LIVING BY NECK HUNTING sidestory Lizards and rabbits
SEN
Lizards and rabbits
Lizards and rabbits ~Living by neck hunting side story~
台本:SEN 声劇2人台本(男1・女1) 所要時間 約45分
説明欄や詳細文などに『作品タイトル・台本URL・作者名』の明記をお願い致します。
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※アドリブ等はストーリーを捻じ曲げない、雰囲気を壊さない程度であればOKです。
登場人物
ラウト(男・19歳)
盗賊から足を洗いリヴィア帝国で傭兵として雇われている。口は悪いが情に脆い。ナイフの扱いが得意で火薬の調合も職人級。
ウサチ(女・18歳)
幼いころ戦争で全てを失った女の子。神に愛された馬鹿力を持つ少女。親の顔も知らず教会で育てられた。
本編↓
ラウトN
これは、俺とウサチが出会った頃の話。まだリヴィア帝国の支配が大陸の四分の一程度だった頃……俺は盗賊から足を洗い、傭兵としてリヴィア帝国に雇われていた。この頃のリヴィアの勢いは留まることはなく、怒涛の勢いで他国の領土を支配し、拡大していった。
ラウト
「ふぅ……さすがリヴィア帝国。なんたる攻め方…………反吐が出るぜっ」
ラウトN
俺はリヴィアの卑怯で下劣な攻め方が気に入らなかった…不意打ち・騙し討ちは当たり前……相手が強大であれば一度負けたふりをし捕虜となり後に城内部と外からの挟撃、等々……まぁ、勝つために手段を選ばないんだろうけど。だが、おかげ様で食いぶちには困らなかった。生きていく為…生まれたからには仕方なくとも生きていかなければいかない…俺は生きる為に何でもやってきた……そうしなければならなかった……
6歳の頃、酒を飲んで暴力をふるう父親を・・・母が殺した……あれは無理心中だったんだろう。そのあとすぐに俺に襲いかかってきたからだ……母も辛かったのだろう…ずっと謝りながらも刺そうとしてきたのを今でも覚えている。だが俺は死にたくなかった……強い騎士になって母さんを楽させてあげたいから、と……けど、抗い、もみ合ううちに………逆に母親を刺してしまった……それからというもの……俺は生きる意味を失い途方に暮れた……だが腹は減る。村を転々としては盗みに入りかろうじて生き延びていたんだ……
あ、俺のことはどうてもいいんだ…俺は戦争で燃えさかる街の中で・・・アイツに出会った、出会ってしまった……
ウサチN
Livingbyneckhunting sidestory Lizards and rabbits
◆燃えるSE
ラウト
「おいおいおい……まじかよ…」
ラウトN
敵兵は退いた。と半時前に知らせが入ったにもかかわらず……左翼の二つの班が全滅したと聞き現場に着くと、異様な光景が目に入った。
ウサチ
「こっちにこないでっ!!!来たらこれぇっ!!投げるからっ!!」
ラウトN
少女が一人。重そうな瓦礫を軽々持ち上げこちらを威嚇していた。その少女の回りには無残に潰れ肉塊と化した兵士達が倒れていた
ラウト
「……これ、お前がやった・・・のか?」
ウサチ
「来ないで!!早く帰ってぇぇ!もぅこれ以上街を壊さないでぇっ!!」
◆SE投げる
◆SE砕ける
ラウト
「ぅおっ!?あっぶねぇ!!わーかったわかったから!!だから投げるのやめろっ!!」
ウサチ
