第16話 高額の個人レッスン

「リョウジ君、ここは?」


「上野公園ダンジョンの第五百階層だ。丸一日で十億円に相応しい指導をするため、先にレベルを嵩上げしておこうと思う。それでここのモンスターなんだけど、とにかく硬くて倒せないが、攻撃をしてこないから」


「攻撃してこないのですか? リョウジさん」


「してこないけど、イザベラさん、これで攻撃してみて」


「これ……ミスリルソードでは? 確か、全世界でまだ三本しかドロップしていないはず……」


「どうせ折れても素材として再利用できるから、気にしない斬りかかってみて『ダークボール』に」


「あのボーリングの玉のようなものにですか?  あれがモンスター?」


「これがモンスターなんだなぁ」




 ダークボールは、ただ五百階層に点在しているだけである。

 攻撃もしてこない。

 だからといって、『運がいいな』なんて思いながら一体も倒さないで下の階層に降りると、それが地獄への一里塚かもしれないのだ。


「鋼の剣で鉄球を斬れる私ならば、このミスリルソードを使えば……」


「だといいね」


「やあ!  えっ?」


 イザベラさんがミスリルソードでダークボールを斬った瞬間、『カキン!』という音と共にミスリルソードが真っ二つに折れてしまった。


「私! 大変なことを!」


「別にいいよ。沢山持ってるから」


 向こうの世界で手に入れたものと合わせて、何本持っているのか面倒くさくて数えていないくらいだし、折れたら、直すかミスリル素材にしてしまえば問題ないのだから。


「力任せに斬ったわけではないのに……」


 パっと見た感じ、イザベラさんは剣の達人である。

 ミスリルソードの性能に頼りきっていたわけではない。

 それでも、ダークボールに傷一つ付けられなかったということは……。


「完全なレベル不足。このダークボールを倒せない冒険者が、五百一階層に降りたらほぼ死ぬ」


「五百一階層のモンスターたちが硬いからでしょうか?」


「硬いのは当然として、四百九十九階層までのモンスターたちとは、まるで強さの質が違う。攻撃が通らないのさ」


 上野公園ダンジョンこと元魔王のダンジョンは、RPGだと、ラスボスを倒してクリアーしたあとに入れる、裏ダンジョンのようなものだ。

 強くなければ、瞬殺されてしまうのだ。


「それでも、イザベラさんたちはレベル表示が出るだけマシだよ。俺はレベル表示がバグっているから」


「五百一階層以下のモンスターを倒せるかどうか、全部手探りだったんだね」


「そういうことだよ、ホンファさん」


「ダンジョンとは、想像以上に厳しいものなのですね。それを私たちに教えるために……」


「綾乃さん。それもあるけど、このダークボールでレベルが稼げるからだよ。反撃してこないのに、多くの経験値を稼げるのさ」


 俺が向こうの世界でダークボールを倒した時、レベル表示なんか出ないので、体が軽くなった感覚を数えて自分の強さを計算していたのだ。

 ダークボールは、レベルアップに有用なモンスターであった。


「ですが、私たちではダークボールに傷一つ付けられません」


「そこは十億円を貰ってるからね。フォローはする。まずはこの剣を使ってくれ」


「これは? 見たことがない素材の剣ですね」


「オリハルコン製だからね」


「「「ええっ! オリハルコン製!」」」


「そんなに驚くことかな?」


「ダンジョンなので手に入るという予想はされていましたが、まだ誰も見つけたことがない未知の金属ですから」


 この上野公園ダンジョンだと、九百階層以下ならそこそこ手に入るんだけどなぁ。

 鉱石も合わせて。


「まずはイザベラさん。その剣を使って、次に……」


