特典3.レイティス王国:その他
【イングス】
四十六歳
来歴
レイティス王国将軍
肉体的特徴
文学者肌でか細い印象を受ける。金髪碧眼。
174cm、65kg
精神的特徴
レイティス王国では数少ないカートリンク派の人物で、軍隊の運用理論に精通しており、前線に立つことは少ない。後方から戦局を見渡し、好機をとらえて一気呵成に攻め込んで勝利を手繰り寄せる。また敵軍の充実度を遠目でも判断できるため、戦わずして退くことを軍務長官に進言することも多かった。
戦場へも書物を持ち込んで暇が出来れば読書に励み、また戦争から帰還すれば今回の戦いに関する論評を書くことで知られる。そこらの軍官吏よりも的確な論評であるため、軍務長官付軍官吏から忌避されている。
また平時は過去の戦いを研究しており、戦時はトロミノとともにカートリンクの参謀としての役割も兼ねている。進むべき時に進み、退くべき時に退く名将でもある。
クレイド大将とカートリンク軍務長官との「テルミナ平原の戦い」において、先鋒四将の後ろに構えてその後ろにいるカートリンク軍との結節点となる。しかしクレイドの半包囲圧迫によって帝国騎馬中隊から側面へ苛烈な突き上げを喰らい、進むも退くもできない状況に追い込まれる。
先鋒四将の残存兵をカートリンクの控える後方へ逃がそうと、圧迫してくる側面の騎馬中隊に攻撃を集中させる。しかし主力が正面を向いていたため隊列の不利もあり、士気の旺盛なクレイド軍には抗し得ず、帝国騎馬中隊によって討ち取られた。
用兵の特徴
作戦の立案も遂行も慎重を期し、ひとたび戦いに挑むと当初の計算どおりに兵を動かして勝利をかちえる、いわば机上の人である。しかし宿将カートリンクから用兵の柔軟さを教わり、以後机上の計算を外れた用兵の片鱗を見せ、大化けする可能性を秘めていた。トロミノとともに「次代の軍務長官」と目されており、アマム将軍一派がほぼ一掃されたことで、カートリンクの次の軍務長官として名を連ねていた。その矢先でのクレイド大将とカートリンク軍務長官との「テルミナ平原の戦い」であった。
兵士の生命に対する意識の高さはカートリンク派共通の特徴であり、「テルミナ平原の戦い」においても劣勢を瞬時に判断すると、先鋒四将の残存兵を後方から逃がそうと奔走した。名将であることは疑いようがない。
【トロミノ】
四十八歳
来歴
レイティス王国将軍
肉体的特徴
赤褐色の髪と瞳
160cm、54kg
精神的特徴
手堅い用兵手腕を有し、つねに冷静に戦況を判断して手柄を挙げてきた。
宿将カートリンクを慕っており、タリエリ、イングスと並ぶ数少ないカートリンク派の将軍。
手柄を競おうとはせず、必要なときに必要な物量の兵力を投入する大局観を持ち、カートリンクの参謀としても活躍した。
クレイド大将とカートリンク軍務長官の「テルミナ平原の戦い」においては新しく将軍となったミゲルとガリウスがカートリンクの参謀を務め、トロミノは先鋒四将とカートリンクをつなぐ結節点に布陣し、麾下の兵力を運用することに専念できた。
しかしクレイドの半包囲圧迫戦術を見抜けず、側面から帝国軍騎馬中隊の強烈な圧迫を受ける。
王国軍が大敗することをいち早く察知し、先鋒四軍の将兵を後方へと逃がそうとイングスとともに尽力するも、クレイド軍の攻撃は苛烈を極め、麾下の兵を後退させようと動いたスキを突かれて、穴の空いた隊列に帝国軍騎馬中隊の侵入を許してトロミノは討ち取られてしまう。
トロミノを失った兵たちは壊乱して戦場を離脱しようとカートリンクたちのいる後衛に向かって殺到する。カートリンクはすでにミゲルとガリウスの策を採用して退却の道を開けていたため、これによってわずかながらも王国軍は貴重な兵員の全滅だけは避けられた。
用兵の特徴