「避けた!?………うぅぅ」
ラウト
「なんたる馬鹿力……しかしこいつ…何人倒してやがる・・・なっ!?・・・俺んとこの班隊長まで?・・・お前っ・・・よく──」
ウサチ
「その人達が街を燃やすからよ!これ以上先に行こうとするからよっ!!悪いのは私じゃ────」
ラウト(被せて)
「よくやってくれた!!!」
ウサチ
「へ?」
ラウト
「いっやぁ~このクッソ野郎…俺より半年傭兵歴が長いだけで強くもねぇし?役に立たねえからさぁ!早く死なねえかなーって思ってたんだよ!まじサンキューだわいやまじでっ!あ、しかもこれ次の班隊長オレじゃね?っしゃ報酬あがるぅ♪」
ウサチ
「・・・・・・」
ウサチN
初対面で凄い喋る人だなと思ったのもあるけど・・・何て楽しい人だろうと思った
ラウト
「君、街の子だよね?おそらくこの道を死守するのは……あの教会に行ってほしくないんだよね?」
ウサチ
「え……うん…そぅ、だけど」
ラウト
「道はここだけじゃない、早く戻ってやれ」
ウサチ
「なんで…あなたはこの街を占拠し滅ぼしに来たんじゃないの?」
ラウト
「んなことして何の為になるんだよ。俺は雇われた身…だ、破壊活動はリヴィアの趣味よ……あ……おい、見ろ」
ウサチ
「え?……あ…教会がっ!!燃えてる……そんなっ!」
ラウト
「急ぐぞっ」
ウサチN
私の育った教会が燃やされているのに…私はこの人から目を離す事ができなかった……何でここまで親身になってくれるんだろう…
ラウト
「遅かったか…くそっ……すまん。家族と住処を奪ってしまった」
ウサチ
「………ぅうん、皆私が街の外に避難させたから…大丈夫。また私が建てなおすよ」
ラウト
「建て直すって……あ、そういえばお前すげぇ馬鹿力だったな」
ウサチ
「馬鹿は余計じゃない?」
ラウト
「え、あ、そうだな。ひっははははっ!」
ウサチ
「っ……ぷふっ……変な笑いかた」
ラウト
「よく言われる。ひぃっはははは!!」
ラウトN
異様な光景だった。燃えさかる教会を前に笑い合う二人。けど不思議と心は穏やかだった……生きていたら……こいつぐらいなんだろうな………妹は。
ウサチ
「っ!?危ないっ!!避けて!!!」
ラウト
「っ!?」
◆SE矢が飛んできて刺さる
ラウト
「っぐぁあっ!!」
ウサチ
「っ!?弓矢!?……早く手当を!毒が塗られているかもしれない!」
ラウト
「大丈夫だ…左翼の連中は金が無い。毒なんて高価なもん使ゃあしねぇよ……しかし、どえらい人数に囲まれちまったな。面倒だ」
ウサチ
「私はともかく…何でお兄さんまで…味方でしょう?」
ラウト
「こんな近距離に居て何もしていないんじゃぁそりゃぁこうなるわなぁ…かーっ…どうしてこうも頭悪いかねぇ!」
ウサチ
「こんな人数…どうすれば……」
ラウト
「……良い考えがある。お前頼りになっちまうのは少し尺だがな」
ウサチ
「……わかった、やるよ。どうすればいい?」
ラウト
「これ以上近づかせない為に、さっきみたいに思いっきりぶん投げてぶつけてやれ。幸い瓦礫は沢山ある。俺がお前の隙を守ってやる、思いっきりやれ」
ウサチ
「わかった………じゃぁこれからっ…いょぃしょぉぉ」
ラウト
「バカ!でかすぎんだ……ろ……ぅが…持ち上げやがった……」
ウサチ
「ぉぉぉおおおおおおおりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ゛!!!」
◆SE投げる
◆SE砕ける
ラウト