 イザベラさん対して、補助魔法『パワーアップ』の重ねがけをした。

 補助魔法の重ねがけも、レベルと才能がないとできないのだけど、俺なら余裕で十回以上重ねがけできる。

 まずは十回で様子を見よう。


「補助魔法の効果は一時間なので、剣の性能に頼らず、これまでに習得した技でダークボールを斬ってみてくれ」


「わかりました! 駄目です……」


「少し傷ついたかな?」


 やはりレベルが低すぎるので、十回では駄目だったか……。

 ダークボールの方に『軟化』をかける方法は効率が悪いので、『パワーアップ』をもう五回重ねがけし、再びダークボールを斬らせてみた。


「ダークボールの急所は中心部にあるコアだけど、意外と大きいから多少中心部から外れても大丈夫」


「わかりました。斬れました! やりましたよ、リョウジさん」


 今度は無事、ダークボールを真っ二つにできた。

 イザベラさんが大喜びしているけど、今はそんなことをしている暇はない。


「嬉しいのはわかるけど、今は一体でも多くダークボールを斬ってくれないかな? 一体でも多く倒せば、それだけレベルも上がりやすいから」


「はいっ! 頑張ります!」


 イザベラさんは、次々とダークボールを斬り始めた。


「で、ホンファさんにはコレ」


「オリハルコン製のナックルかな?」


「そういうこと」


「ボクも早くダークボールを倒したい」


「どうぞ」


「早くない? 補助魔法を、十数回も重ねがけしたのに」


 それは、強くなればなるほど魔法を素早く展開できるようになるからだ。

 当然効果の発動も早まるので、敵モンスターに対しスピードで先手を取れるようになる。

 先手を取れば、応戦準備を整える前のモンスターにダメージを与えやすくなり、それができないと、最下層のモンスターと戦えない。

 レベルを上げきればそこまでする必要はないけど、最初はそのくらいできないと、強いモンスターに瞬殺されてしまうのだ。

 さらに、魔法の才能がある一定の基準を超えると『無詠唱』が可能となり、ますます魔法を早く発動させられるようになる。

 今の俺がその状態であった。


「自信をなくします……」


 無詠唱が使えない綾乃さんが、目に見えて元気をなくしてしまった。


「賢者は魔法に特化した上級職のはずだから、そのうち覚えると思うよ。綾乃さんはこれ」


 残念ながら魔法を強化するというのは難しいので、俺はある杖を綾乃さんに渡し、『パワーアップ』を重ねがけした。


「この杖は……オリハルコン製ですけど、私は物理攻撃の方は……」


「この杖は、某RPGにも出てきた、魔力を物理的な攻撃力に変換できる杖だよ。ゲームだとあまり役に立たなかったけどね」


 実は向こうの世界でも、こんなものを使うぐらいなら、魔法を使った方が手っ取り早いと言われるような武器であった。

 ただ、魔法使いがダークボールを倒して経験値を稼ぐには、非常に便利な武器である。


「私の魔力量ですと、すぐに魔力が枯渇してしまうような気がします」


「それは、俺が適時回復させていくから。魔法使いは、一度に複数のモンスターを魔法で薙ぎ払ったり、そのモンスターが苦手な系統の魔法で一方的に勝利できるけど、強くならないと、下層のモンスターに魔法が効かなくて瞬殺されるケースが多い。すべてレベル不足が原因だから、とにかく強くなるしかない。強ければ、弱くなったモンスターなんて魔法で薙ぎ払えばいいんだから」


「わかりました」


「中心部のコアを狙って、そこを杖の先端で突く! 魔力は可能な限り篭めて!」


「はいっ!」


 綾乃さんの一撃でもダークボールが倒せることが確認できたので、彼女が三匹のダークボールを倒して魔力がほぼ尽きた瞬間に、自作した魔力ポーションを投擲して魔力を回復させた。


