第4話 両親の答え
「そんな棒切れ一本で魔法士を倒すだと?痴れ言をぬかすな。世迷言を言う息子を矯正するのも親の務め」
父上の存在が大きく何倍も膨れ上がったように感じる。
魔力を高めているんだろう。
大きく熱く膨れ上がっていく。
大気が振動し、木々が揺れている。
肌がひりつく。
これが魔法師団団長の圧力か。
いい。とても良い。
母上の方はいつもの微笑を崩しておらず、
呑気にお茶を捌きながら親子の戦闘を楽しむようだ。
周りに結界も張ってくれていて、何かあった時のために回復魔法の準備もいいようだ。
「ウォーレン。お前の覚悟試してやる。いくぞっ」
足元に赤い魔法陣が浮かんだので咄嗟に飛び退く。
先程までいた所は爆発し、土煙が舞う。
後方から悪寒を感じると、
無数の火炎弾が飛んできていた。
「『桃鬼一刀流
凛扇に魔力を宿らせ、横一文字に
一閃。
無数の火炎弾を一刀のもとに両断した。
「ふっ甘い!『
火の超級魔法を発動した父上。
属性魔法には 初級 中級 上級 超級があり、位が上がるにつれて威力と魔力消費量が上昇する。
魔法師団団長の超級魔法となれば、その破壊力は計り知れない。
はずだった。
大気を焦がすその威力に身を焼かれながら我が感じたのは"退屈"だった。
「『桃鬼一刀流
剣を上段に構え、一振りのもとに風圧で炎を散らす。
その勢いのまま加速し、距離を詰め、
「『桃鬼一刀流
肩を穿ち。右肩から鮮血がほとばしる。
苦悶の表情を浮かべる父上。
「父上、本気で来てください。その程度なんですか?魔法師団団長の肩書きは」
我がここまで父上を圧倒しているのは、
秋水世界と現実世界の鍛錬の日々の賜物とそれだけではない。
父上は全然本気ではないからだ。
5歳相手の訓練という意味合いでは本気かもしれないが戦場で"雷光帝ダンドール"と恐れられているそれとは似ても似つかない。
そもそも魔法には適性があり、
父上は
雷〉風〉闇〉時〉無〉水〉聖〉氷〉火
が適正順であり、
適正が高いほどその魔法の威力は高いものとなっていく。
父上に取って火はそもそも適性が一番低く、いくら火魔法の超級だからといっても威力は雷光帝が使う雷魔法の初級程しかないのだ。
そう。つまり手を抜かれているのだ。
覚悟を試すといいながら、己が使っているのは自身にとっての最低の攻撃手段。
ここまで屈辱を感じたのは初めてだ。
父上、いや雷光帝。お前の本気、絶対に引き出してやる。
「父上、殺す気でいきます。落ち落ちしてると当主交代ですよ?」
「いいだろう。手を抜いて悪かったな。ただ、お前次第だよ。雷光帝の一片を拝めるかどうかはな」
「『桃鬼一刀流 一ノ型
桃鬼一刀流の型を使うのは本気の時だ。
"一ノ型は相手の認識を誤認させ視界の外から袈裟がけに斬る技"だ。
「ふはははは。俺の認識をずらしたな。消えたぞ。どこにいる。いいな。それがお前の本気なんだな。本気には本気で答えねばな。」
「『雷光式 超級
父上を中心に膨大な雷が迸り、超級の威力を誇る鉄槌が顕現する。
一振りで大地を砕き、天空を裂く、その技は
ダンケルク連邦との戦争で十万の敵兵を屠ったと聞く。
これが雷光帝の一片。
沸る沸るな。
ウォーレン、いや秋水。
いざ参る!!!!
後方からの袈裟がけに咄嗟に反転した父の雷神の鉄槌と凛扇が交差する。
二つの間に挟まれた大気が悲鳴をあげているようだ。
膨大な魔力と魔力がぶつかり合い、鍔迫り合いのように押し合う形となった。
お互いの力と力がぶつかり合い。
余波で結界に亀裂が生じる。
このままでは押し負ける。
まだ父上の方に一日の長があるようだ。
この身体ではまだ成功した試しがないが
我はもう剣の道で負けたくはないのだ。
「『桃鬼一刀流 奥義「そこまでえええええもう結界がもたないわ。やめて。2人とも。お家が吹き飛んでしまうわ」
一瞬にして霧散する力と力。
お互いに戦闘態勢を解く。
「いかん。いかん。周りに対する影響をすっかり忘れてしまった」
「そうですね父上」
「ウォーレン。お前の覚悟。確かに受け取った。お前の好きにしたらいい。
雷光帝と氷の魔女の息子なんだ。
何にでもなれるさ。
最強の頂きに駆け上がれ。
父さんと母さんは応援するよ」
「そうよ!ウォーレンちゃんなら何にでもなれるわ。私の息子だもの」
「2人ともありがとう」
こうしてエルフォート・ウォーレンとしての最強への道が始まったのだ。
剣豪が魔法の世界に転生しました。剣一本で成り上がります。 くるくる胡桃 @kuru_kuru_kurumi
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