コラム ポテサラ論争とニート問題は直結している
2020年9月ツイッターにてポテサラ論争というのはトレンドにあがった。子供にポテトサラダくらい自分で調理しろ、というわかりやすい議論だ。ひとり暮らしで自炊をしている身としては、ズボラ飯的ポテトサラダであれば、イージーモードで作れると実感している。なので母親が子供のためにポテサラも作れない社会になってしまったのかと嘆く立場である。
自宅にストックしてあるじゃがいもをあみかごから二つとり「猛毒であるじゃがいもの芽」を愛用の小型ナイフでくりぬき、レンチン。それから千切りしたキュウリを水きりしてマヨネーズをかけて完成。こしてはいないのでレシピ通りではないが、ゴロゴロしたじゃがいものサラダもおいしい。ツイッタートレンドの方はスーパーの惣菜を買う主婦の方へ味方する方向であるみたいだ。子育てと家事が大変だから、それに味方するのが常識的気遣いだというらしい。消費を促すプロモーションに見えて致し方がない。
が、消費を促すプロモーションを煽っているという意見は通じない。
自分が8時間労働から帰ってきた夕方、キッチンの床に倒れるスレスレの疲労状態から、作ったあと床に倒れて食べずに爆睡。数時間あとにゾンビのように起き上がり、朦朧とした意識のままポテサラを冷蔵庫に入れる。家に帰ったらほふく前進のごとく寝床にまでつけず床で寝る。
だいぶ限界であるので、さらに労働時間を減らそうとは考えている…そのためには「さよなら」する趣味もある…サブカルオタク趣味が減ってしまったが、そのおかげで、ギターのコードが弾けるようになった。ギターは身内のお下がり。一本のギターで大事にお付き合いすれば、お金がかからない…音ゲーの代わりだと思えば、それでそれでよくなった。
サクッと作ったポテトサラダであるが、文明の利器である「自動あたため機能付き電子レンジ」と卵と酢の加工品である「マヨネーズ」をガッツリ消費していたのである。ポテトサラダくらい作れよ、という意見よりな私でも、ガッツリ消費を促すプロモーションになってしまう。
昨今のニート、ひきこもりが嘆かれているが、外で働く気がないのであれば、家で働かせればいいと考えている。学校の勉強がしたくない子供(ある程度の言語能力と計算、コミュニケーション能力の促進は必要)には学校の勉強も必要最低限にして、あとは自炊できるよう家業を叩き込めば良いのである。子供が向いている職業は、子供自身で探してもらえばよい。時間がないからスーパーで惣菜を、という現代のビジネス形態だとブルシットジョブ(社会にとって必要のない仕事)を増やすとみている。コンビニエンス、という名の”便利”ビジネスは、炊事洗濯などの家事のニート化を進行させている。家業がコンビニで買った惣菜を並べるだけになれば、料理の仕事がなくなる。家に帰ったら、何もすることがない。何をしているかと思えば、スマフォのソシャゲで時間を潰していたりする。ゲーマーを目指すかつ、本人にとって必要不可欠の趣味であれば止めないが(自分はゲーム実況者のファンでもあるので)、そんな暇もなくなるくらい毎日の自炊は大変である。
育児家事は大変な仕事であるし、子供を育てることは、社会にとって意味の高い行為だ。お金を稼ぐよりも意味が深くて尊い。
しかし、「しゅふ」に家事を少しでも楽してもらうために、便利な商品を開発しよう、という方向性は、ニート化をさらに進めることになる。
惣菜を買う「しゅふ」が何をしているかというと、工場でスーパーの加工をしていたり、ビルの清掃をしていたり、自宅よりも大きな施設の炊事洗濯掃除を分業で働いているのだ。そしてヘトヘトになって自宅に戻って、子供の世話をみる。そして外でパートで働いたお金でスーパーの”惣菜”を買って、子供に食べさせている。
ならば、家業の時間を増やして、食材を束買いして買い物時間と費用を抑え、家族が食べる分を、母親なり父親なりが加工して食べさせた方がよいのではないか。加工の仕方がわかれば、子供に教えることができるし、家にいながら”仕事”を与えることができる。自宅で加工が習慣になれば、外で働きに行く時間も減っていく。ただ、家業強化型の生活にすると、スーパーやドラッグストアで買えるものが少なくなる。(収入も落ちて、小売の商品を買っていたら家計がパンクするので)洗剤を買わず、重曹を水を薄めて掃除するなど「知識」がいる。だから、やりがいもある。
家事代行や過剰な家庭向け時短サービスを増やすのではなく、「しゅふ」をしっかりと「職人」として認識し、家業をプロとみなした方が社会にとってもよいと考える。ニートの問題はバカバカしくなるくらい、くだらないものに成り下がるだろう。子供が外で働く自信を無くしているのであれば、家で家業の仕事をしてもらえればよい。
毎日料理することと、週末だけゆっくりと料理を作ることは全く違うものだ。言われた通りにやっても、時間通りに仕事が終わらない。どうやって仕事が早く、余計な”便利グッズ”や”加工おかず”の消費を減らし、支出を抑えること考えるのは、経営の基礎である。
家事洗濯を手伝っている子供が、まとまったお金が必要になってきて、外で働きにいかなければならないときに…きっと、その経験が強い味方になるだろう。
参考文献
https://twitter.com/i/events/1281034597426360323 ツイッタートレンド「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」(2020/9)
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