「とんでもねぇ怪力……煙突一本分はあったぞ今の…こりゃぁいけるかもしれねぇ」
ウサチ
「こんな感じでいいの?」
ラウト
「上出来すぎる…やるなぁお前っ!ひっははははっ!」
ウサチ
「ぃよぉおし!やるぞぉぉお!!」
ラウト
「来る……ょっとぉ…」
◆SE掴む
ウサチ
「凄い……放たれた弓矢を掴むなんて…でもさっき刺さってたよね?」
ラウト
「うっせぇーな!飛んでくるとわかっていれば少し集中すれば掴めるし避けれるんだよ!さっきのは不意打ち!ずるいやつなの!!…ぃいから早くぶん投げろっ!やれやれぇ!!」
ウサチ
「あっははは!!お兄さんほんと面白い!……いょぉぉおおおし!」
ラウトN
その後もアイツは瓦礫を投げまくった。豪速で飛んでくる瓦礫に避けようがなく潰されていく兵たち。あまりの出来事に逃げ出す兵もいたがそれは…
ラウト
「ふんっ」
◆SEナイフ投げる
◆SE刺さる
ラウト
「俺のよからぬ噂を立てられると厄介だからな…逃がさねぇよ」
ウサチ
「凄い……今、何投げたの?」
ラウト
「こいつだ、俺お手製の投げナイフ。投げやすく三本の指で握れるようにしてあるんだ」
ウサチ
「ぉおおー!すごぉぉぉい!!お兄さんサーカスの人みたいだね!!!」
ラウト
「大道芸ってかやかましいわっ!いいから早く全滅させるぞ!!残りわずかだ!やつらんとこまでぶん投げろ!」
ウサチ
「うんっ!いっくよぉぉぉおおお!!!!」
ラウト
「うっし、俺の真骨頂みせてやらぁ!」
ウサチ
「ぉぉおおおおりゃぁぁああああ゛!」
◆SE投げる
ラウト
「よっ!!」
ウサチN
お兄さんは私が投げる巨大な瓦礫に飛び乗り敵の元に移動していた
ウサチ
「すごぃ……トカゲみたい」
◆SE砕ける
ラウト
「チッ…あと5人も居たのか、しかし纏まっていたのが運のツキだったなぁ!!飛び散れっ」
◆SE小さい物をばらまく
◆SE爆発
ウサチ
「凄い……爆発した………凄い、あの人。凄い反射神経…きっと神様に愛されているんだ」
ラウト
「終わったか……しっかしアイツ…これだけの質量のある瓦礫をここまで飛ばせるとは……神に愛された力を持ってやがる。」
ラウトN
これが、俺とウサチとの出会いだった……その戦争は勝利に終わった。翌日。報酬を貰ったあとアイツがどうなったか気になり教会がある丘まで足を運んだ
ラウト
「さすがに、いないか……もぅ。あー!!俺は何しにきたんだっ!くっそ!俺らしくねぇな──」
◆SEガタガタ
ラウト
「っ!?……なん、だ?」
SEガラガラ
ウサチ
「よいしょーー!」
ラウトN
教会の瓦礫の山からアイツがでてきた…何してたんだこいつ
ウサチ
「お!?昨日のお兄さんじゃん!おはよーう!」
ラウト
「お、ぉう。おはよう……お前そこで何してたんだ?瓦礫に埋もれて寝てたのか?」
ウサチ
「うぅん、探し物!これ!!」
ラウト
「ぁ、なるほど……女神像か」
ウサチ
「うん!皆この女神像にずっと祈っていたからさ…無いと困る」
ラウト
「なるほどなぁ…あ、教会の人達は皆無事だったのか?」
ウサチ
「うん!おかげ様で!昨日はありがと!えっとー……」
ラウト
「ラウトだ。お前は?」
ウサチ
「ラウ兄ね!私はウサチ!よろしくねラーウ兄!!」
ラウト
「なれなれしぃんだよなぁ…まぁいいけど。ウサチ、よろしくな」
ウサチ
「うん!……で?ラウ兄はなんでここに?」
ラウト
「あ、あぁ…迷惑かけちまったなと思ってな……これ」
ウサチ
「迷惑だなんて……助かったよ!…ん?これ、何?」
ラウト
