あとがきも読むかい?

 後書きにまでお付き合いいただき、誠にありがとうございます。

 この作品は、二〇〇二年時分、学生時代に所属していた文芸部の習作用に書き下ろした原案を、このほど推敲し直したものです。


 一九九五年、マイクロソフトウィンドウズ’95の登場によりパソコン革命が起きて一般家庭にも怒涛のデジタル普及の波が押し寄せていた頃です。


 当作を執筆開始したとき、我が家で愛用していたのは型落ちしたウィンドウズ’98でした。

 ワード’98をプラットホームにフロッピーディスクに保存しながら、せっせと更新、保存を繰り返し、ようやくクライマックスに差し掛かった頃——突如、パソコンがお釈迦になりました……。


 うんともすんとも言わず、焦ってエンターキーを何度かパチコーンしていると、突然画面が沈黙ブルーアウトし、そのまま再起不能となった’98……。あの時の絶望感といったら……私はこの時、犯人は奥田さんだと妙な確信を持っていました(苦笑い)


 当然、フロッピーのデータもお釈迦でした。あの時、真っ黒に燃え尽きた心理状態は今でも忘れません。


 実際、初期のパソコンはウィルス対策ソフトを入れていても万全ではなく、検出性能も今ほど優れてはいなかった上、ソフトもやたらと重たくて、よくクラッシュしてたなあと懐かしく思います。


 そして、再考するにあたり時代を一九九九年に巻き戻して設定し直しました。


 あの頃は、「ノストラダムスの大予言」が世間を賑わせていたもので、終末論も活発だったことを思い出します。

 友達とも、「もし地球が滅んだら、最後に何する?」みたいなことを他愛もなく話していたことも懐かしい思い出です。


 九十年代後半といえば、バブルが崩壊して不景気の波が押し寄せる中、マクド◯ルドのハンバーガーが一つ五十九円にまで下落して価格破壊を起こしていたし(もはやデフレの象徴価格)、若者は常に時代の最先端を突っ走っていました。


 コギャル、ガングロ、アムラー、新世紀エヴァン◯リオン等々が社会現象を巻き起こしてたんですよねえ、懐かしい。


 そんなことを一つ一つ思い出したりしながら、改めて携帯電話とインターネットの普及が時代を変えたと思い至ったわけです。今や生活に密接しすぎて、ないと困るレベルになってますからね。


 そんな過渡期かときを故人目線で書いたら面白いんじゃないかと思ったのが当作執筆のきっかけでした。

 執筆にあたり、インターネットでお墓参りを調べると、二〇〇二年当時、行き当たった「ネット上で公開されていた赤の他人のお墓」。

 興味本位でアクセスすると、フルCGの墓標に、マウスクリックで掃除もお供物もお線香も上げられるというゲーム感覚に陥る作りで、まあ、びっくりしましたともさ。


 「ご自由にお参りください」と書かれていたので、お参りさせていただきましたとも。

 音符マーク(♪=これ)をクリックすると、般若心経が流れた時には「……」となりましたさ。


 今思えば、ウェブサイトのデモンストレーションの一種だったのでしょうが、こんな怪しいサイトにアクセスしてたからパソコンお釈迦になったのかな……なんて今更ながら思ったりします。

 良い子の皆様は、決して怪しいサイトを興味本位でクリック(あるいはタップ)なんてしちゃダメです。


 正しい知識で楽しくネットライフを謳歌していきましょう。

 ではでは、これにて失礼。どろん。


二〇二一年七月吉日 古博かん

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