第9話
「ぐっ…」
再び意識を取り戻すと、学校だった。
「いっつ…」撃たれた部分の痛みはまだ残っている。
「そうだ、あの力…夢の中から勢いよく飛び出してきたのはいいけど、本当に使えるのか…?」
試しに腹の弾丸を消去し、破壊された体の組織を修復できるかやってみよう…そう強く念じてみた。すると、銃創は数秒で元通りになったではないか!まさかこの力が本物だったとは…俄には信じ難いが、ともかくこれで!
「おいおっさん、待てよ…」
撃たれたはずの俺が無傷で立ち上がったことで、教師生徒関係なくどよめき声があがった。
「まだ生きているだと?しぶとい奴め…なっ!」俺を撃った男は驚きの表情を浮かべた。
「隙あり」
その隙を突き、俺は男を殴り倒した。
「ぐはっ!」男はもんどり打って倒れた。
「野郎!」もう1人の男が俺に発砲した。俺の右腕と左肩に命中する。
「ぐっ!けど!」
俺は右腕と左肩を治癒した。幸い皆に背を向けていたので、治癒の瞬間は玲と男以外には見えていないはずだ。
「はあっ!」
そのまま最後の男も殴って落とした。
「ふぅ…」息を整える。
その様子を見た玲は驚いていたようだが、数秒で平静さを取り戻した。
「誰か警察に連絡をお願いします。救急車も。」
その玲の一言で、皆もようやく落ち着いたのだろう。
「警察と救急に連絡!」先程の中年教師が他の教師にてきぱきと指示を下していく。そういえばあの先生うちの学年の学年主任だっけ。
右肩を後ろから玲に叩かれた。
「ちょっと来て」
俺は玲に引っ張られ、保健室に連れてこられた。今は誰もいないようだ。
「手、出して」
言われた通り手を出すと、玲はテーピングをしてくれた。
「ねえ、あれはどういうこと?」玲から説明を求められる。
「ああ、それはな…」 俺は先程の夢での出来事、さらに自分の能力の詳細を玲に説明した。
玲はじっと俺の顔を見つめていた。おいおい恥ずかしいぞ。しばらくして、玲が口を開いた。
「あなたの言ってること、信じるわ」
「良いのか?なかなかに胡散臭いだろ」
「でもそう考えないと辻褄が合わないもの」
「そうか…ありがとう、信じてくれて」
「それはそうと、あなたは無事なの?シャツ、替えないと…」
「なんとか大丈夫だ。能力の効果で、このシャツに付いた血も消せるし」 実際にシャツに付いた血液成分を消してみた。
「…」玲は黙ってそれを見ている。
「この能力についてだけど、他言無用だ。誰にも言わないで欲しい。あとこちらにも聞きたいことがあるんだ。」
今度は俺に質問させてくれ。
早く帰らせてください(切実) 織部 @sohaya2397
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