その用兵は堅実を旨とし、冒険的な戦術を立てることはなかった。そのためカートリンクの参謀を務めた際には、歴代の中でも一際すぐれた参謀として名を馳せた。
実際に兵を指揮させても、敵がわざと見せるスキを看破し、逆にそこから勝機を見出だす慧眼を見せる。
武断の人ではないため兵は勇敢さに欠けるものの、ひじょうに練度の高い運用が可能である。
兵の練度が高く、命令系統が完備されているため、一個の軍団としては他の追随を許さないほどの働きを見せる。
カートリンクから「次代の軍務長官」と期待をかけられており、事実それだけの実績を重ねてきた。
アマム派の将軍の多くがエビーナ大将とアマム軍務長官との「テルミナ平原の戦い」で戦死したため、王国内では「カートリンクの次はトロミノ」と評されるようになっていた。中立派の将軍からもとくに嫌われてはおらず、カートリンクの下でさまざまな計略を提案するなど目端のきく存在として一目置かれていた。
しかしクレイド大将の繰り出した半包囲圧迫戦術を見抜けないまま開戦し、実際に圧迫を受けてからその戦術の恐ろしさを知ることとなった。
それまでの戦いにおいて双方の軍が戦闘中に陣形を変化させた例がなかったためでもあるが、ミゲルやガリウスが感じた奇異に気づくことはできなかった。
【ランドル】
七十二歳
来歴
レイティス王国王太子
レイティス王国国王
身体的特徴
腰まで伸ばした銀髪に銀色の顎ひげを蓄える。青い瞳。
158cm、48kg
精神的特徴
王太子時代に士官学校で同じ年齢のカートリンクと出会う。気の合った彼を自らの右腕とし、副官として用い続けるなど友誼を深めた。
以来帝国軍との戦いで覇を唱え、野獣の群れと戦って敗れることなく、異民族とは講和を勧めて王国に服従させ、従わない異民族を懲罰して編入するなどの硬軟織り交ぜた卓越した戦略眼を持つ。
子宝に恵まれず子どもは娘のユリア王女ただひとりである。ユリア王女は貴族の男性と結婚し、二十三年前にソフィア姫を産むと家族揃って国境の要衝である城塞都市スレーニアの領主として赴任することとなる。
二十二年前(五十歳)で国王に即位するとカートリンクを軍務長官に就け、以後レイティス王国は軍事的優位を保ち続け、前王時代より宰相を務めているムジャカをそのまま続投させて内政の混乱を招くことなく、王国に平和をもたらした名君でもある。
即位一年後、国境の城塞都市スレーニアが異民族に攻め込まれ、ユリア王女の夫である領主は、ユリア王女とソフイア姫を伝令としてランドル王に救援の使いを出した。ただちにカートリンク軍を差し向けたが到着が半日後れてしまい、領主と一万五千余人のほとんどが殺戮された。生き残った七人を連れてカートリンクが王都へ帰還すると、カートリンクはガリウスを養子にとった。
娘ユリア王女と孫娘ソフィア姫、カートリンクとガリウスとミゲルは家族同士の付き合いがある。ランドルとユリア王女は、ガリウスかミゲルのどちらかをソフィア姫の婿にと望んでいる。
十七年前にカートリンクが軍務長官職を辞しガリウスとミゲルの養育に専念したため、後任の軍務長官にタルカス将軍を指名して軍事を任せた。しかし異民族との同盟を破り、野獣の群れにすら敗北したことからタルカスを更迭しようするが「反カートリンクの象徴」であるため、多くの将軍が嘆願して軍務長官補佐に据えざるをえなかった。その後一年ごとに軍務長官をすげ替える必要にさらされる。実質的な軍事支配者はタルカスのまま、軍務長官だけが責任を問われ続けたのだ。
