特典2.レイティス王国:反カートリンク派

【アマム】

 六十五歳

来歴

 レイティス王国将軍

 レイティス王国軍務長官

 レイティス王国将軍

身体的特徴

 180cm、140kg

 金髪のカツラ、茶色の瞳

 醜く肥え太り、肉まんじゅうのような見た目のため、帝国軍からは「肉まんじゅう将軍」と呼ばれる

精神的特徴

 ひじょうに利己的で権力欲が強い王国将軍。配下に取り巻きを揃え、他の将軍たちに賄賂を贈って派閥を広げていた。宿将カートリンクとの仲は悪く、カートリンク派の人材を軽視する傾向がある。しかしエビーナ大将との「テルミナ平原の戦い」において後詰のカートリンク派タリエリ部隊の活躍により激戦の中生還することができた。それでもタリエリ将軍を評価せず彼の部下だったミゲル中隊長、ガリウス中隊長の将軍昇格を阻止しようと躍起になった。しかし「テルミナ平原の戦い」における両名の活躍は誰もが知るところであり、敗戦の責任をとって軍務長官を退かされたこと、アマム派の将軍が全員戦死したことで、不満を漏らしつつもミゲルとガリウスの昇進を阻止することは叶わなかった。

 己の軍才を過剰に見積もっており、戦争の勝利はすべて自分の指揮によるものだと考えている。アマム派の将軍や中隊長たちが活躍しても、その手柄を奪い続け、ついには軍務長官まで上り詰めることとなった。それが王国軍にとって良いことだったのか悪いことだったのかは歴史の知るところである。もしアマムが妬まずに手下の中隊長を将軍へ昇格させていれば、ミゲルとガリウスが将軍へ昇格することを阻止できたかもしれない。

 クレイド大将とカートリンク軍務長官との「テルミナ平原の戦い」において、先鋒四将軍のひとりとなった。クレイドの半包囲殲滅作戦に乗せられて、前線にひしめく四将軍の部隊によって身動きがとれなくなり、部隊を激しく打ち減らされながら名の知らぬ帝国兵により討ち取られる。

用兵の特徴

 数をたのんで正面から戦う用兵を見せる。そのため帝国軍との戦いでしばしば部隊を大きく損ねるが、得意の政治力で追及の手をかわして責任をとることはなかった。王国軍の将軍の多くは数をたのんでの正面決戦を好んでおり、それ自体は非難に値しない。しかし兵を大きく損ねたのに責任をとらなかったのはアマムただひとりであり、その点がカートリンク派の人たちから軽侮の眼差しを向けられることとなった。

 エビーナ大将とアマム軍務長官の「テルミナ平原の戦い」において、兵数を揃えるためにカートリンク派のタリエリ将軍を引き連れたが、戦果を奪われたくないとの狭量さから後詰に置いた。そのため帝国軍を一方的に屠っていたときに戦場を迂回して側背から突撃してきたクレイド中隊により、両軍が凄絶な共倒れになったところを後詰のタリエリ将軍が体を張ってアマムを守護し、結果生き存えたもののミゲル中隊とガリウス中隊の活躍が際立つこととなった。

 クレイド大将とカートリンク軍務長官との「テルミナ平原の戦い」において、カートリンクに奪われた軍務長官職に返り咲きたいと軍功を焦り、クレイドの罠を見抜けずまんまと半包囲下に押し込められて、進むことも退くこともできずに帝国軍に討ち取られた。





【タルカス】

 享年六十歳。

来歴

 レイティス王国将軍

 レイティス王国軍務長官

 レイティス王国軍務長官補佐

 レイティス王国将軍

 レイティス王国軍務長官

身体的特徴

 白髪まじりのグレーに碧の瞳。

 172cm、70kg

精神的特徴

 四十五歳で将軍になると、カートリンク軍務長官の命令を無視して独断専行して軍功を重ねる。カートリンクが軍規に照らして処罰しようとすると反カートリンク派の将軍や中隊長たちがかばうため、「反カートリンクの象徴」となった。

 十七年前にカートリンクがガリウスとミゲルの養育に専念するため軍務長官職を辞すると、代わりにタルカスが軍務長官となる。しかし軍の最高位として戦場で指揮をするとその手腕は下手を打ちすぎた。異民族との和議を破棄して攻め入ったり、野獣の群れにすら多大な損害を出したり、帝国軍との戦いでは大敗を喫したり。「反カートリンクの象徴」であるタルカスが失脚すると困る者たちが多かったため、軍務長官補佐の立場に自ら降格して以来軍務長官を傀儡として扱い、敗戦の責任を軍務長官にとらせて自らは安全な立場を確保した。(以後の軍務長官はユージン、クチュー、フォーエン、バッカス、コルタナ、ハバフの順)。