「金……教会無くなっちまったら色々困るだろ?昨日ぶっ潰したやつらの遺品漁って集めたんだ。あれほどでかくは作れないだろうけどさ…足しになればなと思って」
◆SEジャラジャラ
ウサチ
「えっ……うわっこんなに!?ありがと!!!ラウ兄ぃぃ!!!」
ラウト
「あ、あぁ……んで、さ…相談なんだが」
ウサチ
「なになに!?何でもいってよー!手伝うよわたし!!」
ラウト
「お前のその力を見込んでなんだが…」
ウサチ
「うんうん!あ、街を作り直すの手伝う?!いいよぉー!!私力だけはなんか凄いあるからっ!」
ラウト
「いや…そうじゃねぇんだ。俺の相棒になってくれないか?」
ウサチ
「アイボウ?何かよくわかんないけど……いいよ?!ラウ兄の頼みなら!」
ラウト
「ほんとかっ!?……あ、けどお前教会の皆がいるよな?……ぅーん」
ウサチ
「ラウ兄はどこの傭兵さんなの?やっぱりあの強いリヴィアの?」
ラウト
「あ?あぁ…昨日の一件で班隊長になれたんだぜ!ありがとなっ!!」
ウサチ
「よかったね!!そっかぁ…リヴィアの傭兵さんなのか……」
ラウトN
ウサチの表情が一気に暗くなった。俺は、リヴィアによっぽどの怨みがあるのだろうと思った
ラウト
「すまない……今回の事もそうだ。リヴィアは降伏しない街や領土を片っ端から責め立て焼き払うからな…リヴィアに何か怨みがあってもおかしくはない」
ウサチ
「うぅん……違うの。今回の事は勿論許されることじゃない…けど皆を護れたし、何よりラウ兄がこうやって居てくれた。リヴィアにもこういう人がいるんだなって……ちょっと安心した!」
ラウト
「そうかよ、よかった」
ウサチ
「うん……私ね、お兄ちゃんがいたの。でも5歳の時にリヴィアからの招集兵として連れていかれたの……明るくて楽しくてとっても優しくて頼りがいのあるお兄ちゃんだった。私はお兄ちゃんが大好きだった」
ラウト
「……」
ウサチ
「ずっと待ってた……けど今はもぅ、生きてるか死んでるのかさえわからない……何度か探しに行こうと思った事もあるけど皆をほおってはいけなかった……ごめんなさい…こんなこと話して」
ラウト
「……なら来い」
ウサチ
「え?」
ラウト
「俺が一緒に探してやる」
ウサチ
「でも……皆がいるし……」
ラウト
「皆来い。住む所なんていくらでも用意してやる。リヴィアにも教会はある…そこに全員住んでもいい…俺から頼んでやる」
ウサチ
「……ぅん……うん…ありがと……ありがとぅラウにぃ……」
ラウト
「生きてるといいな、お前の兄さん」
ウサチ
「うん!」
ウサチN
本当に嬉しかった……いつまでもその日暮らしの私に手を差し伸べてくれた。前へ行けと、歩き出せと……半分は本当に兄さんを探したい為、けど、残り半分は、私はあなたと居たいからです。
ラウト
「よっし!そうと決まれば急がねぇとな!馬車借りてくるよ。教会の人達は何人だ?」
ウサチ
「12人!」
ラウト
「12か……馬車一台じゃぁ無理だな……いけっかなぁ。ちょっと待ってろよ」
ウサチ
「うん!!」
ラウトN
このご時世の馬は重宝されていた。リヴィアが戦争で使用しているからだ……
結局…馬は手に入れることはできなかった。手に入ったのは大きめの荷車1台のみ
ラウト
「……すまねぇ」
ウサチ
「ううん!お馬さん貴重だもの!仕方ないよ!それにこの荷車さえあれば皆でいけるじゃん!!リヴィア!!」
ラウト
「どうやってだ……馬も無いんじゃひっぱれない……屈強な男2人揃えても無理だよ、そんな馬力のある馬鹿力を持ってるやつなんてどこに………も……あ」