十年前にミゲルを士官学校へ送り出したカートリンクが前線に復帰するとただちに軍務長官職を任せてタルカスを将軍へ降格させる。しかしその後の二年間で帝国軍に敗戦・戦闘回避と続いたため「反カートリンク派」の圧力に負けてカートリンクを解任。帝国では病弱のレブニスが十七歳で皇帝の地位に即いた。帝国軍が当面の脅威となりえないと判断したカートリンクは高齢を理由に第一線を退く。ランドル王はタルカス将軍を軍務長官に任ずると、タルカスの権限によりカートリンクは辺境警備の閑職に追いやられた。タルカス軍務長官は最初の帝国軍との戦いにこそ大勝したが心身の充実したレブニス帝が二年目に陣頭指揮を采ると前年を上回る大敗を喫してタルカス軍務長官は戦死し、カートリンクにまた軍務長官を任せることとなる。
強敵と化した帝国軍との戦いにおいてカートリンク軍務長官が五戦して二勝二敗一分と成績が振るわなかったため、アマム将軍がそれを追及して軍務長官職を将軍全員で決めようという流れとなる。結果配下の将軍が多かったアマム将軍が次の軍務長官となる。
そしてエビーナ大将とアマム軍務長官による「テルミナ平原の戦い」が始まる。
用兵の特徴
元来速戦即決の勇将であるが、王太子という立場上前線で指揮を采ることは少なかった。当時の将軍の中ではカートリンクととくに友誼を深め、彼を自らの片腕として戦いに挑んだ。
野獣の群れとの戦いでは殲滅し、異民族とは基本的に融和政策をとって配下に加え、帝国軍との戦いに万全の体制で挑めるよう軍を備えた。
カートリンクが軍務長官のときはひじょうにハマった戦い方ができた。しかし他の者が軍務長官になると異民族との間に不和が生じ、つねに背後を異民族に狙われながら帝国軍と戦う羽目となった。
後日宿将となるタリエリをカートリンクとともに見出だし、彼の下に置いて鍛えさせる。またカートリンクの養子であるガリウスとミゲルをタリエリ将軍の下に置いて鍛えさせた。双方の例を見てもわかるように、真に実力のある人物を見極める眼力を有している。
エビーナ大将とアマム軍務長官による「テルミナ平原の戦い」においてタリエリ将軍の手足となり王国軍に辛勝をもたらしたガリウスとミゲルの用兵を高く評価し、将軍任官式典における態度から、ミゲルを次代の軍務長官と見定めていた。
【ユリア】
四十代
来歴
レイティス王国王女
レイティス貴族と結婚し、娘ソフィアを授かる
国境の城塞都市スレーニアに家族で移住
スレーニアの大虐殺の際、王都への伝令として出立していたため命を永らえた
肉体的特徴
輝かんばかりの金髪と碧眼を持つ美貌の持ち主
158cm、48kg。
精神的特徴
有力貴族の夫と娘とともに国境の城塞都市スレーニアにて新生活を始める。しかし異民族がスレーニアを強襲し、夫はユリアとソフィアを王都へ増援の使いとして派遣するが、半日後れたため一万五千人の都市で生き残ったのは七名だった。
そのときレイティス王家と家族付き合いをしているカートリンク軍務長官に連れてこられた「声を失った小年」ガリウスを気にかけ、娘ソフィアの遊び相手とした。その後カートリンクがミゲルを拾ってくるとソフィアの遊び相手に加わることとなる。
ひじょうに家庭的で慈悲深く、およそ王女としての威厳に欠ける面もあるが、ソフィアたち三名を厳しく躾けている。夫を失ったユリアに残された家族は彼ら三名と父王ランドル、そしてカートリンクだけである。
ランドル王とユリアは、ソフィア姫の婿としてミゲルとガリウスのいずれがふさわしいか見極めようとしているが、当のソフィア姫は二人を兄のように慕っており、とても恋愛対象とはならなかった。
【ソフィア】
二十二歳
来歴
レイティス王国王女ユリアの娘として生まれる
貴族の父と王女ユリアとともに城塞都市スレーニアに居を構える
スレーニアが異民族から強襲を受け、母ユリアとともに王都へ援軍を要請する使者として帰還する
城塞都市スレーニアの大虐殺の生き残りである「声を失った」ガリウスと仲良くなる
