第2話 式典・控え室で振り返る
控え室に入ると正面の窓から
中央の席に向かい合ってゆったりと腰を下ろす。
部屋の
脚を固定してあるテーブルの奥には、
士官学校のテーブルはすべての脚が床に固定されていた。
昇格できない士官たちは
場にある「最大の
部屋の改装に
これまで帝国や異民族との戦いで多くの将軍が
それに
現在の軍務長官つまり
以前昇格試験において将軍に
しかしタルカス軍務長官の軍才は平凡未満であり、異民族との和議を
しかし
そこでアマム将軍は、カートリンク派の将軍ひとりを捨て
そして反カートリンク派の将軍を次々と軍務長官に当て、タルカス軍務長官補佐が彼らを
それから六名の将軍が軍務長官職に入れ代わり立ち代わり就任しては責任をとらされた。
ガリウスと
無責任の極みだった軍務長官補佐職は廃止され、タルカスは
しかしその二年後、じいさんが結果を残せなかったとタルカス将軍以下、反カートリンク派の将軍は主張し、数の暴力によってまたもや
タルカスが軍務長官へ再昇格したのち初となる、病弱なレブニス帝が指揮する帝国軍との戦いで勝利したものの、皇帝が心身を充実させた翌年に大敗を喫し、自らも命を落とした。
象徴であったタルカス軍務長官を失った反カートリンク派は、
しかし先の「テルミナ平原の戦い」において、アマムは数の暴力で軍務長官となったものの一軍を統率しえない
反カートリンク派といえば聞こえはよいが、要は「才能のない者たちの
数を集めて指図できる立場を手に入れながら、責任を果たそうとする
ふと意識を現実に戻す。
部屋の心地よい暖かさに体が
テーブルに用意されていた紅茶のポットに手を伸ばした。
ガリウスが替わりを呼ぼうとしたが
「今回の卒業生は
ガリウスに向かってはいつもぞんざいな話し方をしている。
少年期の非行で心が
高位になればたやすく口調が改まるというものでもない。
同じ老将の下で育った年上のガリウスはなにかにつけて
それに応えるのが彼への誠意だろう。
「先月の帝国との
ガリウスは
「まぁ率いる兵もなく、将軍の頭数を増やしただけで戦争に勝てるというものでもないしな」
それは俺たちの養い親でこのほど返り咲いた軍務長官の意見でもある。
「率いる兵士が足りない以上、将軍の頭数を増やしても各将軍の手持ちが減るだけですからから。増やしすぎれば諸将軍の
まったくだと
これまで将軍職は年功序列で任命された。これまで半年に一度、
養父であるじいさんが軍務長官として優秀であったため、
それにより意図せずして次第に将軍の質は低下し、近年帝国の
先の
王国にとっては失うものばかりが多かった。
この状況を打開するには、将軍の質を重視した精鋭の軍隊を
返り咲いたじいさんは強硬にそう主張したらしい。
だからこそ養い親は諸将軍の反対を押し切った。
俺たちふたりの
「じいさんのえこひいきだと、将軍や中隊長の間では持ちきりらしいな」
手を広げ
「カートリンク様はたいへん公平なお方です。僕たちが養子だからといって、それを理由に昇格させようとはなさいますまい!」
ガリウスは
「軍務長官の
と自ら心に刻みながら返す。
「俺たちが将軍になったことで、順番を飛ばされたと思っている中隊長は
将軍や中隊長のやっかみが
他を
もちろん当時の軍務長官であったアマム大隊の副官中隊長も候補に挙げられてはいたのだが、なにひとつ戦果のなかった中隊長を昇進させるわけにはいかなかった。
もしアマムが軍務長官職に留まっていたら、カートリンク派の
「長官
その言葉に深く
なにより
それだけに戦果を要求される重責を感じずにいられないのだ。
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