エピローグ~俺は〜

俺は、隣で眠る夏を見た。電車に揺られながら、規則的に、すー、すーという音が聞こえる。そんな夏を見て、かわいい、初めて純粋にそう思えた。

実の弟だとわかったから?‥‥‥それもあるかもしれないけれど、多分違う。胸に残っていたモヤモヤが晴れたからだと、そう思う。


――東京に帰る。これからも、父さんと義母さんと一緒に暮らすという判断は、きっと間違ってなかったと、心から思う。母さんを一人にしてしまうのは確かだけれど、それは捨てることじゃない。俺が、俺自身がその道をんだ。

母さんを一人にすることは嫌だし、せっかく会えたのだから離れたくないと思っているのも本当なんだ。だけど俺を、俺の成長を、一番近くで見守ってくれていた父さんと義母さんと、これからも一緒にいたい。


「夏‥‥‥ありがとう」


夏の頭を少し撫でて、目をつむった。

この先の未来が、今までよりもずっと、明るいものであると信じて――。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

春と夏 アキサクラ @hoshiimo_nagatuki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