君の名前を呟くだけの無意味な後悔

水響 透真

言葉を吐く。

いつも通り、何も無い夜

出来た料理を皿に盛り付けながら君の名前を呼んだ。返事が無くて不思議に思ったけれど、ハッと思い出した。そっか、此処に君はもう居ないんだった。独りきりの部屋で、静かに食べる。食器の音だけが部屋に響いた。少し前までは、前を見ると君がいて、何も無いのに笑いあったりして、すごく楽しかったね。僕は食事をやめ、電気を消し、月明かりに照らされた部屋をみた。

空っぽで無機質な部屋はまるで僕みたいだ。

本当は、ずっと居なくならないで欲しかった。

あぁ、大好きだったよ。愛していたよ。

僕は涙を流しながら、虚空に向かって君の名前をぽつり呟いた。もう、いつものように君は隣で答えてくれない。無意味な呟きだった。

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君の名前を呟くだけの無意味な後悔 水響 透真 @suikyou10

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