第27話 今日は給料日
電撃で駆除しながら、考えます。
ティアとタス君を連れて逃げるべきでしょうか。
いえ、仕事を受けたからには逃げるわけにはいきません。
「主任、助けに来たぜ。おう、野郎ども。稼ぎ時だ」
「「「「おう」」」」
部下達は懸命に働いてくれてます。
しかし、戦況を見るに負け戦です。
この分だとこの門も駄目そうです。
幾らでも残業しますから、この危機を乗り越えさせて下さい。
頼みます、お願いします。
『月末になりました。給与が支払われます』
そう、頭の中にメッセージが流れました。
給与の説明が頭に浮かびます。
給与は神力で支払われると。
神の如き力が出せるのですね。
管理職の特別な特権という奴でしょうか。
何にせよ助かりました。
「神力よ、魔獣を麻痺させて下さい」
見える範囲の魔獣が全て地に伏せました。
「神力よ、この街を取り囲む魔獣の全てを麻痺させて下さい」
これで大丈夫なはずです。
「全部麻痺させるなんて、あんた凄いな」
「後始末をお願いします」
「おう、任せとけ」
社員寮に戻るとタス君が居ても立っても居られない様子です。
「妹さんの特徴を教えて下さい」
「エミーって言うんだ。5歳でオレンジの髪で可愛いんだ」
やってみましょう。
「神力よ、エミーをテレポートして下さい」
何も起こりません。
給与が足りないようです。
しかし、まだ諦める訳にはいきません。
「残業手当を要求します」
駄目みたいですね。
「役職手当を要求します」
駄目です。
「ならば、住宅手当を要求します」
『住宅手当を追加します』
やりました。
「今度こそ。神力よ、エミーをテレポートして下さい」
幼女が一人現れました。
「エミー」
「お兄ちゃん」
二人が抱き合い喜びます。
神力は今ので、全て使い果たしたようです。
『よくやった。褒美は何が良い。言ってみるがいい』
上司から連絡が来ました。
「試用期間を終わらせて正規雇用して下さい」
『ふむ、我らの一員になりたいと。良いだろう。そのように取り計らおう』
やった、正社員です。
『魔法の普及も見事であった。精進するがいい』
「あんなのでよければ幾らでも書きます」
『少し言いにくい事がある。タイムレコーダーがあるだろう。あれは我々が仕事する時の補助だ。我々専用のバフが掛かる。微々たる物なので忘れていた。すまん』
「何か不都合でもありますでしょうか」
『運命が引き寄せられる。強者の宿命だ。もはや、普通の生活は望めん』
「仕事が寄って来るという事ですね。願ったり叶ったりです」
『気にしていないなら良い。では、さらば』
「もう、置いていくなんて酷い。タスが見つかったなら伝言を寄越してよ」
ティアが駆け込んで、そう言いました。
「すいません。お詫びに、魔法の事をもっと教えます」
「それだけじゃ駄目。花を贈ってくれないと。いい、あなたが摘むのよ」
「ええ、約束します」
街に出ると深夜なのにお祭り騒ぎです。
みんな酒を飲んで酔っぱらってます。
酒は嫌いですが、今日の酒は嫌じゃありません。
私も飲むと致しましょうか。
退社のタイムカードを押したら、タイムカードが新品になりました。
月が変わったのですね。
今月もバリバリと働きますよ。
ですが、今は小休止です。
ティアと飲んでいたら、ドミニクが興奮した様子で近寄ってきました。
「魔獣が約1万。あなたの取り分が半分でも、高額すぎて。もう凄すぎ。キスしたいぐらいだわ」
「しっしっ。いい気分のところを邪魔しないでよ」
「ふっ、私は花を贈ってもらったのよ」
「なーんだ、そんな事。私も花を貰える事になったわ。知ってる? あなたのはゴブリンが摘んだ花よ」
「従魔が摘んだなら、本人が摘んだのと変わりないわ」
「まあまあ、二人とも。今日は飲みましょう」
「そうね」
「新記録のお祝いよ。今日は飲むわ」
どうやら、私はこの仕事を上手く続けられそうです。
ところで定年は何歳でしょうか。
今度聞いておくとしますか。
定年になっても嘱託制度みたいな物があるといいのですが。
――――――――――――――――――――――――
あとがき
きりが良いので完結にしておきます。
続きを書くかどうかは未定です。
社畜ってわりとネタが出てこないような気がします。
好きなんですけどね、社畜物。
ネタが湧けば、続きを書いてみても良いと思ってます。
神の仕事スイッチは社畜に絶大なるパワーを与える~社畜は英雄となり伝説となる。その偉業は勘違いから。彼が勘違い気づくのは何時のことだろう~ 喰寝丸太 @455834
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