第4話 式典・儀式の始まり
本堂の
マントの色は入口から奥に伍長・什長が青、小隊長が水色、中隊長が黄色。
赤のマントは士官学校の卒業生つまり
それほど卒業が王国にとっては格別の扱いとなっているのだ。
ガリウスとともに、先導する若者に従って
将軍は正式の場では
屋内であるため
ただし
国王陛下に危害が及びそうなら、その身で防げという覚悟の
いかに能力によらない昇格がなされてきたか。
この場にいれば誰でもひと目で察するだろう。
将軍列の一壇上の中央向かってやや右に再任されたカートリンク軍務長官
軍務長官は軍制でランドル国王陛下に
じいさんは七十二歳相応な銀髪を短く刈り込み、同色の口ひげを整えている。
今はこちらを向いているため見えないが、マントは将軍職を示す紫色に黄色い十字の帯が描かれている。
軍務長官専用のマントだ。
軍務長官は特別に
ムジャカ
独創性には欠けるが行政処理能力はきわめて高く、国王陛下の信任を四十年以上も
王国の弱点は組織の要となる役職での高齢化とそれに伴う運営の硬直化が挙げられよう。
国政の
だがじいさんから聞いた話では、当人にその考えはないそうだ。
最も行政処理能力が高く、とくに人望の厚い者を後継者に得たいらしかった。
しかし比較となるムジャカ
今は
じいさんと
王国の軍事式典に女性王族が出席することはきわめて
そもそも王国軍は男性のみで編成されているので、この場にいるのは男性のみとなるはずだった。
しかし今年二十二歳になった王孫の姫ソフィア様は、国王陛下とじいさんを
そんな「兄様」ふたりの将軍昇格の晴れ舞台をぜひ
姫君は
ソフィア様から直接聞いた話ではあるのだが。心を許せる親しい男性には
しかし当のソフィア様は「兄様方は特別」と仲のよい友人関係であるため、別に将来性豊かな男性を早めに見つけねばならぬ。と陛下がじいさんと
ソフィア様の母であるユリア王女殿下が、彼女は
それなのに周りが取り越し苦労するさまを、ユリア王女殿下はやや
それが平和な
王女殿下と姫君より三つ
頬もこけ上体を玉座に深く預けて七十二歳相応の
反面、眼光には鋭さが宿り、その視線に俺は射すくめられて神の威光に似た
金と宝玉をふんだんにあしらった背の高い儀礼用の王冠を
並みの老人なら首の骨が折れるほどの重さであろう。
それを見たじいさん、カートリンク軍務長官
「陛下。こちらに控える二名が、
と紹介を始めた。
「左に控える背の高い栗毛の青年はガリウスと申します。先の戦いで
ガリウスは立ち上がり、国王陛下に深く一礼して
「右に控える赤毛の青年はミゲルと申します。先の戦いで
ガリウス同様、一礼して元に戻った。
「カートリンク。ふたりはそちの
ランドル陛下は落ち着いた口調で
じいさんつまりカートリンク軍務長官
国王陛下の右腕であり、第一の理解者であり、親友でもあった。
それゆえ互いに全幅の信頼を寄せているのだろう。
国王陛下の問いはすなわちそれなのだ。
「二名とも幼き
聞いていた六将軍の中から、国王陛下の面前を
中でも
この
それに
一騎討ちでは敵なしと称され、クレイドとも三度対戦しすべて決着がつかなかったとされている。
このふたりを演習で打ち負かして将軍昇格を内定させた。
だからおそらくこれは
それゆえ
「先の戦いでわが軍が敵騎馬中隊に
じいさんの皮肉まじりの言葉で、“肉まんじゅう”と“武神”はそれ以上の
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