ウサチ
「にっひひ~♪」
ウサチN
皆を荷車に乗せて私とラウ兄がひっぱる事になった。私はこの時のワクワクが凄く楽しかった!皆と一緒にわいわいお話しながら新たな土地へ……なんて愛おしいんだろう……ずっと続けばいいのに……ずっとこの時が…ずっと
●間5拍
ラウト
「そろそろ日が落ちるな……ここらで野宿だ。あの湖の近くで休もう」
ウサチ
「はーい!!」
ラウトN
朝出発すれば明日の青白時にはリヴィアに着くだろう。しかし……俺は何してんだ……俺以外のこんな連中の為に……何を。けど、凄く温かい……その日皆で火を囲み食べたミトフルの丸焼きは、今まで食べた食事の中で一番うまかった
ウサチ
「くー…くー…」
ラウト
「寝たか…こいつ……よくもまぁこんなやつを信用して幸せそうな顔で寝れるな…………俺は…守ってやりたいのか……こいつを……」
ラウトN
見張りをするべきはずの俺は…寝入ってしまった……迂闊だった
◆SE弓を引き絞る音
ラウト
「っ!?ヤバイっ!!!皆ぁぁああ!!!伏せろぉぉぉおおおお!!」
ラウトN
俺は咄嗟に叫び。傍に居たウサチに覆いかぶさり背に荷を乗せ護った。次の瞬間大雨のような無数の弓矢が降り注いだ
◆SE弓矢大量に降り注ぐ
ウサチ
「えっ!?何!?なになにぃぃ!?」
ラウト
「じっとしてろっ!俺達は攻撃されている。これが途絶えたら全力で走るぞ…いいな?」
ウサチ
「え…でも皆は──」
ラウト
「……まずは自分の身だ、行くぞ!!」
ウサチ
「うん…わかった」
ラウトN
攻撃が収まったと同時に俺はウサチを抱え、弓が放たれたであろう反対方向へと全速力で走り出した
◆SE全速力で走る
ウサチ
「あ……あぁぁ………テフニばぁちゃ……ウアク……皆が……皆がぁ…」
ラウト
「そっちを見るなぁっ!!!俺は前を見て全力で逃げる、お前は俺の目になれ!敵の状況を教えろ!追ってきているのか!?ウサチ!!」
ウサチ
「ラウバじぃ……ぁぁぁああ…エヒラぁぁ……メヒラぁ……あぁぁぁあああああああ!!なんで………なんで私からまた家族を奪うのっ!!なんでぇぇぇええええええ!ぅぅうああああああ!!!」
ラウト
「ちっ……あれは、西の蛮族共か。なんでこんなリヴィアの近くに…しかも大群で……リヴィアに攻め入る道中で俺達を見つけて襲ってきたか…クソッ!!ついてなさすぎるぜ」
ウサチ
「皆……皆ぁ……」
ラウト
「……大丈夫だ、お前は俺が護る。……安心しろ」
ウサチ
「…………」
ラウト
「よしっ…この岩山に登るか」
ラウトN
俺はガキの頃から何かに登るのだけは得意だった。登り方が気持ち悪いことから蜥蜴ラウトと馬鹿にされていた。が、確かに気持ち悪いと思う。張り付くように、手足を止めることなくするする登っていくように見えるからだ。常人の5倍は速いだろうと思う。
ラウト
「っし……ここなら大丈夫だろう……しかし、大群だな……あの蛮族はジャミ民族か。厄介だな」
ウサチ
「………また…家族が……あの時と一緒だ……皆……皆死んじゃった……戦争が……奪っていっちゃった」
ラウト
「すまない……俺がミスした。俺がこんなこと言い出さなければ……しかも寝入ってしまうなんてな……とんだ馬鹿野郎だ。悪ぃ」
ウサチ
「うぅん…ラウ兄は悪くなぃ……私も悪いの……また…皆いなくなっちゃった……」
ラウト
「ウサチ………家族は…皆死んだか?」
ウサチ
「……え」
ラウト
「お前の家族は、皆死んだかよって聞いてんだ」
