第48話 和平・開かれた道
すかさず
「軍務大臣、王国のミゲル軍務長官はこう申しておるが、そちはどう思うか」
「ワタクシと
タンパ様が口を開いた。
「発言を失礼
助け
「わが軍は貴国が三倍の兵力をもってしてもなお打ち破れないほど強固な軍事力を有しております。それゆえわが
「
タンパ様が言葉を繰り返した。
「双方の戦力は同程度であり、今戦っても勝利を
「そちは半年の講和でも満足なのか?」
「もちろん講和は長いほど喜ばしいと存じます。できれば
王国が講和を求めてくる。
居並ぶ者たちもにわかに信じられないようだ。
これまで
私が知りえぬ昔、レイティス王国は異民族との間で絶えず戦乱が巻き起こり、当時のランドル王子と
その話は皇帝陛下もご存じだろうし、私がそれを
だが
本来なら降伏を迫ってもおかしくない局面だからだ。
事実、過去両国とも相手に対して降伏を要求したことはあっても、講和を求めたことは一度としてなかった。
帝国民は元々王国民である。
帝国に講和を申し入れるなぞ
「両国の兵力が
ひと呼吸入れて場の
それから続きを進めていく。
「聡明なる皇帝陛下や帝国臣民にはおわかりのはずです。われわれには戦うべき正当な理由など存在しません。悲しみを
タンパ様はウンウンと
「愛する者を失った悲しみは両国が互いに
皇帝陛下は場にいるすべての顔を見わたした。
釣られて私も見わたそうとしたがそれはやめた。
場内の
「軍務大臣、再度問う。これから出撃して王国に勝つ公算はあるか」
皇帝はクレイド軍務大臣のほうへ向きなおり、
「ございますまい。王国にはなによりも“鬼神の才”を有する“軍師”がおります。彼の知略の前ではわが軍がいかに力をつけようとも敗北は必至。王国軍はつねに先手をとり、わが軍の行動の自由を
タンパ様が口添えする。
「うむうむ、私は戦場に
「ここにいる皆がどう考えているか知りたい。王国との戦いを継続していかなる
私の前に並ぶ国務大臣を筆頭とした老いた者の手が挙がる。
彼らは実戦におけるクレイド軍務大臣の用兵を見ていない。
戦場でクレイド軍務大臣の
「それでは王国に降伏したほうがよいと思う者は手を挙げよ」
今度は
「よし、そちたちの意見はわかった。
「方針は決した。レイティス国王陛下への親書をしたためるゆえ、ミゲル軍務長官方は別室で
その言葉ののち、先ほど案内してくれた若い士官に連れられて別室へと歩み始めた。
とにかく講和は
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