「寝る?」


「寝る」


「俺も?」


「うん」


「こたつから出ろよ」


「こたつで寝る」


「さすがにもう、こたつって季節でもねえだろ。床暖房の意味」


「風鈴の季節でもないよ。屋内だし」


「まあ、新居だからな。ほら。おいで」


 手が伸びてきて。


「よいしょ」


 掴む。


「なあ」


「ん」


「夢から覚めても」


「ここ。夢じゃないよ」


「分かってるよ。分かってるけど」


「一緒に寝るの。夢の中でも、同じ場所にいられるように」


「そうだな」


「こわい?」


「いや」


 手が握られていて。あなたがここにいる。ここは夢じゃない。

 だから、きっと夢でも。一緒にいられる。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

冬と夏と夢の中 春嵐 @aiot3110

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