第9話 赤ちゃんは学校に来られません!

 悪臭エルフと、種族自慢ドラゴンが聖域に入れた後は、なぜか聖域に入れない先生候補が続出した。


 なんであの二人が入れたかは謎だ。聖域も謎が多い場所だ。俺が願えば広がるし、木は俺の自由自在だ。森を歩くと勝手に木が道を開いてくれるのだ。


 さらに言えば、森を散歩している最中に前の世界のスイーツが食べたくなったことがあった。その後、聖域の森に甘いシロップが採れる実がつく木が沢山生えるようになった。と、ロロから聞いた。


 そのシロップはパンケーキにかけてもパンにつけても非常に美味だ!シロップで作ったジャムはさらに美味過ぎる!俺は元々甘いものに目がないのでこれは嬉しかった。


 ロロに言わせれば今まで見たことがない珍しいシロップの実は薬にも役立つらしい。聖域さまさまだ。


 聖域スイーツシリーズがどんどん出来る中、やっと学校に入学する子供達の情報が届いた。




◆◆◆



「二歳?二歳ってまだ赤ちゃんじゃないか?!」


 届いた子供達の情報を見てマジでビビった。

 先に言っておくが俺には幼児教育の経験はない。


 届いた子供達の資料には二歳や三歳の赤ちゃんが交じっていたのだ。


「幼いうちからの教育が大事だっていう神託ですからニャ……それにこの子達は小さくても聖域に入れたらしいニャ……」


 パルも子供達が赤ちゃんなのはちょっと気が引けるらしい。


 聖域に入れても赤ちゃんかぁ……。


「お母さんのミルクがまだ必要なんじゃないか?」


「一応、みんな乳離れしてるみたいニャ」


 えええ……。可哀想だよ。お母さんから離すの。


「学校っていうより、幼稚園が必要だなぁ」


「ヨウチエンですニャ?」


「うん。赤ちゃんは学校には来られないよ。赤ちゃんだもん。子供は六歳から学校に通ってそれより下の子供は幼稚園に通ってもらおう」


 だが、困ったことに幼稚園の先生がいない。


「幼稚園の先生が欲しいなぁ、切実に! 誰かいないかなぁ誰か……」


「ハルキ様がいるじゃニャいですかニャ?」


「俺は学校の先生だよ?幼稚園は誰がやるんだよ」


「だからハルキ様ニャ」


「えええ?俺?……いや、無理だろ」


「無理じゃないニャ。例えば赤ちゃん達は二日で家に返してその後は学校は三日開くニャ。学校が開いてる時は赤ちゃんお休みニャ。逆に赤ちゃんいる時は学校はお休みニャ」


「なるほど~」


 てか、それだと俺ずっと働き詰めじゃないか?


 異世界にまできて馬車馬のように働くのはゴメンだ。俺はせめて自分の休みはしっかり確保することを宣言した。


 幼稚園は施設がないから幼稚園も至急作られることに決まった。


 俺はせっせと積み木や絵本など子供達が好きになりそうな玩具の製作に励んだ。


◆◆◆


 悩みに悩んだ結果まずは幼稚園を試験的に開いてみることにした。


 一番小さい子供はとても手が掛かるはずだ。だから幼稚園の子供達が環境に慣れてから、学校を開校することに決まった。


 幼稚園の子供は宿泊するのは初めてだろうから一日幼稚園で学んでお休みする。慣れたら二日間学んで、お休みする。を繰り返す。ペースはあくまでその子に合わせるように決めた。


 決まったことを保護者会の会長(ジルデさん)に伝え、保護者に伝わるようにする。


 保護者会にはそろそろ施設の見学もしてもらおう。


 聖域は今は学校、校庭、体育館、幼稚園、宿泊施設と建物が建ちまくっている。


 さぁ、いよいよ子供達を迎えるぞ!

 

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