第20話 軍師・漆黒の競馬師
「ミゲル、気晴らしに競馬でもやりに行きませんか」
秋が深まり抜けるように青く晴れわたった昼下がり。
王都の中央通りでガリウスは
「お前、競馬って
「いいんだよ、気晴らしになれば」
正式に軍務長官へ任命された親友の
しかも今回補充の将軍昇格はあまりの大敗のために保留されている。
軍務長官といえど動かせるのはミゲル大隊とガリウス大隊しかないのだ。
前戦同様、
軍務長官職は王国軍全体を指揮下に置く最も重要な職である。
頻繁には会えなくなるかもしれないソフィア姫殿下は、そういった意味でもなにか
軍務長官として挑む初戦の前にはプレゼントを渡してくださるとお約束くだされた。
正式に
この一週間、ガリウスとふたりの分隊長とともにさまざまな想定を行ない検討してみた。
しかしクレイドに勝つ
そもそも戦場で
こちらも
しかもスレーニアに出した書状は、
これで“魔法”を使って戦力差を埋める手段を失ってしまった。
魔術師なしで三倍の兵とどう戦えばよいのか。
緊張と
そして栗色の髪の毛を
王都は先の大敗で
当てたと言って
戦争の
まるで“異世界”に飛び込んでしまったかのようだ。
ここにいる馬は戦時には軍事
だが場内にはそんな
レースは五頭立て、十分間隔で五時間、日に三十レースが行なわれる。
そのため
俺たちは試しに
しかしいずれも外れてしまった。
競馬というのもなかなか奥が深いな。
少なくとも俺に競馬は向いていない。
その背に
そのとき、
年の
競走馬の待機場でこれからレースを走る馬たちを
初めのうちは
しかし彼が
ガリウスにそれを伝えると、彼も
勝つ馬を完璧に予想できる人物とはどういう手合いなのだろうか。
帝国軍への
レースもたけなわな待機場で馬を
「今まで拝見しておりましたが、すごいですね。五回すべて当てていらっしゃる」
「なんだ、お前たち」
男は半目で
「失礼
「ガリウスにミゲルってぇと、あの新米将軍の?」
男はじろじろと俺たちの顔を品定めしている。
「こちらのミゲル将軍は一週間前、正式に軍務長官
「へぇ。将軍や軍務長官でも競馬をなさるんですか。いや、だからこそ競馬でカンを養ってらっしゃるのかな」
この言葉に引っかかりを感じた。
「だからこそ、とはどういうことですか」
「へっ、知らないんですか。それともオトボケかな?」
「競馬ってぇのは
ガリウスは頭を
「ははは、確かにそうですね」
と答えた。
二人とも三連敗なのだから当然である。
「だから生きた情報を集めるのさ」
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