第47話 和平・皇帝とまみえる
この瞬間をどれだけ待ちわびていたか。
「レブニス皇帝陛下、こちらが王国で軍務長官を務めるミゲル
なんと名乗りをあげたのはタンパ様だった。
「タンパ殿、やはりあなたでしたか」
「なに、なかなかに気持ちのよい若者じゃったのでな。つい気になってしまったのじゃよ」
「
先ほど思い出した素性をそれとなく伝える。
「たしかレブニス皇帝陛下の
「そんなに偉いお方なのですか。失礼なことをけっこう口にしてしまいましたよ。知っているならすぐに教えてくださればよかったものを」
「いや、名前だけしか知らなかったし、
「皇帝陛下、私はこの会談の証言者となりましょう。ここは腹を割って話を聞いてはくれまいか?」
「他ならぬタンパ殿の申し出です。ぜひ証言者として同席願いますよう」
「ミゲル軍務長官
「タンパ様、お
「おお、そうじゃ。忘れぬうちに申しておくか。陛下、この者たちは先の
「なんと。これはミゲル軍務長官のご意向ですかな?」
「はい、陛下。私の一存でございます」
「なぜ敵である帝国兵の
「私は元来、人殺しを好みません。たとえ戦争であっても、可能なかぎり敵兵を殺さずにやってまいりました。しかし軍務長官となってから帝国兵を無秩序に殺害するよりほかなかったのです」
「殺害するほかない。どうしてかな?」
「この
「ほう、それが帝国兵を
皇帝陛下が真面目な顔つきに変わって問いかけてきた。無理もないが。
「はい、帝国軍が王国軍と対等の戦力になるまでは手を止められないのです」
「そなたの
真剣な眼差しの皇帝陛下へ、こちらも顔を改めて答える。
「
「講和? 講和とな?」
「さようです、陛下」
「通常、講和は負けた側が提案するものだぞ。カンベル
「三倍の兵をもってしても帝国軍はわが王国軍に勝てなかったのです。これは私の能力ではありません。軍師を務めた者の力量によります。仮に私たちがこの場で殺されても、なお帝国軍はわが軍には勝てません。だから講和を呼びかけているのです」
「わが帝国軍が王国軍に
「帝国軍が頭をひねるように、王国軍もまた次の策を考えます。恐れ多いことですが、差はそれほど
「
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