第8話
彼女とは、仕事以外の世間話も、互いの生活や其れに関わる諸々の相談もするようになった。
彼女は何んの隠し事もなく相談してくれているように思えた。
私もそうだが、ただ、ぺペンギンさんの事だけは未だ言えていない。
いつかは必ず話そうと思っているのだが、中々難しい。
信用してもらえるかどうかではなく、タイミングだ。
彼女ならぺペンギンさんの事を疑ったりしない。
きっと、此の事実を受けてめてくれる。私は、そう信じて疑わなかった。
今夜は彼女と食事をして帰る途中だ。私は、もう少しで無くなってしまうであろうぺペンギンさんのシラスの事を考えながら歩いていたが。
「今夜も、色々と相談に乗ってくださってありがとうございました」
「とんでもないです、大切なお友達ですから」
「あの、私達、友達以上には、なれないので、しょうか?」
「え、ええ、えええ、ええええ?」
「好きです」
「はい?」
「恋人として、付き合ってくださいませんでしょうか?」
「はい!」
思わず返事をしてしまった。
しょうがないのだ。
何故なら私は一度も女性と付き合った事がないのだから。
心に余裕なんてない。素直に「はい!」としか言えなかったのだ。
他に素敵な言葉があるのか? 「はい!」 其れ以外にどんな言葉があるのだ? 私は知らない。
其の夜は、機械仕掛けのロボットのような歩き方で部屋に帰ったと思う。
「ただいま帰りました」
「シラス、忘れてへんやろな」
「あっ!」
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