「えっ? 魔力を回復させるポーション? しかも全快するなんて」


 通常のポーションはあちこちで見つかり始めていたが、魔力ポーションはまだ二~三個しか見つかっておらず、確か日本政府が買い上げて研究用に回しているはずだ。

 だから綾乃さんは驚いたのであろうが、俺は簡単に作れるからなぁ。

 材料も、ダンジョンで簡単に手に入れられる。


「今は驚いている場合じゃないので、ダークボールを倒し続けてくれ。一時間したら、一旦十分休憩だ」


「わかりました」


 それから一時間。

 さすがは特別クラスのトップ3。

 効率よく、おびただしい数のダークボールを倒すことに成功した。


「邪魔だから、一旦ダークボールの死体は回収します。休憩です」


 俺は、自作したハーブティーを三人に振舞った。

 十億円もらっているからな。

 このくらいのサービスはするさ。


「初めて飲むハーブティーですけど、とてもよい香りで、体が落ち着きますね」


「疲労回復効果があるんだ。この一時間で大分レベルアップしたはずだから、いわゆるHP自体は減っていないけど、レベルアップして上昇した分が回復していないはず。それを回復させつつ、急激にレベルアップすると体へのダメージがどうしても出てしまう。それも回復させる効果があるんだよ」


「確かに、『ちょっと筋肉痛かな?』って思っていた痛みがなくなった」


「このハーブティー自体も美味しいですね。リョウジさんがお淹れになったのですか?」


「ちゃんと淹れないと、効果が落ちてしまうからね。覚えたんだ」


「飲みあともスッキリしていて、また飲みたくなります。今度機会がありましたら、このお礼にお茶を点ててさしあげますね」


「お茶会かぁ。戦国武将みたいだな。この休憩が終わったらまた一時間同じことをして、また休憩。午前八時から始めたから、お昼までに四回繰り返せるね。午後からどうするかは、要相談ってことかな」


「要相談とは?」


「午前中いっぱいダークボールを使ってレベルを上げ続ける。で、午後から体を慣らすためにこれまで潜った階層で実戦をするか。もしくは今日終わるまで、ずっとダークボールを倒し続けてレベルを上げ続け、体を慣らすのは自分たちでやるかだね」


 どちらを選ぶのか?

 俺の予想は外れてないと思うけど、それはあとのお楽しみで。

 今日の鍛錬を始める前、三人は日本と世界のトップランカーで、この上野公園ダンジョンの四十二階層まで到達していてレベル45だった。

 俺はレベル表示が出ないからよく分からないけど、大体その階層の攻略推奨レベルは、階層の数と比例しているはずだ。


「三人とも、今のレベルは?」


「私は、レベル98ですわ」


「ポクは、レベル102」


「私は、レベル95なので一番低いですけど、たった一時間で……」


「それはレベルが低いのに、倒すととてつもない経験値が入るダークボールを沢山倒したからさ」


 俺も、向こうの世界では飽きるほどダークボールを倒したものだ。

 安全に強くなれるからな。


「レベルに差が出たのは、戦士、武闘家系はレベルが上がりやすくて、魔法使い系はレベルが上がりにくいからだと思う。でも、魔法使いが高レベルになったらモンスターを薙ぎ払えるから、経験値も魔石や素材も稼ぎやすくなる。ただ……」


 あまりよく考えないでモンスターを魔法で薙ぎ払うと、モンスターの素材は諦めなければならないケースが多いけど。

 弱いモンスターを魔法で薙ぎ払って、魔石と鉱石のみを集まるのであれば、効率よく経験値と金稼ぎができるはずだ。


「今の三人だと、九十五階層までが比較的安全に攻略できるレベルかな。十分といえば十分だけど、指導できる日は今日しかないから、先にできる限りレベルを上げてしまうという手もある。その代わり、体慣らしの実践とダンジョンの攻略は後日自分たちだけでということになる。その辺は本編の動画を見てもらうとして、急にレベルアップすると気が逸って思わぬミスをすることが多い。俺と一緒にいる間はそれを止めることができる。さて、どっちを選ぶ?」


