「そ、結構ヤバい」
当たり前のように言いやがって……。
「え? じゃあ私演劇できないじゃん!」
柳田くんはイヤそうに顔をしかめる。
「別に、そんな演劇がしたかったなら小さい劇団とか入りゃいいだろうよ、なんでわざわざ演劇部に、」
「西園寺学園の演劇部じゃなきゃあ、意味がないの!」
するとものすごくイヤそうな顔をする。
別に私ヘンなこともおかしなことも言ってないじゃん!
「まぁ、忠告な。お前が入ったところで一年で潰れるんだ、そのあと何かしらの部活に入ることあるだろ。それなら別の部活入っておいたほうがいいぞ」
確かに、一年生から部活に入っておかなきゃ。二年生になってから入ったら先輩とすっごく気まずそう!
きっと、柳田くんは私のことを思って言ってくれているはず。でも、これに惑わされちゃだめ。昔の私みたいな人を救うって、決めたんだから!
でも、少しだけなびいてしまいそうな自分がいやだ。
「ううん、あきらめないよ私。あと三人だよね、探してみるから」
「そうかよ、じゃあな……とりあえず、連絡先だか交換な」
多分柳田くんは部員集めとかしない気がする。だから私がしなきゃいけなそうだな、とスマホのQRコードを読み取りながら思う。
「あ、そうだ。俺は六人集まったら演劇部抜けるから。できればもう一人集めといてくれ。よろしくな」
え? 柳田くんは演劇やるためにここにいるんじゃないの?
「俺は演劇はしないからな、何があっても。数合わせでいたとしても活動はする気はないからな」
「なんで!? 演劇やろうよ、一緒に! 絶対に楽しいよ!」
とたんに柳田くんはすごく悲しそうな顔をした。
なんで悲しがってるかはわかんないけど。
「ねぇ、柳田くん。演劇やろうよ!」
「……うっせぇんだよ、黙れ! 俺は演劇はもうしない、もう関わらないって決めたんだよ!」
怒鳴られて、しまった。
「ごめん、柳田くん」
「……っ、わりぃ、もう俺帰るわ。じゃあな、部員集めせいぜい頑張れよ」
夢から醒めて。 愛奈 @monaka_wagashi
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