしイギリス政府が空気師の存在を知ったら、リョウジさんよりも直接的な手段で手で下すと思います」
「というか、どこの国でもそうだと思うよ。今回の件で日本に住む人たちがペンダントに拘ったことは世界各国が知っているから、今、なにがあったのか分析しているはずだし、じきに高レベル冒険者による催眠スキル支配という結論に辿り着くと思うな」
「その時に田丸が生きていると、動かぬ証拠となってしまうかもしれません。これでいいとは言いませんが、証拠はない方がいいでしょう」
「もし日本の世論が、『冒険者は怖い、日本から排除するか、徹底的に管理すべき!』なんて言い出すと困るものね。でもリョウジ、あなたがタマルから奪い取った冒険者特性。これを他の人に渡すと、その人がレベル300になった時、空気師が復活するんじゃないの?」
「俺もそれを心配してた」
「大丈夫だよ。冒険者特性は、その人によってまったく結果が変ってしまうから」
田丸が冒険者特性を持っていたから、レベル300で空気師を得られただけで、他の人に冒険者特性を渡しても、その人に適したステータスとジョブ、スキルが現れるだけだ。
「また他の誰かが、なにやら変わったジョブ、スキルを獲得するかもしれないけど、その時はその都度対応するしかないな。悪用しなければ、俺の仕事が増えないでいいんだけど」
勿論そんなわけはなく、そのうち特殊なジョブやスキルで世間に騒ぎを起こそうとする冒険者への対策を考えないとな。
その前に、他の人たちと同じく田丸の術中に嵌まり、俺たちにペンダントを勧めた西条さんに今回の事件について詳細な説明をしないと。
しかし空気師って……。
日本で活動している冒険者だから現れたのかね?
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