「普通」とは

 普通とはなんでしょう。




 まさしく哲学と言えるこの質問に答えられる人はどれくらいいるのでしょうか。

 加えて、それらをしっかり意識しながら生きている人間はどれほどいるのでしょうか。


 今回はこれについての話です。




 まず、「個人の普通」。


 結論から言うと、個人の普通は、「周りから吸収してきた情報の多数決の結果」なんじゃないかなぁって思ったりしています。

 この「周り」と言うのは、個人の両親、同級生、先生、学校や職場の人などあまりに多岐にわたる個人と関わる人々とか、それに加えて、その時代背景とか、環境とか、エトセトラ。凄まじく多くの情報を今まで蓄えてきて、それの集積の結果と言えるでしょう。


「個人の普通」の話はこの辺ですが、このものすごく普遍的で淡白な前提が、今後かなり重要になると思います。



 次に「二人間、数人間の普通とその違い」


 例えば、子供の頃に好きなゲームやおもちゃを母親にねだる時に「友達はみんな持ってるもん!これが普通だよ!」という決まり文句を言って、それを聞いてゲンナリする母親、みたいな図。


 例えば、学校のグレード(中学、高校、大学とか)が上がったり社会に出たりした時に、昔の話をすると、「え、これ普通じゃないの?」と言う疑問がどんどん浮かんできたりする、みたいな図。


 この、『他人の普通と自分の普通は違う』と言う体験は、今まで生きてきた皆様なら経験がおありでしょう。

 なぜそんなことが起こるのでしょう。


 こうやって段階を踏んで話していると勘付いてくる方もいらっしゃると思います。

 理由は割と単純で、『個人の普通を形成する情報が異なるから』。


 例えの一つ目だったら、親子の間で普通の違いが出ていますね。子供と親の間で親や同級生や世代やその環境が異なっています。その他にも、子供の方が普通に見てきたゲームが親の世代ではなかったのかもしれないとか、子供の方が接している同級生の親がよくゲームを買い与える人だけど、親の方はあまりそう言うものが買い与えられない教育を受けてきたとか、エトセトラ。まぁ具体例を挙げていけばキリがないでしょう。


 例えの二つ目だったら、話をしている数人間でも大きく普通が違っているでしょう。それぞれ親や先生から受けてきた教育も違っているだろうし、それぞれ通っていた学校も違っているだろうし、その学校の校風や成績や荒れ具合とかもどこかしら違っているでしょう。この数人間の間に年齢差が出てくると、さらに世代等による違いも加わってくるでしょう。(語尾が渋滞し始めているのはお許しください)



 最後に、「社会全体の普通」


 おそらく、この文章の冒頭にした質問で真っ先に出てくる回答は、これに関するものでしょう。

 それは多数決。まぁ受け継がれた伝統や教育、ものの考え方など、ありとあらゆることがこれによって決められるでしょう。上記の「個人の普通」が積み重なり重なって、それをパッと全体的に見た時に、「あっこう言う人が多いね」ってなるのが「社会全体の普通」。もはやあまり多く語ることもないでしょう。




 さて、ここまで何を話してきたのかと言う話ですが。

 果たして、今までの話を意識して生活できている人はどれくらいいるでしょう。


 例えば、私はそれが普通だと思って他人を注意したら、その相手が泣いてしまったとか。

 例えば、先生が少し生徒を怒ったら、突然その親から「体罰だ!」なんて言われたとか。

 例えば、自分は少し気遣いしただけなのに、それを受けた他人が「差別だ!」なんて言ってきたとか。


「え?なんで?私普通のことしただけだよね?」

 そんな突然私自身が裏切られたような絶望感を味わった人も、少なからず存在するでしょう。


 このような衝突が、どのような要因によって起こっているのか。




 この一連の文章は、「自分の普通と違う人に特別優しくしなさい」とか、「郷に入っては郷に従え」とか、そんな進んだ話、というか個人の主張の押し付けをするつもりはありません。


 ただ単に、まだ話してきたことをちょっと意識していて欲しいと言う話ですね。



 これを少し意識しておくだけで、少し他人に優しくなれるし、少し柔軟になれると思います。






 ……ちょっとした個人の普通の押し付けをしてしまいそうですね。あまりこのような話を進めすぎると、上述の衝突のようなことになりかねない気がします。まぁそれはそれで、皆様との意見を交わす討論としてはいい機会だとも思いますが。


 さて、みなさんはこのことについてどう思いますか?

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