ウサチ
「……ぅぅん……まだ、ラウ兄がいる。居てくれる」
ラウト
「だろ?なら大丈夫だ…な?」
ウサチ
「…うんっ……ありがと」
ラウト
「おぅ……にっひひひっ!」
ラウトN
夜明けを待ち。崖下を二人で眺めながら過ごした…俺が、護ってやらないと。……俺は、ウサチに妹の面影を見ていた
ウサチ
「ん……あ、ごめんまた寝てた私」
ラウト
「おはよ。もぅ夜は明けてるし青白時だ………ウサチ…戻るか?皆のところに」
ウサチ
「……うん……お墓……作ってあげたい」
ラウト
「わかった……行こう」
ラウトN
もしかしたら生きているかもしれないもんな?……何て言葉、かけれなかった……俺はジャミ民族の恐ろしさをよく知っていたからだ…やつらは残虐非道。情けなんてかけない戦闘民族。例え肉親が目の前で殺されようとも戦いを止めない蛮族だ。
そして、荷車があったであろう場所についた……案の定、皆殺されていた……また大声で泣き出すウサチ……俺も悔しくて……泣いてしまっていた。しばらくしてウサチが動きだし大きな穴を掘っていた。そこに皆の亡骸を入れて一人一人に謝っていた……謝らなきゃならないのは俺の方だ……
ラウト
「く………うぅ…すまない……俺が、俺が全て……くっ」
ウサチ
「ラウ兄……大丈夫だよ…皆、感謝してるんだよ?ありがとうって言ってるよ…ラウ兄」
ラウト
「く……うう……」
ウサチ
「ここまでだったけど…楽しかったよって……ありがとうラウ兄…短い間だったけど思ってくれて……」
ラウトN
ウサチはそう言うと土を乗せはじめた。泣くのを止め必死に……強いな、こいつ
ラウト
「悪ぃ……手伝う……」
ウサチ
「うん、ありがと」
ラウトN
俺は荷車の残骸で十字架を作りウサチに渡した……そこでウサチは思いがけない言葉を言い放ちながら十字架を地面に突き刺した
ウサチ
「皆、私強くなる。強くなって悲しむ人が出ないようにする…強くなるためならなんだってする。だからラウ兄…教えて、戦い方。」
ラウト
「……わかった、任せろ」
ウサチ
「皆……バイバイ……今までありがとう」
ラウトN
俺達は再びリヴィアに向け歩き始めた……歩きながら俺がわかる範囲での剣技の事や戦い方を全て話した。ウサチの凄い所は力だけじゃなかった。吸収力だ。話す内容だけですぐ理解し回答してくる…実戦すればもっと強くなるだろう……俺をも凌ぐかもしれない…いや、あのリヴィアのフラス騎士団長でさえも…
そして俺達はついに、リヴィア城の城下町リネヴに到着した
ウサチ
「ラウ兄ぃ…私、強くなれるかな?」
ラウト
「ったりめぇよ!この俺が見込んでんだ…リヴィアの騎士団長にまで上がれるぜ」
ウサチ
「うんっ!頑張る……ラウ兄も一緒じゃないと嫌だよ?」
ラウト
「もちろんだ、俺達二人でこのリヴィアを変えてやろうぜ。」
ウサチ
「うんっ!んー?何この張り紙…」
ラウト
「ん?あちらこちらにあるなー…何々?……リヴィア帝国からのビラみてぇだな……リヴィアコンビコロシアム……男女1名ずつのコンビ、強き者求む、勝ち抜き戦で天を掴め?……これは…いきなりチャンスじゃねぇか!!」
ウサチ
「お?おー?どういうこと?」
ラウト
「これに二人で出て優勝すれば…騎士団入りも速くなるってわけだ」
ウサチ
「おー!なるほど!!」
ラウト
「開催まで一ヶ月ある……よしっ!特訓だ!ウサチぃ!!」
ウサチ
「特訓だー!おー!」
ラウトN
