女子高生と教師を切り裂くことはできない

🍑

第1話 再会

「いつかまた会えるかな。亮先生...」


「さぁな。分からない。会うべきなのかも...分からない。」


「そっか...じゃあさよならかな..」


「多分そうだな...お前もさまだ中学生なんだし彼氏の1人でも作れよ!な?」


「そ、そうだね。頑張る...」


「ああ。応援してる」


"私は...


"俺は...


"あなたのことを


"お前のことを


"愛している"


とは言えなかった..."


___________


「 あぁもうマジでやってられねぇよ。」


4月下旬夜の灯りがともす繁華街の中一際古さに目立つ居酒屋「天国(ヘブンと読む)」。

その賑やかな居酒屋の中で高校教論の桐谷亮介(きりやりょうすけ)は嘆いた。


「確かにここまでひどいとはな。僕も正直ガッカリだよ。」


と亮介のやけ酒に付き合ってる同僚の坂本拓哉(たくや)も返した。


2人が話している話題とは自分たちの教え子についでである。


「英語が将来必要ないだと??グローバル化が進む中俺たち日本人がろくに英語も学ばずに何ができるってんだ。1歩この国から出てみろ。欧米人にビビって小便漏らして帰ってくるのがオチだ。」


「高校生は1番扱いにくい年齢層だからね。自分が正しいと思ったことは疑わず根拠のない自身で溢れてる。全くそんなもので通用する世の中じゃないってのに。はぁ〜。どうしたことか。」


「ったくあいつら〜!自分たちをなんだと思ってんだ。異世界でもないこの世界で大人になった途端出来ることはなんもないってのに。あぁぁもぉぉ思い出すだけでイラつくぞぉクソホラ吹きインポどもがぁぁぁぁ」


...賑やかな店内もさすがに大声の下ネタは無視出来ずに静まった。


「あー?なんだお前らインポにインポって言って何が悪いんだぁぁごらぁぁぁぁ。」


「おいおいいい加減にしろって。飲み過ぎだよ。ささ、帰るぞ。亮介」


「うるせぇ〜。俺は酔っ払ってなんかぁ〜。」


「はいはい。全くいつもいつも。俺はお前の世話係じゃないんだぞ。」



潰れかけの亮介を補導しながら拓哉たちは帰路に着いた。


近くのコンビニで水を買い飲んだ亮介は平常心に戻っていた。



「悪ぃないつも。」


「まぁもう慣れたけどさすがにやめてくれよ?亮介」



2人の付き合いは今年で3年目だ。2人揃って英語教論として柚姫(ゆずき)国際高校に赴任した2人はお互い22歳という事もあり意気投合した。今年で24だ。亮介は初年度に1年の担任を持ち今年が卒業年だ。拓哉は初年度で2年の担任を持ち無事卒業させ晴れて今年は新1年生の担任だ。拓哉が年上を教えていたこともあり同い年でありながら拓哉は亮介にとって頼れる存在であった。



「にしてもあいつら受験生の自覚あんのか?ほぼ全員志望大学D判定だなのに...」


「あいつらもいずれわかるさ。俺も苦労したからなぁ。それぞれの道を見つけたらきっと...


って亮介聞いてる?」


拓哉は亮介の顔を見上げたが亮介は反応せずに前方に指を指した。するとそこにはTheチンピラ感満載の3人の男に囲まれて歩く女子高生がいた。


「亜美が...亜美がいる。間違いない亜美だ。何を何をして...」


すると4人は角を曲がりホテル街へ向かっていた。


「嘘だろ...おいなんで亜美がここに?しかも男と...」


次の瞬間考えるよりも先に亮介は走っていた。後ろで拓也が何を言っているか分からなかった。ただひたすら4人の後をおった。


"具体的なことは分からねぇけどあいつがあいつが自分の意思でする行動じゃない。きっと何かあるはずだ。だとするとあいつは...とにかくまずは止めねぇと。"


「おい。亜美!!亜美!!何してんだこんなところで!!」


亮介に呼ばれた亜美は恐る恐る振り返った。振り返ったその顔には涙で溢れていた。


「うぅ、嘘、り、亮先生??」


その声は消え入りそうなほど小さく孤独さを感じさせた。

それは3年前まで亮介の教え子であり亮介が想っていた亜美の姿であった。



...

続く!!!

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