 しかし十年前にカートリンクがガリウス、ミゲルの養育を終えて現場復帰した際、ランドル王はカートリンクを軍務長官に据え、カートリンクはタルカスの職は無責任の極みと断じて軍務長官補佐の地位を廃止し、タルカスは一将軍に戻った。

 その二年後、カートリンクが結果を残せなかったと主張して軍務長官職を追放する活動を行なって自らが軍務長官となり、即位したばかりのボッサム帝国皇帝レブニスに大勝して勇を誇った。しかし翌年タルカス自身が「惰弱王」とあだ名したレブニス帝が率いる帝国軍に大敗して自らも命を落とす。

用兵の特徴

 軍事の才能は無いものの、カートリンクに対して反感を隠さなかったため「反カートリンクの象徴」として持ち上げられ、次第に地位を高めて十七年前にカートリンクが養育のため軍務長官職を辞したのを期に軍務長官となる。政略に疎く、味方をしている異民族を攻撃して離反させたり、野獣の群れにすら敗北。さらに帝国軍と戦って大敗し我先にと逃げ出した責任をとり軍務長官職を解任されると危惧した反カートリンク派は、タルカスを軍務長官補佐に据えて軍を統率してもらった。しかしタルカスの用兵はただの数だのみであり、軍の陣形も方陣しか知らなかった。そのため帝国軍が斜線陣をとってきても対処できず、以後帝国軍に大敗を続けることとなった。しかしタルカス自身は責任を負わず、軍務長官を切り捨てることで軍務長官補佐の職から退くことがなかった。

 十年前にカートリンクが軍務長官に復帰すると補佐職は廃止されて一将軍へ格下げされる。その二年後帝国皇帝が死去し、病弱な皇太子レブニスが即位すると、二年間カートリンクが勝利していないと非を鳴らして排除し、再びタルカスが軍務長官となった。レブニス帝とタルカス軍務長官の「テルミナ平原の戦い」では帝国に対して大勝利を収め、軍務長官職の地位を確たるものとした。この際レブニス帝を「惰弱帝」と名づけた。

 翌年「惰弱帝」とタルカス軍務長官の第二次「テルミナ平原の戦い」に臨むと、帝国軍のクレイド什長が傑出した戦果を挙げ、その槍をもってタルカス軍務長官の首を刎ねた。

 「反カートリンクの象徴」を失った反カートリンク派は、復職するカートリンクを阻止できなかった。

 のちにアマム将軍が政治力を発揮して「反カートリンク派の筆頭」となり、タルカスの遺志を引き継ぐこととなった。





【アダマス】

 享年五十五歳

来歴

 レイティス王国将軍

身体的特徴

 白毛の混じった黒い角刈りに黒い瞳

 180cm、90kgの屈強で筋肉質

精神的特徴

 活力は王国軍随一であり、槍技は帝国のクレイドに匹敵する。政略には疎く、あくまでも戦場の人である。

 出陣すれば帝国軍大隊長をひとり討ち取ってきたため、タルカス軍務長官に見出だされて役職を上げていく。

 そのため反カートリンク派の将軍であり、タルカスが王国軍を実質支配していた十二年前に四十三歳で将軍へと昇格する。

 タルカス軍務長官がクレイドの槍の露と消えた際に、クレイドと一騎討ちを演じ、その槍技を遺憾なく披露した。

 しかし敗軍の将であり、次期軍務長官はカートリンクが受け持つこととなる。

 その後反カートリンク派の将軍と連帯して戦場で一時的な手抜きを決め込むなどしてカートリンクに軍功を立てさせず解任へ追い込み、アマム将軍を担いで軍務長官とした。

 エビーナ大将とアマム軍務長官の「テルミナ平原の戦い」には娘が出産することを理由に参加せず、敗死を免れた。

 しかしクレイド大将とカートリンク軍務長官の「テルミナ平原の戦い」においてアマム将軍とともに先鋒四将に名を連ね、クレイドの半包囲戦術によって行き場を失い、麾下の兵士たちが次々と討ち取られ孤軍奮闘するも帝国軍重装歩兵の長槍隊によって討ち取られる。

用兵の特徴

 個人の戦闘力がきわめて高いため、よく単身で敵陣に飛び込む無茶をする。しかしその意気を感じたタルカス軍務長官に見出だされて十二年前に将軍に列した。

 戦場でつねに一騎討ちを申し出ては帝国軍に拒まれるほどの武勇を挙げ、帝国軍からも一目置かれた存在であった。

 恩人であるタルカス軍務長官がクレイドに討ち取られると、すぐさま一騎討ちに名乗りを上げて互角の戦いを繰り広げた。双方一歩も引かぬ勇戦を繰り広げたが、王国軍の退却が開始されると名残惜しそうに自らも帰国の途に着いた。