それから俺達は鍛えた。死にもの狂いで特訓した……剣技の打ち合い稽古や道場破りもした。リヴィアに攻めてくる蛮族退治にも傭兵として参戦したりもした。そして当日……
ウサチN
私たちは。……優勝した。
ラウト
「やった……勝った………勝ったぞ!ウサチっ!!」
ウサチ
「やったねぇぇえ!!!ラウ兄ぃぃぃい!!」
ラウト
「あっははははははは!!!やったぁぁあああ!!!!」
ウサチ
「頑張った甲斐があったねぇぇええ!!やったぁあああ!!」
ラウト
「ふぅ!しかし余裕だったな!!俺達にかかれば」
ウサチ
「余裕だったねー!ラウ兄ぃ見てくれてたー?私のジャミ民族の技!」
ラウト
「あれな!お前いつの間に覚えたんだあんなの」
ウサチ
「えっへへー!内緒~♪」
ラウト
「相変わらずお前はすげぇよ…よく頑張ったな、ウサチ」
ウサチ
「うん、あの日、皆と約束したもん……絶対強くなるって…もぅ大切な人を失いたくないから。私はもっと強くなりたい」
ラウト
「あぁ……誓ったもんな」
ウサチ
「私の最後の護るべき大事な人は…ラウ兄ぃだよ」
ラウト
「お…おぉ……お前っ…めっちゃ恥ずいじゃねぇか!!やめろよっ!!」
ウサチ
「だって……本当のことだもん…」
ラウト
「ウサチ……ありがとな。そうだ…前にも聞いたが……兄さんは良いのか?探さなくて」
ウサチ
「……うん…いいの……私には本当の兄がここに居ます。だから、いいの」
ラウト
「そっか……じゃぁ……改めて。よろしくなっ!妹よ!!」
ウサチ
「ぉうっ!まっかせとけー!!!」
ラウト
「ひっははははははは!」
ウサチ
「ひぃっはっはっはっはー!!」
ラウト
「似てねぇ~!!」
ウサチ
「嘘ぉ~!?自信あったのになぁ~!」
ラウトN
こうして俺達は騎士団への入隊が決まった……俺もウサチもみるみる内に昇格し……ついには騎士団長にまで上りつめた。
ウサチN
そして七人の騎士団が揃ったことにより。リヴィアは更なる進撃を開始する。
ラウトN
それから9年後のリヴィア城……
ラウト
「ぉいウサチぃ!こいつら死んでやがるぜ!?賊かぁ?騎士団長のみをぶった切ってこのリヴィアを乗っ取ろうってのか?面白ぇやつがいるもんだぜ!!ひっはは!!」
ウサチ
「うっわ!ほんとだ!!死んでるー!ユクロぼっちゃんも前髪奴隷のイーアまで死んでんじゃ~ん!あ!!チダイのおっさんまで!!!やるぅー♪」
ラウト
「まぁフラスんとこでゲームオーバーだろどうせっ!よっし、どんな賊か拝もうぜ?」
ウサチ
「だねだねぇ!ウサすっごい気になるもん!ロウガっちも気になるよねー?」
ロウガ
「……」
ラウト
「相変わらずのカタブツだことで……ま、いいや♪開けるぞー!!?」
◆SE大扉開ける
ラウト
「おーおー!今戻ったぜー・・・おい、それよりこりゃぁ・・・何だ?軍勢でも相手してんのかと思ったら・・・たった3人じゃねぇか・・・リヴィアの七騎士団も墜ちたもんだなぁ?えぇ?ひっははははっ!!」
ウサチ
「ここに来るまでにぃあの嫌ぁなやつらの死骸があったからビックリしたよ~焦ったよねー?ラウ兄ぃ♡」
ラウト
「だな・・・まあクソ雑魚野郎共はどうでもいいとして、だ。そこの3人・・・特に大男・・・見てわかるぜ・・・中々やるなぁ?えぇ?楽しみだっ!ひははっ!!」
完
LIVING BY NECK HUNTING sidestory Lizards and rabbits SEN @sensensenkou
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