第2話 衝突


「おい。亜美!!亜美!!何してんだこんなところで!!」



亮介は息を切らしながら叫んだ。



「うぅ、嘘、り、亮先生??」



恐る恐る振り返った亜美に何かを言おうとした亮介だったが



「なんだてめぇおい。」


「この女になんか用か?」


「こいつとしゃべるのは諦めな。こいつは自分の体を一晩俺たちに使わせることになってんだ。邪魔すんじゃねぇぞサラリーマン風情がよぉ。」


とチンピラはイきり散らかした。


“くそ、やはりそういうことかっ。何が、何が亜美をこんな目に!!!”


一触即発の緊張状態のところに遅れた拓哉が現れた。ぶちギレかけている亮介、怯える女子高生、3人のチンピラを見た拓哉は瞬時に状況を理解した。


次の瞬間拓哉も亮介の視線は殺意に満ち溢れていた。



「彼女を早く離せ。ただじゃ済まさねぇぞ。」


「僕も彼女を話した方が身のためだと思うよ。」


ネクタイを緩めながら二人は言った。



「おいおいおい、サラリーマンがキレちゃったよぁ!」


「こいつがヤらせてくれるって言ってんだろうがぁおい。」


「なになに?正義の味方気取りですかぁ?どうせお前もこいつとヤりたいだけだろ?」



“くそ女を何だと思っていやがるんだ。男の遊び道具じゃねぇのに勘違いしやがって...”


一呼吸置いた亮介は


「もういい。どの道お前らを許すつもりはない。」


「そうだね。許す必要もない。」



というや否や次の瞬間二人は瞬時に間合いを詰め亮介は左拳を、拓哉は右拳で同時に二人のこめかみに豪快なストレートをぶち込んだ。一瞬の出来事に残りの一人は慌てふためきその場に尻から崩れていった。



「お、おいお前ら。おい!返事してくれよ!」



だが一発KOを食らった二人に起きる気配はない。



「おい、てめぇ。」


「は、ははい!」


と怯えるチンピラの胸倉を亮介は掴んだ。



「次こいつに手出したらてめぇら全員病院送りだからな。覚えとけよ。」


「分かったならこの二人を連れて早く帰りな。お巡りさんに見つかる前にね?」



亮介と拓哉に促されたチンピラはそさくさと伸びてる二人を抱え路地奥に消えていった。



「全く亮介はいつも荒いんだから。さすが元番長さんだな。」


「その言い方やめろって言ってんだろ。」


「その荒れた口調で何回チンピラに喧嘩売ったと思ってるんだ。」


「し、仕方ねぇだろ。小さいころからずっとこうやって喋ってたんだ。今更変えれるわけねぇだろ。」


亮介は言葉遣いとその荒れた性格のせいで学生時代はよく学校の番長と呼ばれていた。本人はその自覚はなかったが番長と呼ばれたせいでよく他校の不良からも随分と喧嘩を申し込まれては返り討ちにしていたのだ。そのせいか大人になっても腕はなまらず今も健在というわけだ。


拓哉はというとただ単に運動神経がよいだけである。



「ったくどいつもこいつもふざけたこと抜かしやがって。」


とぶつくさ文句を言う亮介と拓哉に



「あ、あの。その先ほどは助けてくださりありがとうございました。」



と亜美は頭を下げた。


「いえいえ。当然のことをしたまでですよ。それにあなたが亜美ちゃんでしたか亮介から聞いてましたがやはり可愛いですね。さすが亮介のはつぅこ。。。。」


「おいお前もうそれ以上喋るなぁぁぁぁ」


「ごめんごめん。それじゃあ俺は帰るよ。亮介は亜美ちゃんをちゃんと送っていくんだぞ。」


「分かってるよ。」


拓哉はそういうと輝く繁華街の波に埋もれていった。




「さぁ俺たちも行こうか。」


「う、うん。」


「なんとなくお前の状況は理解したつもりだ。お前とは3年間一緒にいたからな。」


「わ、分かるの?」


「あぁ。今日は帰るところないんだろ?今日は泊めてやるよ。ついてこい。」


そう言って歩き出した亮介を見た亜美は一瞬俯いたが何事もなかったように歩き出した。


2年ぶりに再会し、且想いあっていた二人であったが離れていた時間が隔たりとなり家に着くまで一言も交えなかった。






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