第7話 誘導
グレネード爆弾を一斉にビルの周り目掛けて投げ込む。
花蓮だけはお兄ちゃんが居るであろう屋上に向けてグレネードランチャーを全弾発射した。
周りにいた目測300を超えるゾンビたちは次々と吹き飛んでいく。
『異曝者が移動を開始。各自ポイントAまで誘導しろ』
空になったグレネードランチャーを投げ捨ててお兄ちゃんを追った。
花蓮のグレネードランチャーで負傷したのか動きが鈍いように感じる。
街中を走りながらサイレンサーを付けた拳銃で邪魔なゾンビを排除しながら進む。
「花蓮!お兄ちゃんが負傷してるみたい。再生能力があるはずなのになんで?!」
「おそらくどこかの放射線汚染地に入ったのかもしれない!放射能汚染許容値を超えて身体が崩れてるかもしれない」
人間を求めて自分の身体を維持できなくなる事態になってるなんて……
「『こちら花蓮、逃走した異曝者がビルから落下』」
『こちらアルバート、討伐できるか?』
「『後方から多数ゾンビが接近、討伐は不可能です』」
『了解。引き続きポイントAに誘導できるようにコントールだ』
「『了解』」
花蓮がアサルトライフルで威嚇射撃混じりの連射していく。
私は後ろのゾンビたちをグレネード爆弾で足止めをしつつ花蓮の援護。
視認したお兄ちゃんの片足の1部の骨が見えている。
崩れた豆腐みたいに、まるで足の肉が崩れ落ちたみたいな怪我だった。
「『こちら花蓮、異曝者の左足の1部が放射能による組織崩壊を起こしている』」
『こちらアルバート、距離を取りつつ誘導に専念しろ』
「『了解』」
負傷した足にも関わらずビルを蹴りながら移動していくお兄ちゃん。
『こちら健人、花蓮、プランCだ。もうすぐそっちに着く』
「『了解』」
プランC。
ポイントAである港には既にエサを用意してある。
お兄ちゃんが確実にそこへ向かうように花蓮が準備して狙撃ポイントで待機である。
程よく解凍した生肉をゾンビたちに近づかせずにお兄ちゃんを釣るには直前に用意するしかない。
その為、この自警団の中でも最もスナイプ能力のある花蓮にはエサを真空パックから取り出して設置し、狙撃できるようにしていて貰わなければいけない。
「待たせたな花蓮」
「身体能力向上持ちは移動が速くて羨ましいわ」
「乗り物要らずで助かるぜ」
「奏ちゃんをよろしくね?」
「了解!行くぜ奏!」
「うん!」
花蓮が別方向へ走り、バイクに跨りポイントAに向かった。
法も秩序もないこの世界では、免許もヘルメットも必要ない。
唯一あるのは、生きる事。
それだけ。
「奏!3時の方向からゾンビ多数接近!援護頼むぜ!」
「了解」
私たちは銃を撃ち続けながら走った。
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