第15話 八方塞がり

 翌日、近所の皮膚科で診察して貰った。


 ……帯状疱疹が重症化し、腹筋が腹圧を抑えきれず『腸ヘルニア』を起こしてしまった……との診断だった。


『ヘルニア』とは、臓器が本来の位置から逸脱してしまった状態を言い、発生部位によっては、血管や神経を圧迫してしまう事も少なくない。


 椅子に座った時だけ足が痺れたのも、逸脱した腸と椅子に座った際に挙上する筋肉に下肢の血管が挟まれ、圧迫されてしまったからだったようだ。


 恐らく『冠攣縮性狭心症』治療の為に処方された『ニコランジル』の副作用で頭痛が酷く、睡眠不足に陥った事により(本編第8話『満員電車』をご参照下さいっ🙇🏻)体力が低下してしまったのが主な要因だろう。


 皮膚科の先生の話では、腹筋麻痺は自然治癒を待つしか無いそうで、半年から1年……あるいは一生治らない事もあると言う(泣)


 それも困るが、このみっともないお腹のこぶも困る。 今はスウェットで誤魔化しているが、いつもの服では、はっきりと目立ってしまう。


 暫くは、清潔な『サラシ』をお腹に巻いて生活する事になった。


 ……のだが……!


 ここで、更なる悲劇が私に襲いかかった!


 帰宅後にサラシを巻いた直後、挙上した臓器が血管に刺激を与えた為、再び『冠攣縮性狭心症』の発作が起きてしまったんだ!


 慌ててサラシを解き、狭心症治療薬『ニトロール』を舌下投与して事なきを得たが、これでは、もう手の施しようが無い。 ……完全に詰んでしまった。


 嫁入り前の娘が……なんの因果でこんな目に遭わなきゃならないの〜〜!?


****************


 ……と、それから半年……


 下肢の痺れが落ち着いたため、何とか職場復帰出来たものの、お腹の膨隆はほとんど変化していない……。


 今は慣れたが、会う人会う人に『おめでた』と思われるのには、いいかげんうんざりして来た。


『↓これは帯状疱疹の悪化で腹筋が麻痺し、腸がヘルニアを起こしているもので、決して妊娠ではありません💢』と書いたプレートを首から下げる事を真剣に考えている今日この頃だ(苦笑)


※作者注


 今回の章は、作者である私の分身とも言える主人公『はるか 真優まゆ』が経験した『疾患遍歴(?)』をセミ・ドキュメンタリーでお送り致しました。


 ……実は私自身が完治していないので、正確に言うと、この章は続いているのですが、そろそろ次の章に移りたいのでここまでと致します💦


 続報は次章でお伝え出来るかどうか?


 次回からの新章も、どうか宜しくお願い申し上げます🙇🏻


PS.昨日ニュースで、来年4月から65歳以上の方を対象に『帯状疱疹ワクチン』の定期接種が決定されたと聞きました。


 対象年齢はとにかくとして、これにより、今回、私が体験してしまった苦しみを負う方が減る事を心から願いつつ、本章を締めたいと思いますっ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

臨床検査技師の『はるか』です! コンロード @com-load

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