「それは断然レベルアップですわ」


「どちらを選択するのかなんて、悩むまでもないね」


「体を慣らしながらゆっくり攻略するのは自分たちだけでできますが、このダークボールを使ったレベルアップの方法は、良二様がいないとできませんから」


「ではそういうことで」


 その後、三回同じことを繰り返し、昼食とオヤツの時間を挟んで、夜までひたすらダークボールを倒し続ける。

 レベルアップの影響で次第に重ねがけする『パワーアップ』の回数が減っていき、最後には二~三回だけ『パワーアップ』をかければダークボールを倒せるようになっていた。


「私は、レベル427になりましたわ」


「ボクは、レベル432だね」


「レベル425です」


「こんなものかな」


 一日でレベルが十倍近くになったので、三人は優秀な生徒だったということだ。

 ジョブが上級なので、基礎ステータスも高いからであろう。


「慌てずに、適切なペースで四百階層を突破できれば、その頃には『パワーアップ』ナシでもダークボールも倒せるようになっているはずだ」


「リョウジさん、ありがとうございました」


「でも、ボクたちこれだけ強くなっても、リョウジの足元にも及ばないんだろうね」


「もっと強くなって、良二様とパーティを組めるように頑張ります」


 無事に三人の指導が終わってよかった。


「ダークボールの魔石と素材は、四人で均等に分けるよ。ただ、しばらくは買取所に持って行かないでほしいかな」


 イザベラさんたちが、突然突然とてつもなく低階層に生息していると思われる未知のモンスターの魔石、鉱石、素材を大量に持ち込んだら、俺の正体がバレる心配だったからだ。


「ダークボールというのは、どのようなものが得られるのですか?」


「中心部のコアが鉱石で、これは様々なレアアースとレアメタルが混じったものになる」


 それぞれ、どのレアアースとレアメタルが入っていて、何種類が混じり合っているかなど個体差があるが、高純度なので採算は取れるはずだ。

 魔石はとてつもなく頑丈なモンスターなので、品質はかなり高い。

 ダークボールの魔石一個で、スライム千個分以上に相当するはずだ。


「ダークボールの素材は、いつか自分たちだけで手に入れますから、すべてリョウジさんにお譲りしますわ」


「そうだね。やっぱり十億円じゃ安いから」


「報酬の代わりにお受け取り下さい」


「いいの?」


 今日一日中、三人が倒しまくったので、多分売却するととんでもない金額になるはずだ。

 平等に分けないと悪いような気がしてしまう。


「それに、私たちのアイテムボックスでは、あんなに大量のダークボールは入りませんから」


「そうだよね。あれだけの量を全部入れて、まだ余裕そうなリョウジ君が凄いと思うよ」


「驚異的ですね」


 この三人。

 アイテムボックスも持っていたのか。

 持っている人が少なく、さらに容量もピンキリなので、冒険者たちはアイテムボックス持ちを仲間にしようと必死だというのに。


「私たち三人のアイテムボックスも相当な収納量だと思っていたのですが、上には上がいるものです」


「レベルアップで容量が増えたと思うんだけど、リョウジ君には勝てないかな」


「私が、三人の中で一番アイテムボックスの容量が大きいのですが、これだけレベルアップしても、良二様には勝てる気がしません」


「レベル1000を超えたら勝てるかも」


「最低でもそのぐらいのレベルがないと、この上野公園ダンジョンは攻略できないということですね?」


「あくまでも、最低でもだね。しくじりれば死だし、最下層付近で苦戦してしまうかもしれないし。レベル1500あれば確実に大丈夫だと思う。あくまでも俺の予想だけど」


「リョウジ君の予想だと、ほぼそれで当たりなんだろうね。頑張ろうっと!」


「そうですね」


「本日はありがとうございました」


「悪いから、貸したオリハルコンの装備あげるよ」


「よろしいのですか?」


「九百八十階層から九百九十九階層付近でモンスター狩りをしていると、三日に一度ぐらいは手に入るから」


「驚きばかりで声も出ません、ありがたく頂戴します」


「大切にするよ」


「オリハルコンって神級装備の最下層だから、そんなにはありがたがらなくても大丈夫だよ」