 反カートリンク派としてアマム将軍を軍務長官へ推挙したものの、娘の出産を理由にエビーナ大将とアマム軍務長官の「テルミナ平原の戦い」には参加していない。

 続くクレイド大将とカートリンク軍務長官との「テルミナ平原の戦い」では反カートリンク派としてアマム将軍とともに先鋒に名乗りを上げ、結果としてクレイドの半包囲戦法の餌食となり、率いる兵が次々と倒される中ひとりで奮闘するものの帝国軍前衛の重装歩兵長槍隊によって討ち取られた。





【タクラム】

 享年六十二歳

身体的特徴

 薄茶色の長髪と瞳をしている

 宝石を散りばめた指輪を両の五指にハメている、

精神的特徴

 カートリンク派でも反カートリンク派でもない数少ない将軍だが、アマム将軍のことは嫌っており、エビーナ大将とアマム軍務長官との「テルミナ平原の戦い」には参加していない。彼が参加していればタリエリ将軍が参戦することはなかった。

 クレイド大将とカートリンク軍務長官との「テルミナ平原の戦い」において、アマム将軍、アダマス将軍とともに軍功を競って先鋒四将に名を連ね、クレイドの半包囲戦法の餌食となった。詳しい死に方は記録されていないが、ミゲルとガリウスの指揮により王国軍が撤退する際に亡骸を見つけられ、ともに王都へ帰還した。帝国軍の仕業か王国軍の仕業かはわからないが、指輪をハメていたはずの両の五指はすべて切り落とされていたという。

用兵の特徴

 派閥には属さないが、軍功をあげたいという意志が人一倍強い。軍功第一であれば彼の大好きな宝飾品を賜われるからである。アマム将軍は宝飾品を賄賂として「アマム派」に加わるよう図ったが、ランドル王から下賜された宝飾品だけが彼の美学を満足させる。よってアマム派に加わることはなかった。戦場においても十指に宝石を散りばめた指輪をはめている。

 そのためか、戦争では後方に待機するなど我慢がならない。しかも利に聡く、帝国軍大隊長を倒すことに逸る傾向が見られる。





【ソフォス】

 四十八歳

来歴

 レイティス王国将軍

身体的特徴

 禿頭にブラウンの瞳

 190cm、100kg

精神的特徴

 カートリンク派でも反カートリンク派でもない数少ない将軍のひとり。

 精力がみなぎっており、配下の兵はつねに戦意を高く保っている。最前線に立って味方を指揮し、敵軍のスキを見出だすことに長けている。

 アダマス同様、己の武勇に自信を持ち、兵たちの戦意も高いことから強襲作戦の尖兵によく用いられた。しかし大局観はなく、自らの眼前にいる敵を疑いもなく攻撃し、手痛い反撃を食らうこともあった。そのため予備兵力として好機を見て軍務長官が戦場に投入する切り札として働いた。数多くの武勲を立てたが、敵の擬態を見破れず裏をかかれたことも数知れない。派閥に属していないがゆえに、アマムが軍務長官の際は手柄をとられるのが嫌でサボタージュを決め込むこともある。カートリンクの老練な才幹に憧れてはいるが、自身は武将であり知将としては足りていないことを自覚しているがゆえに、カートリンクに一目置くも嫉妬心も抱いている。

 クレイド大将とカートリンク軍務長官の「テルミナ平原の戦い」において先鋒四将に名を連ね、アダマスとともに正面の帝国軍重装歩兵を排除しにかかったところでクレイドによる半包囲圧迫が完成して部隊の身動きがとれなくなり、活路を正面の手薄い帝国軍重装歩兵大隊に定める。突破を果たせばクレイド大将と直接対決が叶い、一騎討ちに持ち込んで劣勢を一発逆転できると考えたのだ。持てる戦力をすべて正面に注ぎ込み、帝国軍重装歩兵大隊に出血を強いたが一点突破は叶わず、最期は包囲されて抵抗するも虚しく討ち死にした。

用兵の特徴

 個人の武勇をたのみ、部下にも高い戦意を求めた。槍技ではアダマスに劣るものの剣技では上を行っており、模擬戦での一騎討ちにおいては両雄がしのぎを削る「見せ場」を演じていた。

 一点突破を果たして敵将を討ち取ろうとする強引なところがあり、しかも周囲が見えていないため、よく敵将の手玉にとられた。

 この戦術自体はミゲルが引き継いだ形になっている。しかしミゲルがソフォスと決定的に異なるのは、一点突破を為す人物が将軍本人か、“無敵”のナラージャかという違いがある。ソフォスは自身が先陣を切るため、どうしても周囲の変化に気づかないのである。対してミゲルは戦局を全般に見渡して戦況が変わった際にナラージャへ撤退の指示が出せるため、ソフォスの用兵とは一線を画している。



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