第17話
ジェットコースターに着くと十数人に人が列を作っていた。最後尾に僕たちは向かう。
「最後尾はこちらになりまーす。ジェットコースターをご利用になるお客様はことらにお並びくださーい」
女性スタッフが案内をしている。
「あそこが最後尾らしい、なかなか人いるな」
「そうですね、乗り物の列も並ばなくてもよければよかったんですけど…」
茜さんはしょんぼりする。僕たちが最後尾に着くと女性スタッフがこちらに気付き駆け寄ってくる。
「お客様、どうしてお並びになっているのですか? 」
はて、このスタッフは何を言っているのだろう。並ぶのは当たり前では?
「ここが最後尾みたいですので…」
スタッフは僕の言おうとしていることに気付くと加えて説明する。
「お客様は特別チケットをご利用のお客様ですので並ぶ必要はございません」
なに、そんなことまでできるのか。ここまで来ると校長の偉大さに気付かされる。しかしこの『特別チケット』やらは何でもありだな。
「どうする?乗るか? 」
茜さんに尋ねる。
「いえ、このまま順番待ちます」
え、なんだって?今さっきまで「並ばなくても…」とか言ってなかったか?
「本当にいいのか?」
「はい、やっぱり順番は守らなきゃいけないなって思ったんです。入場するときは並ばなかったんですけど、楽しみにしてきているのは私たち以外のお客さんも同じなのに私たちだけずるするのはよくないなって考え直しました」
茜さんの言ってることは分かる。きっと僕もお客さんの立場ならいいようには思わないだろう。
「そうだな、すみません。教えてくださったのは大変ありがたいのですが、やっぱり僕たちは待つことにします」
スタッフは驚いていたが、茜さんの言いたいことを察すると
「かしこまりました。」
と笑顔で答えてスタッフは元いた場所に戻る。僕たちの順葉が回ってくる。ジェットコースターに乗車乗ろうとするがふと違和感を感じる。あれ、なんで僕たち以外乗車する人がいないのだろうか。後ろにはもちろん十人以上は待っている。もちろんその違和感を感じているのは僕だけではないようだ。
「なんで二人だけしか乗れないんだよ。どう考えてもおかしいだろ」
「お客様、大変申し訳ありません。あちらのお二人は専用の『特別チケット』をご利用なさっているのです。こちらの遊園地は『特別チケット』を利用されるお客様を優先する決まりになっております」
一人の男性が文句を言っていたが、それに対してさっきのスタッフは冷静に対応していた。
「そんなのおかしいだろって言ってるだろ? 」
男性はますます怒りる。
「あ、あの~」
一緒にのりませんか?と言おうとしたが
「お二人様こちらへ」
ともう一人のスタッフに言葉を遮ぎされてしまう。何度も言おうとするが、その度に遮られてしまうので、申し訳ないと思いながらも僕たちは『二人』でジェットコースターに乗った。いや二人でジェットコースターはどう考えてもシュールすぎだろ。
―ジェットコースターで乗り物に揺らされながらあることに気付く。もしかして『特別チケット』は―
一周が終わると僕は我慢できずすぐトイレに駆け込んだ。何でなのかは読者のの想像に任せる。
モテるために研究したらモテるようになるはず @kinokusa12
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