カートリンクがスラム街から拾ってきたミゲルがソフィア姫の遊び相手に加わる
肉体的特徴
陽光を思わす金髪に、澄み渡った空のような青色の瞳
160cm、48kg。
精神的特徴
城塞都市スレーニアの住人の中で、大虐殺が始まる前に脱出して無傷で王都に帰還する。そのスレーニアでは一万五千人の住人がいたが、王都へ生還したのはガリウスを含む七名だけであった。
その衝撃から、家族付き合いしているカートリンクの養子となった「声を失った」ガリウスの面倒をよく見るようになる。
のちにカートリンクがミゲルを連れてきて、二人の輪に加わらせた。
ランドル国王もユリア王女も、ソフィア姫の結婚相手はガリウスかミゲルだと内心で決めていたのだが、当のソフィア姫は二人を兄のように慕っているだけで「恋愛感情」に発展することはなかった。
今年王国軍は帝国軍とたびたび戦争をするが、その結果によりソフィア姫の命運にも影響が現れる。
【ムジャカ】
八十八歳
来歴
レイティス王国宰相
肉体的特徴
白髪を宰相の冠に収め、年齢に似合わぬグレーの鋭い瞳で各長官に睨みを利かす。
158cm、50kg。
精神的特徴
三十八年前に五十歳で王国宰相の座に就くと、以来国政の実務を一手に担い、戦争を支える国家制度を確立する。
二十二年前にランドル王太子が国王に即位すると、ムジャカは前王時代から引き続き宰相を務め、以後今日に至るまで宰相の職務を滞りなくこなしてきた。
老齢により年に数度医師にかかることがあっても、ムジャカ無しで国政は回らないとまで言われている。ムジャカを超える宰相候補が現れない限り、彼が宰相を続けざるをえないのである。
クレイド大将とカートリンク軍務長官の「テルミナ平原の戦い」でカートリンクが没すると、出陣前にカートリンクから上奏されていたミゲル将軍とガリウス将軍のいずれかに軍務長官を任せることが決められた。
しかしムジャカにすれば孫や曾孫に当たるような年齢の人物に、歴史あるレイティス王国の軍務長官を任せることに抵抗があった。戦闘の結果、生還した将軍がミゲルとガリウスしかいなかったため、不承不承カートリンクの上奏がランドル王の手に渡り、程なくしてミゲルが新軍務長官となった。
内心好ましからざる人事ではあったが、そこは三十八年の長きに及ぶ宰相であり、露骨な不満は表出しなかった。
そのミゲル軍務長官がカイを連れてランドル王との謁見を求めてきた際、先に面会の手続きをとるようミゲルを指導するが、彼の熱意に押されてランドル王との謁見を許すことになる。
ミゲルとガリウスは、ランドル王とムジャカ宰相に競馬師カイを紹介し、カイの持つ帝国撃退の秘策を披露させた。卓越した戦術を見せつけられたランドル王とムジャカ宰相は、ミゲル軍務長官の提案を受け入れてカイを「軍師」として作戦立案における権限を軍務長官より上に定め、作戦の失敗はひとえに「軍師」がとることで人事が成立した。
ヒューイット大将&マシャード大将とミゲル軍務長官との「カンベル山稜の戦い」、クレイド大将とミゲル軍務長官との「テルミナ平原の戦い」を経て、二十代の若者たちの非凡さを認めざるをえなかった。
ムジャカは宰相職を辞して後進に道を譲ろうとしたが、ポッサム帝国との関係改善により、適当な後継者を見出だす暇もなく以後も引き続き宰相職を続けていくこととなる。しかしそれはけっして長い年月続くものではなかった。
用兵の特徴
ムジャカは戦場には出ず、後方から輜重隊を送り出して軍の補給路を支える役目を負っている。いつからか直属の軍官吏に任せきりになり、それでもレイティス王国軍は物資と兵糧に困ることはなかった。
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