22歳
22歳の頃、姉が自殺した。享年26歳だった。
ある朝「仕事に行きたくない」という言葉を遺し、自室で首を切って自殺した。
姉といつ最後に会話したのか覚えてもいない。姉は実家暮らしだったが、私は実家を離れて大学のそばに下宿していたため、顔を合わすこともほとんどなかった。正月に帰省した時には、「死にたい」と何度も呟きながら暗い顔で出勤する姉を見た。それが私にとって、最後の姿だったかもしれない。
姉は、社会に溶け込むのが少々難しい人間だった。ヒステリックを起こしやすく、人とコミュニケーションを取ることが苦手。一方で人一倍純粋無垢で、傷つきやすい人間だった。きっと社会に出て働き、苦しい思いをしていたのは想像に難くない。
葬式の時、棺に横たわる姉がびっくりするほど美しかったことをよく覚えている。首に白い包帯を巻かれていたが、その包帯と同じくらいに真っ白な顔で、安らかに眠っていた。社会のしがらみから解き放たれたような、そんな顔をしていた。
不謹慎だけれど、姉がやっと生のしがらみや苦しみから開放されたことに安堵し、同時に羨ましくてたまらなかった。
私は今、若くして命を絶った当時の姉と同い年だ。彼女のように命を絶つような決断もできず、無駄に日々を消費している。今思い返しても、姉が羨ましく感じてしまう。彼女は若く美しいまま皆に記憶され、この世を去ったのだから。
26歳 坂宮 華 @sakamiyahana
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