Key-message

朝比奈 志門

I think...

 当たり前の物事というのは、往々にして当たり前ではない。

 美味しい食事をすることも、つまらない授業で船を漕ぐことも、友達とバカ騒ぎして遊ぶことも、親に叱られることも、思い出の場所があることも、好きな人と季節を巡ることも、風を切って走ることも、笑うことも、泣くことも――。

 

 その全てが奇跡的であり、何かの拍子に簡単に砕け散ってしまうくらいには儚いものだ。

 だが、人は失ってからでないと、「当たり前のかけがえのなさ」に気が付くのは難しい。それがどれだけ自分にとって大切であったかを本当の意味で知るためには、一度手のひらからこぼれ落ちる必要があるのだ。


 だから、私たちは後悔をする。切ない思いを抱く。戻らない時間を、必死に取り戻そうとする。


 結局は前を向いて進むしかないのだと悟るまでに、どれだけの時間がかかるだろうか。


 色褪せた記憶は、永遠に。

 人というのは矮小で。

 幸福があれば不幸もある。

 世界とはおおよそ、そんなものだ。

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Key-message 朝比奈 志門 @shin_sorakawa

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