第3話 亜美

"はぁ〜..."



亮介はシャワーを浴びながらため息をついた。頭の中は亜美のことでいっぱいだった。


"よりによってあいつが..."


想っていた相手の夜の営みの姿を想像した亮介は虚しくなった。


"未だに未練があったとか情けねえなぁ俺。"


---


「風呂上がったから使えよ。チンピラ臭が付いた女子高生なんてごめんだぞ。」


亮介はおどけた調子で言った。少しでもこの無言の空間を改善したいのだ。


「う、うん。分かった。」


亜美は言われるがままに風呂へと向かった。


亜美が風呂に入っている間亮介は今後について考えていた。想っていた亜美にこうしてまた会えたことに喜びたいところだがどう考えても喜べる状況ではない。深夜の繁華街でチンピラとホテルに入ることが普通な女子高生がいるわけない。亜美がお金に困っているとは思えない。だとすると...


"家出か?..."


考えても仕方ないと判断した亮介は亜美が手ぶらでいた事を思い出した。自分の持っている服で女子高生が着れそうなものを探していた時亜美が戻ってきた。



「丁度良かった。お前服ないだろ?だからこれを着て...」


亮介の言葉を遮ってタオル1枚の亜美は亮介の手を引きベッドに押し倒した。


「お、おい。そんな格好で一体何を。」


タオル越しに伝わってくる高校生にしては豊満すぎる胸の重圧。すぐそこから聞こえてくる亜美の息遣い。滴り押してくる汗。たとえどんな男であろうとこの誘惑に勝てるものはいないだろう。


亮介に覆いかぶさった亜美は


「私を抱くために連れてきたんでしょ。いいよ亮先生だし他の男に比べたら...」


「お、おい待て待て。一旦落ち着けって。」


「いいってそういうことでしょ先生も考えてたでしょ?」


と誘惑する亜美を見た亮介は絶句した。


"他の男??抱く??考えていた??一体どういう思考回路になっているんだ?"


亮介も多少勘づいてはいた。最悪のシナリオを。だがいざ現実だと知り、その事実をなんとも思っていない亜美を見た亮介は絶望した。


「何があったんだ..」


「え、亮先生どうしたの?」


「もういい。今日は寝ろ。」


状況を理解出来ていない亜美を押しのけ1人亮介は布団に入った。亮介自身の頭の整理も追いついていなかった。


"誰よりも素直で真面目で純粋だった亜美がここまで変わっている。亜美の身にあいつをここまで貶める出来事があったんだ。今の状態のあいつに何を言っても無駄だ。"



考え抜いた亮介は1つの答えにたどり着いた。


"俺があいつの 教師... として傷つき枯れ果ててしまったあいつを元の明るく笑っていた姿に戻してやる。必ず 教師...として。"



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女子高生と教師を切り裂くことはできない 🍑 @OppaiLife

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