第34話 雌伏・秘密の作戦
「今回は軽装歩兵だけで軍を構成
それは唐突な編成であった。
「軽装歩兵だけでか?」
「さようです、ミゲル軍務長官
この場にいる将軍たちが編成の利点をあれこれ考えて始める。
「全員弓を持てるから、遠距離から攻撃してじわじわと削っていく戦術では?」
「いや、相手の重装歩兵がすべて
「重装歩兵といえば
「重装歩兵も
カイはニコニコしながら議論の活発さを
おそらく自分の考えた戦術には誰ひとりたどり着けないと確信しているのだろう。
国王陛下も真剣な表情で考えている。
「こんなのはどうじゃ? 軽装歩兵をここにいる四将軍で分割し、戦場で円を描きながら帝国軍の
「国王陛下、
ただこの作戦には弱点もある。
「ですが陛下。その作戦ではわが軍の疲労が早期に
「ミゲル軍務長官、これでは駄目だったか」
「いえ、機動力を活かすお考えは悪くないと存じます。ですが陽動のために無駄な動きが増えるのは
このやりとりである案が浮かんできた。
「
カイがにわかに顔を引きつらせた。
「その手があったか!
「あーはいはい。そこまででよろしいでしょう」
やや
「ということはよいところまで
「陛下とミゲル軍務長官
「ははは、
「陛下、
さすが陛下は軍事に明るい。王太子時代に前線で活躍したのも
「しかし、正解はどのような戦術となるのか。今ひとつピンと来ないのだが」
「全軍の機動的な動きは、すべて軍師である私の指示に従っていただきます。ミゲル軍務長官
「軍師殿、せめて
「陛下といえどもお教え
そこまで
「ではわれわれはカイ軍師の指示を聞き、それで瞬時に
「ミゲル軍務長官
「ということは、私たちは将軍の位にあっても、自らの意志で部隊を操れない、ということですか?」
「ラフェル将軍、そのとおりです。今回の作戦は、すべて私の頭の中にあります。皆様には私が発した
「しかしそれではわれわれ兵を率いる者にも全体の行動がわからないのではありませんか?」
「ユーレム将軍の不安もわかります。しかし、わからないのは帝国軍も同じなのです。いえ、帝国軍こそこちらの真意が読み取れず、
場を収めるために一声投げかけた。
「会議はここまででよかろう。あとは実際に
「はっ!」
「ではさっそく演習を開始する。各自、己の部隊を召集して一刻ののち演習場に集合せよ」
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