第18話 軍師・束の間の休息
「ミゲル
ソフィア姫殿下が
「将軍昇格の
「本当のところ、受けるつもりはなかったのですが」
姫殿下の暮らす宮殿の庭に建てられた
「ミゲルは私に軍務長官職をまわそうとしたのですよ、姫様」
「なぜですの? 軍務長官といえば軍の最高位ですよね? 組織の頂点に立ちたくない
「いるんですよ。あなた様の目の前に」
ガリウスは笑いを
「
「私たちは前線遠く、後ろで控えていましたからね」
場が
「でもミゲル
「私は結婚をするつもりはありませんからね」
「どうしてですの?」
「私は多くの人間を戦場で殺してきましたから」
「でも戦果を挙げなければ昇進できないのですから、当然ではありませんこと?」
「別に昇進がしたかったわけではありませんよ、ソフィア様」
「部隊の仲間たちがひとりでも害されないよう、それだけを考えて戦っております」
ふとソフィア姫殿下を見やると、つい緊張が
「まぁ、倒されないように戦っていたら、いつの間にか
「素敵な話ですわね。可能なかぎり人を
姫殿下のおっしゃるとおり、確かに異例なのだ。
プレシア大陸では、指揮官が倒された部隊は敗北を認めて抵抗をやめる決まりとなっている。だからこそ、殺した人数が少なくても「
“切り
そういう意味では悪運が強かった、としか言いようもない。
「まぁ今回は異例のご
「いえ、それがそうもいかないようで」
「ガリウス
「確かに兵たちの疲労と
「というと?」
ここはガリウスに成り代わり、軍務長官として姫殿下へ見解を述べた。
「つまり帝国が
「そうなると?」
ソフィア姫殿下には軍事なんてさっぱりわからないはずだ。
というより、
俺やガリウスが負傷でもすれば現実味を覚えもするのだろうが。
あいにく、俺もガリウスも
「現状、王国軍は予備
ガリウスが説明を始めた。
「
これには
「まぁ、本当のことを言われて照れてらっしゃるの?」
「いえ、違います。たとえが悪かったですね」
俺はさらに
「たとえばひとりと三人がケンカをしたら、どちらが勝つとお思いになりますか?」
姫殿下は
「そのひとりがとてつもなく強いとか?」
「そんな都合のよい話ではありませんよ。四人とも実力に差はありません」
「でしたら三人が勝ちますわね。周りを取り囲んでしまえば、そのひとりに逃げ道はありませんから」
おっしゃるとおり、と答えた。
するとソフィア姫殿下は手を打ち合わせた。
「あ、でしたら王国軍が負けてしまいますわね」
「お気づきになりましたか」
「ですが王国軍がとてつもなく強くなれば、たとえ三人に襲われても勝てるのではなくて?」
ガリウスが口を開いた。
「おそらく帝国の次の出兵は来月でしょう。それまでのたった一カ月で、三人を倒せるほど
「ソフィアは
「もし来月負ければ、おそらくそこで王国は滅びるでしょう。姫様の身にも害が及ぶかもしれません」
「何度も申しますが、ソフィアは
「私たちは
「それはありえない話だと、ソフィアは承知しております」
「異民族の用いる“魔法”があれば、戦力差を
「ただ?」
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