第38話 決戦・大局を見る男
「やはり帝国軍はひとつにまとまっていますね」
「下手に分散しては先の
ずいぶんあっさりと答えられた。
彼にはクレイド軍務大臣がどう行動するのか。あらかた見当がついていたようだ。
帝国軍は先の大敗により、兵力分散を最も嫌うだろう。
またカンベル
となれば必然的に
ここなら見通しがよく
また兵力差があるため、こちらの半包囲攻撃を未然に抑えるのも
あの規律正しく整然と統率された軍隊は、クレイド軍務大臣の
思えばクレイド大将とカートリンク軍務長官
あの構えを見ただけで、彼の
もし見抜けていれば、カートリンク軍務長官
「軍師殿の見立てには恐れ入ります。それでは実際に戦火を交えたとき、帝国はどう動くとお考えですか」
感服したラフェルの筆頭中隊長は今後の展望について
「こちらがどのように動こうとも、帝国軍は密集してひとつに固まってくるはずです。兵を小出しにすれば、われらに
「それではこちらに勝機がありませんね」
わかりきったことをユーレムの筆頭中隊長が聞いてきたので、カイは半ば
「相手がそうしてくることがわかっているのなら、こちらもそれ
「その策とは?」
ガリウスの筆頭中隊長の問いかけにカイはただ笑っていた。
三名の筆頭中隊長とも、実戦での部隊運用は私たち王国四将軍に比肩する能力を持っている。
だが物事の先を見通す能力はまだまだ及ぶべくもないようだ。
そもそも用兵には二種類ある。
いかにして敵を崩すか“攻め”の用兵と、いかにして敵に崩されないか“守り”の用兵である。
クレイド軍務大臣が“守り”の用兵に
私もガリウスも元来“守り”の用兵には
“攻め”については私の筆頭中隊長である“無敵”のナラージャへ全面的に頼ってきた。
彼の部隊いや彼ひとりで敵
困り果てた三名の筆頭中隊長を後ろから
「なんのために
とナラージャが助け舟を出してきた。
「それでは、軍師殿は最初から帝国軍がここに
「それに敵がひとつにまとまることも……」
三名の筆頭中隊長とも、これにはひどく驚いている。
それもそうだろう。
戦う前から相手の配置を完全に予測するのは、神の
先の
だが、初めて
まるで異民族の“魔法”でも見せられているようなものだ。
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