 子供の頃に遊んだRPGだと、オリハルコン製の装備ってほぼ最強の武具の材料だったけど、向こうの世界だとそれよりも優れた素材がいくつも存在したからな。

 それにこの上野公園ダンジョンは、元は最下層部に魔王が逃げ込んだ最強のダンジョンだ。

 モンスターを大量に狩っていると、レアアイテム扱いで手に入るんだよね。

 強くなると運の数値も上がるから、さらに手に入りやすくなる。


「この世界で、良二様以外持っていない貴重な装備を申し訳ありません」


「俺は仕事をしただけだから。綾乃さんの杖は、普通に魔法触媒として使えばかなりの補正が入るから、普段でも使えると思うよ」


 某魔力を攻撃力に転換する杖としては使い勝手が悪いけど、魔法使う際に持っていると、魔法の威力に補正が入るから、ただ持っているだけの方が便利という。


「それでは本日の講習は終了です。また学校で!」


 三人をダンジョンコアを用いて地上まで送り届け、俺は一人帰宅の途につく。


「三人の顔が映るから動画撮影はできなかったけど、三十億円とダークボールの素材、得しちゃったな」


 その日もスーパーの半額弁当を食べてから就寝し、翌日からいつもの生活パターンに戻った。

 そして週に一度の登校日。




「古谷君! レアメタルとレアアースってあったら売ってちょうだい!」


「あれ? 岩城理事長の経営してる会社って、レアアース屋だったんですか?」


「実はそれもやっているんだよ。今、地球上に採算が取れるレアアース、レアメタル鉱床が消滅しちゃって。日本はある程度備蓄があるんだけど、備蓄にも限度があるから……相場の代金出すからお願い!」


「わかりましたよ……」


 別にボッタくろうという気もないし、ちょうどダークボールの素材が沢山あったので、これを岩城理事長の会社に売ってあげた。


「こんなモンスター見たことないけど、これどこの階層の?」


「五百階層のです」


「……古谷君は、相変わらず規格外れだね。ダンジョン内で撮影できるビデオカメラ。もうすぐ私の会社で生産が始まるから。その材料に大量のレアアースとレアメタルが必要だったんだよ」


「やべえ、ライバルが増える!」


 そのビデオカメラを手に入れた冒険者たちが動画の撮影を始め、それを動画投稿サイトに配信始めたら……。


「俺の動画の視聴回数が落ちる!」


「落ちないんじゃないの? 一人で深い階層のモンスターを、撮影アングルまで気にしながら、解説まで加えながら倒し、ビデオカメラを持った無防備なドローン型ゴーレムたちまで守るなんて、今のところ君くらいしかできないから」


「それもそうですね」


「そもそも、作るのにもの凄い手間がかかるし、価格がとんでもないんだよ。最初はテレビ局ぐらいしか買わないんじゃないかな? 内々で営業したら、世界中のテレビ局が欲しいって。一般の人が買えるぐらいの値段になるには、相当時間がかかると思うよ。それに、ダンジョンの外で撮影するのなら、電力で動くビデオカメラで十分だからね」


  俺は電力で動く既存品を改良したけど、手間と素材と時間がかかったので、もし売ってくれと言われても売りたくなかった。

  泣く泣く売るにしても、絶対に億単位の値段にすると思う。

  たとえ、元が十万円ぐらいのデジタルビデオカメラだとしてもだ。


「ありがとう。これだけ在庫があれば、我が社はあと十年は戦えるよ」


 なんかどっかで聞いたセリフだなと思いながら、俺は特別クラスの教室へと向かった。

 初日のように試されはしなかったので、その日は普通の学校生活が始まったのだけど。

 お昼の時間……。


「リョウジさん、頑張ってお弁当を作ってきましたわ。 ミートパイとスコッチエッグとイングリッシュマフィンサンドです」


「中華弁当を作ってきたよ」


「腕によりをかけて、懐石弁当を作ってきました」


「……」


「良二、お前モテモテでいいな」


 どうやら三人は、俺を逃がすつもりはないようだ。

 なお三人のお弁当はお弁当は、強くなった影響で大食いも可能だったので、美味しく全部いいただきました。

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