26歳
坂宮 華
21歳
26歳、この世に生まれてから四半世紀と1年も過ぎてしまった。
もう子供ではないけれど大人にもなりきれていない、そんな中途半端な今という時間は、止まることなく儚く流れていく。
年齢を意識するようになったのは21歳の誕生日。今でもはっきりと覚えている。
当時の彼氏と過ごす、ハタチ最後の夜。0時が近づくたびに鼓動が高鳴る。一拍一拍がまるで全身を締め付けるかのような重苦しい感覚。耐えきれず私はこう言った。
「21歳になる前に、ハタチ最後の私を抱いて」
そう言って、不思議そうな顔をした彼の唇を奪い、覆い被さった。
0時を迎えた瞬間に、満面の笑顔でプレゼントをごそごそと取り出す彼氏。まるで真逆の顔をした本日の主役、私。
「21歳の誕生日おめでとう」
その言葉が、重く響く。20歳までは、毎年誕生日を迎えるのが嬉しかった。しかし21歳になってからは、中身の空っぽな自分が歳だけ重ねていくのが怖くてたまらない。毎日夜になると、目を瞑ると明日が来て、一日歳を取るのが怖くて眠れない。
「21歳なんてまだまだ若い」と大人は言う。実際に今の私も、当時は若かったと感じる。しかし、初めて年齢を意識したあの日から、私は人生について考えるようになった。
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